March 10, 2008

[購入]08045-6/砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹・杉基イクラ/富士見書房/各\720

4048541714砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上 (1)
桜庭 一樹 杉基 イクラ
富士見書房 2008-03-08

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4048541722砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 下 (3)
桜庭 一樹 杉基 イクラ
富士見書房 2008-03-08

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桜庭一樹の同名作品のコミカライズ版。月刊ドラゴンエイジに連載されていたものをまとめたもの。特に初出誌の表記が無かったから、最初はいきなり書き下ろしで出たのかと思っていた。各地で絶賛されていたので買ってみた。、Amazonの表記だと上 (1)、下(3)と書かれていて、おいおい中(2)なんてのがあるのかよと一瞬探してしまいそうになるけど、そんなものは存在しないので要注意。二冊でちゃんと完結している。

冒頭から結末が提示されている小説版と違って、コミック版では多少の仄めかしはあるものの、真相は最後まで提示されない形式を取っている。コミックから入る読者のための配慮なのか、それとも原作既読組へのサービス?なのか、ラストを知っているのと知らないのとでは、ヒロインへの入れ込み方が変わってくるので、出来ればこの部分は変えないで欲しかった。

富士見版のどう控えめに見積もってもこの絵はないだろうというイラストに較べると、今回のコミック版はかなり健闘している。かなり現実にすり寄ってくれている。山田なぎさのビジュアルは、フツウにその辺に歩いていそうな「ちょっと綺麗な田舎の女の子」らしさがよく出ていて二重丸をあげたいくらい。適度な野暮ったさが良い。それに対して、海野藻屑の方はもう少しふわふわ感、浮世離れした美少女ぶりを垣間見せて欲しかったかな。と、最初のうちは思っていたのだが、読んでいるうちに気にならなくなっていった。この辺は慣れの問題だろうか。

さて、肝心の内容についてだが、かなり原作を読み込んだ上で書かれている。潮の香りのする田舎町。小さな漁港。テトラポット。鉄塔の立ちならぶ細い田圃道。交通機関はバスだけ。古びた公営団地。妖精ニート兄ちゃんの魔窟。背景となる舞台のディティールを地味ながらもしっかりと描いて見せたことで、少女たちの置かれている閉塞感、行き場の無さ感をさりげなく醸し出させることにまず成功している。
そして編集者の意向もあるのだろうとは思うけど、見たい場面、見せなきゃいけない情景が的確にビジュアル化されていることに驚かされた。ただ無抵抗で殴られる諦観に満ちた表情の藻屑、常になぎさの左側に立とうとする藻屑、痣だらけの体を惜しげもなくさらしこれは汚染なのだと嘘ぶく藻屑。無機質な人形のような美少女に見えた藻屑が、血肉を備えた生身の人間に変貌していく。全てを知って読んでいる読者にこれらの絵が与えるインパクトの強烈なことといったらない。
原作ではサラっと読み飛ばしていたけれども、絵がついたからこそ良さが判った場面というのもあって、「鉈サンキュ」と無邪気に笑う藻屑、なぎさのカーディガンを借りて着て喜ぶ藻屑、なぎさに最初で最後の本当の笑顔を見せる藻屑等々、改めて原作を再読したくなるくらいだった。

非常に出来のいいコミカライズなので原作ファン(そうで無い人も)は是非、手に取ってみて欲しいところ。桜庭一樹の直木賞効果もあって、こっちもけっこう売れるんじゃないかな。

投稿者 nununi : 11:30 PM | コメント (0)