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四国紀行

act-3 2001/08/11

阿波池田→祖谷渓

喉の痛さは相変わらずで、咳も出るようになってきた。僅かに倦怠感。これは金比羅参りの疲労だけではない気がする。やはり夜行バスで乗り付けるのは体力的に厳しかったのだろうか。明日は剣山に登るつもりで、テント泊の装備まで背負ってきているので、これは今後の判断が難しいところだ。何にせよ、現地までは行っておくしかない。入線してきた土讃線に乗り込み(13:06)、阿波池田駅で下車(13:56)。

予定としてはここで剣山の登山口である名頃行きのバスに乗り換えるのだが、バスの到着にまだ時間がある。この時間を利用して買い出しをしておく。阿波池田はかつて甲子園で活躍した池田高校があることで有名な街であるが、駅前から商店街のアーケードが延びている。どこか懐かしさを感じさせてくれる、生活感がにじみ出た雰囲気の良い商店街で、今回初めて来て良かったという気分が盛り上がってくる。

ディーゼルです。
土讃線
三角屋根
阿波池田駅
晩飯の買い物が済んだので、バス乗り場で乗車券をあらかじめ購入しておくことにする。「名頃でよろしいんですか?」と強く念を押される。この路線は日に3本しかなく、今度の便が最終である。終点の名頃には宿泊施設はないため、思いっきり怪しまれた様子。キャンプ場で泊まることを告げ、ザックを見せるといちおう納得した様子。夏休み期間中の観光シーズン真っ盛りの時期ですらそんな奇特な行動を取る人間は珍しいようだ。後はひたすらバス停で脱力してみる。本当であれば周辺を徘徊してまわるところなのだが、それだけの余力は無い。
絶景です。
小歩危付近

バスに乗車(15:15)。同乗してきたのは、地元の方が数名と、子供を連れた帰省客と思しき人々が若干名。しっかり満員になっている。最近はどこに行ってもバスは冷房が効いているのでありがたい。

吉野川沿い(国道32号)に進んでいくとやがて阿波川口駅に到着する。この辺りからが有名な景勝地、小歩危(こぼけ)と言われる地域。急峻な崖の中を吉野川は流れている。確かにこれは見るだけの価値はある風景だ。

バス路線はずっと川沿いに続いているので、車中からでもその偉容はそれなりに堪能することが出来た。カヌーで川下りをしている集団が多数いて気持ちよさそうである。中で少し眠ろうかと思っていたのだが、景観が素晴らしくとてもそれどころではない。

ところで、このバス路線は乗車時間がメチャクチャ長い。なんと2時間弱にもなる。路線バスにこれだけの長時間乗り合わせる機会というのはそうそう無いだろう。料金もそれなりで片道2,010円もかかる。地元の方が少しずつ降りていくのでだんだん車内が寂しくなってきた。JR大歩危駅をすぎると、バスは一気に標高を上げていく。ここからは吉野川流域を離れ、いよいよ祖谷渓へ向かうことになる。

絶壁です。
両岸は崖に
流れは速そうです。
水の色が独特
なんだかもの凄いところがうねうね曲がりながら登っていくこのバス。大丈夫なのか、おい。かずら橋のバス停で半分くらいの乗客が降りてしまう。ここにかかるかずら橋は日本三大奇橋の一つなのだが、まだ先は長い。残念がらここで降りるわけにはいかない。バスは更に奥地へとひた走る。右手には祖谷川。すっぱりキレ落ちて断崖絶壁になっている。ポツリポツリと乗客が減っていき最後はとうとう筆者ひとりに。

終点の名頃に到着(17:22)。バスの折り返し場の隣に民家が数件。目の前には祖谷川。小さな神社が一つ。それ以外は見事なまでに何もない。運転手のおっさんが「登山の人だよねとしつこく念を押してくる(笑)。本日の宿泊地は奥祖谷かずら橋キャンプ場。だが、そこにたどりつくにはこれからさらに4キロの道のりを歩かなくてはならないのだ。もうハッキリと自覚出来るほど熱っぽい体をひきずりながら前進開始。日の暮れるまでに着けるだろうか。

しなびた味のある停留所
名頃のバス停
もうへとへと
国道439号
ダム湖です。
名頃ダム
対向車が来たらすれ違えないんじゃないかと、思わず問いつめたくなる程細いこの道は、仮にも天下の国道439号線であるはずなのだがほとんど車が通らない。これが噂の三桁酷道という奴なのか?たいした傾斜の道ではないのだが、体調が悪いせいかかなりカラダに堪える。

右手に名頃ダムを確認。祖谷川をせき止めている小さなダムだ。ぽつんぽつんと点在していた民家も途切れてしまい、川のせせらぎと蝉時雨、虫の声だけが山間に響き渡っている。そろそろ日没も近い。夏の長い日も谷筋では早く暮れていく。すごいところに来てしまった……。急激に孤独感がこみあげて来て早足になる(笑)。

下るとキャンプ場
やっと着いた
こちらは男橋
奥祖谷二重かずら橋(男橋)
そろそろ体力も限界かってところで、久々に人家のようなものが見えてきた。おそらくこれが丸石パークランド(民宿だと思う)。ということはキャンプ場はすぐ傍のはず。と、思ったらキャンプ場入り口の案内板が出ていた。やっと着いたよ〜。しかしヨレヨレの身体にさらなる試練が、キャンプ場へ行くには川を渡らなくてはいけないのだが、肝心の橋がかの高名なかずら橋なのだ。先ほどバスで通過したのは単にかずら橋と呼ばれているが、こちらは奥祖谷二重かずら橋と称されている。

この薄暗い時間帯に、この体調で、吊り橋を渡れと(涙)。瞬間泣きそうになるが、意を決して突破を試みる。思っていたよりも橋はしっかりしていて、揺れはあるものの、意外に安定感がある。足下を踏み外さないようにしてなんとか渡河成功。どっと疲れが蘇ってくる。

半ば日が暮れている状態で、手早くテントの設営に入る。テン場にはこの季節だというのに二組しかテントが張られていない。そんなにマイナーなのか>ここ。遅れて来ても好きなところに張れるので、ありがたいことではあるのだが……。咳は止まらず、身体のだるさも最高潮。状況は最悪なのだが、川音を聞きながらテントで夜を過ごすのはやはり楽しい。気分は悪くないぞ。

果たして登山する体力はあるのか>自分。続いて旅行二日目へ。

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