2000年8月

例年だと8月はミステリ強化月間なのだが、
今月はわりとライトノベル系に収穫があったような。
恩田陸の未読は大事にしすぎて今月も読めず。

書籍名
作家名
出版社
価格
コメント
お薦め度
ドキュメント
横浜VS.PL学園
朝日グラフ
特別編集班
朝日新聞社
\476
最先端ではここまでやっている。
★★★☆
猫の地球儀 焔の章 秋山瑞人 メディア
ワークス
\510
セツナイ。
★★★☆
猫の地球儀その2 幽の章
\530
心のことばノート ひろはま
かずとし
河出書房新社
\1,270
ダメ。癒されず。
★☆
ベラム館の亡霊 アンドリュー
・クラヴァン
角川書店
\1,000
くどすぎ。ハズレ。
★★
凍える島  近藤史恵 東京創元社
\480
愛だな。愛。
★★☆
試練のルノリア
グインサーガ74
栗本薫 早川書房
\540
ヴァレリウス大活躍。
★★☆
パラサイトシングルの時代 山田昌弘  筑摩書房
\660
そうだったのかあ。
★★★
人間失格 太宰治 新潮社
\280
ダメっぷりにシンクロ。
★★★☆
ポケットに名言を 寺山修司 角川書店
\340
こんなもんかな。
★★☆
桧原村紀聞 瓜生卓造 平凡社
\1,200
都内にこんな所があるなんて。
★★★☆
いちばん初めにあった海 加納朋子
角川書店
\533
なかなか良し。
★★★
講談社
\913
西洋中世史好きならお薦め。
★★★
朝日ソノラマ
\619
読ませる。評判通りの名作。
★★★★
\619
目からウロコの山岳写真術 川崎博 山と渓谷社
\950
ウロコは落ちないが役に立つ。
★★★
オタクと三人の魔女 大原まり子 徳間書店
\1,500
性にあってるとしかいいようが無い。
★★☆

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ドキュメント横浜VS.PL学園
[朝日グラフ特別編集班] ★★★☆ 朝日新聞社 朝日文庫 (\476) [Amazon]

ドキュメント横浜vs.PL学園 (朝日文庫)

1998年8月20日。夏の甲子園。準々決勝第一試合。怪物松坂を擁する横浜高校に対し、センバツの雪辱に燃えるPL学園が戦いを挑む。後に死闘と謳われた甲子園史上屈指の名勝負。延長十七回の攻防の記録。

高校生として極限まで技術を高めてきている彼らは安易に精神論を語りません。横浜高校にしてもPL学園にしても甲子園常連の強豪校ともなるとここまでやっているのか!と本当に驚かされます。僅かな選手の動作から癖(素人には指摘されても判らない)を盗んで球種を読む。圧倒的な対戦校データの蓄積。1%でも勝利の確立を高めるために、貪欲なまでに積み重ねられるテクニックの数々が圧巻です。[2000/08]

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猫の地球儀 焔の章/その2 幽の章
[秋山瑞人] ★★★☆ メディアワークス 電撃文庫 (\510/\530) [Amazon:焔の章/幽の章]

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫) 猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

人類が滅亡した後の世界。スペースコロニーに取り残された猫たちは、宇宙に浮かぶ地球を死後魂が赴く場所として信仰していた。三十七番目のスカイウォーカー幽(かすか)は掟に背き地球を目指そうとする。その幽の前に最強のスパイラルダイバー焔(ほむら)が立ちはだかる。互いの誇りをかけた戦いの果てに幽が見たものは。

巷でとても評判のいい秋山瑞人。ようやく1作読みました。確かに噂にたがわぬ面白さ、ではあったけど、いや、なんともしんどい話でしたこれ。このほんわかした雰囲気で、これだけ過酷な運命を登場人物たちに用意しているとは。知性を持った猫と、それをサポートするちょっと間の抜けたロボットたちの描写が秀逸なだけに、とてもやるせない読後感が残ります。何もしてやれない無力感が漂います。スカイウォーカーたちの願いはいつかかなうのでしょうか。いつか彼らは地球儀に立つ日が来るのでしょうか。こういう話だと逆に涙が出ないですね。[2000/08]

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心のことばノート [ひろはまかずとし] ★☆ 河出書房新社 (\1,270) [Amazon]

心のことばノート

おもえばささえられて生きてきました。墨彩詩画作家ひろはまかずとしが綴ることばの贈り物。

あいだみつお系ってくくっちゃっていいのかな。イラストがある分星野富弘の方が近いかもしれません。このごろ多いヒーリング本。でもすいません全然だめでした。そもそもわたしのような器の小さな人が読んじゃいかんのだと思いますが、作者の体験談に基づくエピソードの1つ1つが全然共感出来ません。わがままなおっさんにしか見えないんですが。[2000/08]

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ベラム館の亡霊
[アンドリュー・クラヴァン] ★★ 角川書店 角川文庫 (\1,000) [Amazon]

ベラム館の亡霊 (角川文庫)

イギリスの古典的幽霊譚「黒衣のアニー」の舞台設定は自らの住む屋敷にあまりに酷似していた。衝撃を受けるソフィア。それは屋敷の地下室で父と母が血まみれになっていたという、彼女の忌まわしい幼い日の記憶を蘇えらせるものだった。

クラヴァン初のゴシックホラー、との触れ込みだけど、キャラクター(特にヒロイン)があまりに類型的で魅力に欠けたのが最大のマイナスポイントか。ハリウッド映画でよく出てきそうないかにもなラブロマンスにもげんなり。

現代と伝承の部分が交互に描かれていくんだけど、描写が異常にくどく、読んでいてつらかった。ラストのひねりもイマイチ。後味も悪い。『秘密の友人』で見せてくれた鮮やかな切れ味は見られず。次外したらもう読まないぞ。[2000/08]

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凍える島 [近藤史恵] ★★☆ 東京創元社 創元推理文庫 (\480) [Amazon]

凍える島 (創元推理文庫)

喫茶店北斎屋を営む野坂あやめは得意客たちとともに慰安旅行に出掛けた。場所は瀬戸内海に浮かぶ孤島。そして始まる殺人ゲーム。外界との連絡を絶たれた島に残された8人の男女。最後に明かされる哀しい真実とは。

孤島モノ。これ以上ないくらい本格テイストな主題ではある。とはいえ、わたしの場合本格ミステリの魅力たるべきトリックの妙やフーダニットの愉しみにはあまり興味が無い人なので、いかにそれ以外の部分(人物/雰囲気/種々の蘊蓄等)で楽しませてもらえるかが重要だったりする。「人物が描けてない」って本格ミステリ相手に腹立てるのもどうかと思うけど、かといってちゃんと書き込んであった方が面白いのは事実だと思うし。

本作の場合いろいろとぎごちない部分は多いものの、主人公が良かったので○。彼女の愛憎はそれなりに美しく完結していたので、まあ及第点。愛だ。愛だよなやっぱり。もう1、2作読んでみよう。次に期待賞。

蛇足。『サクラ大戦』やったことある人はすぐ犯人わかるね(笑)。[2000/08]

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試練のルノリア グインサーガ74
[栗本薫] 
★★☆ 早川書房 ハヤカワ文庫 (\540) [Amazon]

試練のルノリア―グイン・サーガ(74)

ランズベール城を撤退。ジェニュアに居を移したアルド・ナリス。一方ヴァレリウスは偉大なる大導師アグリッパの消息を求めて旅立つ。グラチウスによってルードの森に送り込まれたヴァレリウスだったが、その前に意外な人物が現れる。

今回もパロ編。ヴァレリウスの大活躍ぶりが楽しい巻ではある。ヴァレリウスがここまでメインを張るとは最初の頃は思っても見なかった。もっとがんばれ。意外な点と言えば、ナリス様の弱々ぶり。すっかり普通の人になってきてしまった。あくまでも気高いナリス様であって欲しかったのだが。あと気になるのはベック公のその後か…。パロ編終ったらこの国のメインキャラ半減してそうだな。[2000/08] ⇒次巻

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パラサイトシングルの時代
[山田昌弘] ★★★ 筑摩書房 ちくま新書 (\660) [Amazon]

パラサイト・シングルの時代 (ちくま新書)

30歳を過ぎても結婚せず親と同居。高い可処分所得にあぐらをかき、優雅な消費生活を送る世代「パラサイトシングル」。すでに全国に1,000万人も存在する彼らの実態と、彼らが日本経済に及ぼしている影響、そして憂慮すべき未来像を鋭く洞察する。

従来の統計ではなかなか表立ってこなかった「パラサイトシングル」について始めて言及したとされる東京学芸大の助教授山田昌弘が書いた本。豊富な統計資料を元に、とても判りやすく解説されているので、誰でも簡単に「パラサイトシングル」層への憤りが高まっていきます(笑)。その影響の計り知れ無さはわかるけど、こんなに批判的にならないでも良いのでは、と、若干思わんでもない。実際の親同居独身者がどういう感想持つか聞いてみたいところ。

でも、ああそうだよなあ。自分だってもう少し実家が近ければ実家から通勤したい。それだけで月々10万以上は生活費違ってくるのは確実。年間なら150万は違うね。あ、やっぱり腹たってきた。[2000/08]

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人間失格 [太宰治] ★★★☆ 新潮社 新潮文庫 (\280) [Amazon]

人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))

恥の多い生涯を送って来ました。常に人の顔色を窺い、流されるままに無気力に、怠惰な生涯を送った男が残した三編の手記。太宰文学の最終到達点。

青森へ旅行で出掛けたので、念願の太宰を青森で読むという行為に没入してみる。予定していた斜陽館には立ち寄れず、下北半島の突端尻屋崎で読了。しまったここは下北半島だ。なかなかうまくはいかないのであった。

主人公の駄目人間ぶりに大いにシンクロ。ダメな奴の悪いところはさしたる自己主張もなく流されてっちゃうこと。そして一番救いが無いのは本当にやりたいこと、したいことなんてそいつには全くないってこと。同類嫌悪が心に染みるのでした。

でもいいじゃんこいつモテモテなんだから。とか思うのは間違い?それにこんなに静かな諦念にたどりつけたのもある意味幸せだったのでは。[2000/08]

ついでに…… 
『"文学少女"と死にたがりの道化』@野村美月   <<太宰への愛すべきオマージュ作品

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ポケットに名言を [寺山修司] ★★☆ 角川書店 角川文庫 (\340) [Amazon]

ポケットに名言を (角川文庫)

詩人、劇作家などとして知られる著者が少年時代から書き留めてきた数々の名言、格言を一同に網羅。歌謡曲の歌詞から、映画の名台詞、哲学書の一節まで豊富な名言を多数収録する。

これも青森に行くならってことで購入した1冊。この作家の書く脚本(ホン)は好きで芝居は良く観に行ってるけど、著作を読むのは始めて。しかし、ファースト寺山としてはチョイスを誤ったか。気が向いたときにさっと読んで一句でも二句でもいいセンテンスが拾えればOKってタイプの本だろう。[2000/08]

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桧原村紀聞 [瓜生卓造] ★★★☆ 平凡社 平凡社ライブラリー (\1,200) [Amazon]

檜原村紀聞―その風土と人間 (平凡社ライブラリー)

東京都西多摩郡桧原村。島嶼部を除けば東京都唯一の村。村の歴史、産業、教育伝承等について丹念な取材の元に綴っていく。そして、いまなお豊かな自然を残すこの地域に暮らす人々の生活を描く。

桧原村は登山でよく徘徊しているところなのでとても楽しく読ませてもらった。比較的メジャーな感のある奥多摩と違い、どうしてもマイナーなイメージがぬぐえない桧原村。確かに存在すら知らない人も多いと思う。人里(へんぼり)、笛吹(うずしき)、神戸(かのと)等の難読地名の数々はとても都内ある場所とは思えない。

数多くの集落の全てに足を運び、その歴史から住民の人となり、伝説、神社の祭神にいたるまで余すところなく叙情豊かに書き記した労作。すでに20年以上が経過したいまでは、おそらくかなり細かい部分は変わってしまっているのだろうが、今後桧原へ行くときにはそのあたりを是非チェックしたいところ。[2000/08]

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いちばん初めにあった海
[加納朋子] ★★★ 角川書店 角川文庫 (\533) [Amazon]

いちばん初めにあった海 (角川文庫)

堀井千波は引っ越しの最中に見慣れない一冊の本を見つけた。『いちばん初めにあった海』と名付けられたその本の中には一通の手紙が挟みこまれていた。自らの殺人を告白する[YUKI]という名の差出人からの謎めいた手紙。封印されていた千波の過去の記憶が蘇ってくる。

初加納朋子。今月は初物が多いです。ほんわか癒し系とは聞いていたけどなかなか良いではないですか。ラストはこうくるとわかっていても泣かされてしまう愛すべき佳品。この本には表題作の他にもう一編『化石の樹』という中編が収録されているんだけど、これがまたささやかなサプライズが用意されていて唸らされます。カバーの作品紹介にはこの作品のことは一言も触れていないんだけど故意に?だとしたらけっこうセンスいいぞ。[2000/08]

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十字軍騎士団 [橋口倫介] ★★★ 講談社 講談社学術文庫 (\913) [Amazon]

十字軍騎士団 (講談社学術文庫 (1129))

十字軍の発生と共に誕生した修道騎士団。騎士と修道士の両面を兼ね備え、いずれの王権にも属さない勢力として、強大な権力を持つまでに至る。悲劇的崩壊を遂げたテンプル騎士団と現代まで存続しえた聖ヨハネ騎士団。対照的な運命を辿った両者の興亡を十字軍運動の盛衰と絡めつつ描く。

世界史の授業で名前くらいは聞いたことがあったのだが、いまひとつその実情が良くわからなかったのがこの修道騎士団。どの国家にも属さない武装勢力が何故かくも権力を持つことが出来、領土まで有していたのか。本書では数ある修道騎士団の中から最も著名な二騎士団について、その歴史から組織の概要まで幅広く解説しており、一般人でも楽しく読むことが出来た。

十字軍運動の変容。教皇権力と王権の対立。こうした時代の変化の中で、かつて比類なき勢力を誇ったテンプル騎士団が、フランス王家によって解体され、異端として処刑されるまでに至った経緯はとても興味深かった。このテーマで是非佐藤賢一あたりに1冊小説を書いて欲しいところだ。[2000/08]

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サラマンダー殲滅 上・下
[梶尾真治] 
★★★★ 朝日ソノラマ ソノラマ文庫NEXT (各\619) [Amazon:/] ※書影無し

平凡な主婦だった神鷹静香はテロに最愛の夫と娘を奪われる。ショックで廃人同様となった静香を救うために施された心理療法だったが、それはテロリストに対する強い憎悪を植え付けるものだった。テロリスト集団に対して闘いの道を選ぶ静香だったが、人工的にしくまれた心理療法の歪みが次第に静香の精神の平衡を奪っていく。

「ダメ人間が頑張って一世一代の大活躍」ってハナシはわたしの泣きのツボの1つで、メインキャラクタの魅力もさることながら、随所に登場するサブキャラ(わりとダメな奴)の頑張りがなんともいい味を出していて泣かせてくれるのでした。何度も復刊されている作品だがそれだけの価値は確かにある。もっと読まれていていい作品だと思うぞ。

いくら訓練受けたからってこないだまで普通に主婦やってた女性がこんなに強くなれるもんなのかとか、ペーパー航宙士だった奴がいきなり宇宙船操縦出来ちゃう(しかも天才的に)もんなのかとか、いろいろ突っ込みたいところは確かにある。描写がくどくて興をそぐ場面も多いし、だいたいメインタイトルがイマイチだってのもある。しかしそれらを全て補ってあまりある面白さ。まさにSFでないと出来ない物語。ふんだんに放り込まれたSFならではのアイデアがイカしてます。上下巻800ページ強を一気に堪能。[2000/08]

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目からウロコの山岳写真術 [川崎博] ★★★ 山と渓谷社 (\950) [Amazon]

目からウロコの山岳写真術―ベテラン山岳雑誌カメラマンのアドバイス (NEW YAMA BOOKS)

プロの山岳カメラマンである著者が、山岳写真の撮影における基本について解説。陥りやすい失敗例や、山岳写真ならではの注意点など豊富な実例をあげて紹介していく。

ホームページに山行時の写真を載せるようになり、あまりの写真のヘボさに密かに悩んでいたわたしは、書店でこの本見掛けるや即座に購入。しかし「絞り」や「露出」のなんたるかすらよく判っていないわたしにとってはこの本ですらついていけないのでした。情けない。

また、当然のことといえば当然なことながら、主として一眼レフを対象にした本なので、デジカメ派には食いたりない部分が出てしまっているのも残念ではある。とはいえ、基本的な部分は十分参考になるし、山行時ならではの濡らさない工夫や、対衝撃の工夫などは役に立つ。デジカメ編でもう一冊出して欲しい。[2000/08]

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オタクと三人の魔女
[大原まり子] ★★☆ 徳間書店 (\1,500) [Amazon] ※書影無し

とある町に住んでいる三人の魔女。ひとりはOL、ひとりは同人作家、そしてもうひとりは老婆だった。彼女達3人とひとりのオタクの青年が巻き起こす騒動を描いた連作短編集。

大原まり子の作品。特に日常を舞台にした作品群の評しにくさといったらないだろう。これといったストーリーがあるわけでもなく、センチメンタルな結末も、登場人物たちの英雄的な行動があるわけでもない。平凡な日常にふと訪れる非日常。その世界では非現実的な事件すら大いなる日常に吸収されてしまう。とりたててどこがどういいのかうまく語れないのがとても歯痒い。この手の作品群をなぜ読みつづけているのか自分でも不思議なのであった。しかし面白いんだよな。[2000/08]

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