今月は比較的ノンフィクションが多かった。
どうしてもノンフィクションは小説の類に比べるとアンテナが働かないのでいい本を見逃しがち。
わりと収穫の多かった月だったといえましょう。
小説部門のイチオシはもちろん『死の泉』。物語の楽しさを満喫させてくれた絶品でした。
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| 殺人喜劇の13人 | 芦辺拓 | 講談社 |
\743
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本格モノ。力作。
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★★★ |
| 冥王と獣のダンス | 上遠野浩平 | メディア ワークス |
\570
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小ヒット。今後に期待。
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★★★ |
| ハンニバル 上 | トマス・ハリス | 新潮社 |
\705
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レクター博士の大活躍を堪能。グロいのもOK。
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★★★☆ |
| ハンニバル 下 |
\743
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| これがサンリオの秘密です。 | 辻信太郎 | 扶桑社 |
\1,333
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社員の人はタイヘンそうです。
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★★ |
| iモード事件 | 松永真理 | 角川書店 |
\1,300
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アナログ人間のiモード奮闘期。
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★★★ |
| 上と外 1 素晴らしき休日 |
恩田陸 | 幻冬舎 |
\419
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全五巻隔月刊行。待ってる間に忘れそう。
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★★★☆ |
| 月の影 影の海 上 | 小野不由美 | 講談社 |
\533
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再刊もいいけど新作を。
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★★★ |
| 月の影 影の海 下 |
\533
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| 火蛾 | 古泉迦十 | 講談社 |
\880
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着想は良いのではないかと。
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★★★ |
| 死の泉 | 皆川博子 | 早川書房 |
\2,000
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物語の楽しさを満喫。すごいよ。
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★★★★ |
| 魔剣天翔 | 森博嗣 | 講談社 |
\840
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練無クン女装せず!
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★★★ |
| パラレルワールド ・ラブストーリー |
東野圭吾 | 講談社 |
\743
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もうちょっとがんばれ。
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★★★ |
| ONE 輝く季節へ 4 | 館山緑 | ムービック |
\857
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ハズレっぽい。
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★★ |
| 放送禁止歌 | 森達也 | 解放出版社 |
\1,800
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痛いところえぐってきます。
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★★★☆ |
| 決戦前夜 | 金子達仁 | 新潮社 |
\438
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いまとなっては懐かしい。
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★★★ |
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殺人喜劇の13人 [芦辺拓] ★★★ 講談社 講談社文庫 (\743) [Amazon] |
| ついでに…… 『iモードストラテジー』@夏野剛 <<iモードもう一人の仕掛け人 『eに賭ける』@中谷彰 <<こっちは応用編 |
楢崎練はこの夏中央アメリカに居た。両親の離婚で離れ離れになった家族が年に一度集うのだ。時が経つにつれて変わっていくお互いの気持ち。気持ちのすれ違いが限界に達しつつあった彼らに起きた<決定的な瞬間>とは。
恩田陸の文庫書き下ろし。全五巻隔月刊行。グリーンマイル方式なわけだ。講談社が栗本薫でやり、幻冬社も既に清涼院流水でやっている。うがった見方だけどこの方が普通に単行本で出すより売上は上がるだろうね。これから増えていきそう。
グリーンマイルも全巻揃えてから読んだ卑怯者のわたし。でも隔月刊行の全五巻だから完結は来年の四月。うわ、そんなに先なんだ。積読すること一月半。やっぱり我慢出来ずに読んでしまいました。今度の恩田はなんと冒険小説だ。次々といろいろなジャンルに挑戦してくれるのは嬉しい限り。
さて問題の第1巻。恩田作品ならではのなんとも形容しがたい不思議空間は抑え気味。一冊目ということでまずは人物紹介。メインキャラである<元>家族の四人について語られていく。中学生の主人公は『六番目の小夜子』の秋を思い出させる好少年(って言い方あるのかな)。両親と離れて暮らしながらもいい環境で育ってます。千華子ちゃんとの今後がものすごく気になるところ。しかし、ようやく物語が動きはじめたと思ったら予想通り、これで終りかよってな位いいところでおしまい。いい引きです。200枚なんてあっという間だ。続巻に期待しよう。[2000/09]
突然現れたケイキと名乗る男によって異世界に連れ去られてしまった陽子。一介の女子高生に過ぎない彼女を異世界での厳しい試練が待ち受けていた。相次ぐ魔物の襲来。信じていた人々からの裏切り。生き延びることと引替えに次第に心を荒ませていく陽子。何故陽子はこの世界へ召喚されたのか。真実が明らかにされるとき本当の物語が動きはじめる。
元々講談社X文庫ホワイトハートで発売されていた作品を、今回改めて本家の講談社文庫で再刊したもの。『屍鬼』で一躍一般的にも評価を高めた小野不由美を更に売るための算段なのだろう(うがった見方)。しかし相変わらずホワイトハートの再版もやっているようなので両方で出し続ける気なの?このへんよく分かりません。
再読。陽子主上久しぶりだ。幾何学的に配置された十二の国。緻密に設定された独特の世界観。システマティックなまでに練り上げられた王位継承システム。懐かしいです。十二国世界。ほとんど忘れていたので改めて読んでみてほんとに良く書けてるなと感心する。小野作品の常套パターン「意外な真相による物語構造の大転換」が本作でも気持ち良く決まっていて心地好いのだ。
四年も中断しているこのシリーズ。最新刊は来年の四月らしい。これまで全く音沙汰なかっただけに嬉しいけど、それにしても半年も先なのか。とても待ち遠しい。[2000/09] ⇒次巻
十二世紀の中東。イスラム聖者たちの伝記編纂を生業とするファリードはアリーと名乗る男から不思議な話を聞かされる。一人の導師と四人の修行者が篭るある山で起きた殺人。閉ざされた穹盧の中に残されたムスリムの屍。残された修行者たちの中に疑惑が拡がっていく。殺害者は姿を現さない導師なのだろうか。
帯の惹句が「未だかつて誰も目にしたことのない鮮麗な本格世界」なのだが、確かに十二世紀のイスラム圏が舞台のミステリなんてわたしは知りません(笑)。これはやっちゃったもの勝ちだね。著者は史学専攻だったりするのでしょうか。イスラムの神秘主義者(スーフィ)を主人公にストーリーは進んでいくのだが。宗教問答の最中に何度か寝そうになりました。着眼はいいと思う。幕引きの美しさも良かった。でも、もう少しエンタテイメント性って奴を持たせようよ。
凡人たるわたしは何事もカテゴライズせずにはいられないのだが、独自の倫理観を持つ者だけにありえる犯罪動機、犯行方法という点で、エーコの『薔薇の名前』(修道院)、京極夏彦の『鉄鼠の檻』(仏教寺院)に通じるものを感じた。スケール、完成度ともにこれらより落ちるのは残念だけど。でももう一回イスラムネタで勝負してもいいんじゃないかな。なんにせよ面白そうな作家なので次回作も読んでみたい。[2000/09]
第二次大戦中のドイツ。私生児を身篭ったマルガレーテはナチスの施設「命の泉」に身を寄せていた。日々の糧を得るためにナチスの医師クラウスの求婚を受け入れたマルガレーテだったが、不老不死を研究するクラウスは忌まわしき人体実験に手を染めていた。激しさを増していく戦況の中で、クラウスの狂気がマルガレーテを追い詰めていく。
わたしにとって失敗だったのはこの作品を日曜日の夜に読みはじめたこと。おかげで水曜日まで睡眠不足に悩まされることに。どうせ読むなら週末かけて一気に読み切るべし。読み始めたら止まらない。物語読み冥利に尽きる至福の時を過ごさせてくれる一冊。
「命の泉(レーベンスボルン」はナチスが建設した育児施設。優秀なアーリア民族の血統を守ることを至上命題とし、各地の占領地から「保護」された幼児たちが養われている。この設定だけで背筋が震えてきたのだが、戦争中のドイツでは実際に存在した施設なのだそうだ。事実に裏付けられたリアリティなのだろうか。レーベンスボルンの汚濁に塗れた地獄絵がありありと浮かび上がってくるのだ。
狂気の医師、天使の声を持つポーランド孤児、薬物投与で成人させられた少女、双頭のカストラート、地下迷宮、そして忘れ去られた古城。作者独特の美への憧憬によって全編が貫かれている。狂気の医師クラウスによってもたらされる悪夢の世界のなんと美しいことか。
皆川博子構想十年の大作。確かにこれは量産の効く作品じゃないよなあ。かくも感動的な大団円で締めくくっておきながら、最後の最後に「これ」ですかい。ほとほとまいりました。[2000/09]
航空ショウでアクロバット飛行中のパイロットが銃殺された。死亡したパイロットは複座の曲芸用飛行機で後方座席に座った状態で「後ろから」撃たれていた。果たして誰がいかなる手段で彼を狙撃したのか。お馴染みの阿漕荘の面々が謎に挑む。
Vシリーズと呼ぶらしいこのシリーズ。なんで?とにかくシリーズ5作目。ペース早いですね森センセ。他にも書いてるのに。いつもの面々が例によって殺人事件に巻き込まれていきます。今回は練無クンのお話。普段と違ってちょっぴりセンチメンタルな練無クンと嫉妬に燃える(笑)紫子さんが見られたのが収穫だろうか。本編の謎と関係無い癖に作中出ずっぱりだった各務亜樹良。おかげで本編のヒロインの筈だった関根杏奈嬢がメチャ霞んでるんですけど。一冊かけて前振りなのだろうか。また出てきそう。なんとなく嫌だな。[2000/09] ⇒次巻
親友の恋人、津野麻由子に恋してしまった敦賀崇史。彼女の心を手に入れるために彼は何をしたのか。錯綜する記憶。浮かび上がる疑惑。信じていた世界がほころび始めたとき麻由子が失踪した。真実を追い求める崇史が最後にたどりついた真実とは。
東野圭吾1995年の作品。現在では信じられない頻度で傑作を量産しているこの作家も、この頃は傑作率5割から6割程度だったような気がします。ま、それでも十分すごいけどね。分厚さをものともしない読みやすさ、ストーリー展開の巧さはたいしたものなんだけど、どこかこの頃の作中人物って嘘っぽいというか、生々しさにかけるというか、今一歩食い足りないんだなあ。[2000/09]
幸せな日常がこのまま続くと思っていた。ずっとこのままでいられると思っていたのに。幼い頃の絶望的な孤独が浩平を「えいえんの世界」へと誘う。
シリーズ第4弾。「乙女」に憧れる少女七瀬留美編。ゲーム中では屈指のお笑いシナリオだったのでどう料理するのか心配していたのだが、予想通り小説になってしまうとあの独特の爆笑感は出てこない。となるとひたすら原作のストーリーを追いかけていくことになるのだが、これが退屈なのだ。小説オリジナル要素の苛めっ子との和解シーンは無理矢理な感じで実に嘘っぽい。内容的に視点が七瀬になるのは仕方が無いと思うのだが、これまでの3作に比べてと仕掛けに乏しい感じが否めない。[2000/09]
1999年5月。深夜のノンフィクション番組『NONFIX』で「放送禁止歌」をテーマとした番組が放映された。本番組を企画した筆者は制作の過程において様々な壁に突き当たる。規制は誰が行っているのか。そしてその基準は、何故規制されなければならないのか、調査を進める筆者の前に意外な真相が浮かび上がってくる。
『NONFIX』は時々見てるんだけどこの回は放映が月曜日の午前4時代だったということもあって見逃している。番組内容知っていたら録画してでも見たんだけどなあ。
赤い鳥『竹田の子守り歌』。岡林信康『手紙』。泉谷しげる『戦争小唄』。わたしの世代では70年代フォークの名曲と言われてもいまひとつピンと来ないのが残念なのだが、『ほたる』『とおりゃんせ』『かごめかごめ』なんてのもダメらしい。ここまで来ると空恐ろしさすら感じてしまう。
根底にあるのは事なかれ主義そして心の中にある差別意識。とにかくヤバそうなものは避けとこう、蓋被せとこうという思考停止は、自分の仕事でもとても良くある話で、同じ立場だったらきっと右向け右してるんじゃなかろうか、とも思ってしまう。筆者のインタビューを受けた元ディレクターの言葉「絶対に誰も傷つかない表現などありえない」というのは実に重い言葉だと痛感させられた。[2000/09]
1997年フランスワールドカップアジア地区最終予選。悲願の本選出場を期待されながらも苦戦する全日本イレブン。予選序盤からまさかの敗戦、加茂監督の更迭、そしてジョホールバルの最終戦まで、綿密な取材により71日間の闘いの全貌を明らかにしていく。
いまさらですがフランスワールドカップのドキュメント。ものすごく売れたであろう単行本の文庫化作品。タイトル格好いいですね。ぞくぞくしてきます。フランス大会、そして今回のオリンピックで、サッカーは完全に日本のナショナリズムを背負うスポーツになっちゃいましたね。
中田英寿と川口能活。このふたりとの個人的な親交が本書の圧倒的なアドバンテージとなっているのは否めないが、批判すべきところは断固として批判しているところは立派だと思う。特に加茂批判は痛烈で、この本でけっこう敵増やしたんじゃないだろうか。
豊富なエピソードを独自のサッカー観が裏支えしており、それほどサッカーに詳しくない人間でもでも十分楽しめる一冊となっている。[2000/09]