久々に20冊台に!仕事が忙しい時でも意外と読めるもんです。他の娯楽しなくなるので。
が、そこそこヒットはあったものの、今月は★★★★はなし。
未読本は順調に減らせたが質的にはちょっと物足りなかったぞ。
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コメント |
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| 青猫屋 | 城戸光子 | 新潮社 | \1,400 |
ラスト美しすぎ。
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★★★☆ |
| イースター島の謎 | A・ゴンドラトフ | 講談社 | \563 |
物足りない。
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★★☆ |
| 横山吉男 | 明星大学 出版部 |
\980 |
巻末の地図は労作。 |
★★★☆ | |
| ジェイ・ロバート・ナッシュ | 草思社 | \1,300 |
憧れます。 |
★★★ | |
| 上遠野浩平 | メディア ワークス |
\550 |
「パンドラ」に近い読後感。 |
★★★☆ | |
| 霧舎巧 | 講談社 | \1,100 |
新本格のガジェットがふんだんに。 |
★★★☆ | |
| 乙一 | 集英社 | \857 |
「はじめ」がいいです。 |
★★★☆ | |
| 中谷彰宏 | ダイヤモンド社 | \1,500 |
この業界をざっと知るにはいいと思う。 |
★★★ | |
| 祖父江孝男 | 新潮社 | \581 |
暇つぶしに。 |
★★★ | |
| 霧舎巧 | 講談社 | \1,150 |
霧舎版獄門島。 |
★★★☆ | |
| 栗本薫 | 早川書房 | \540 |
久々のレムス(本体)出ずっぱり。 |
★★★ | |
| D2コミュニケーションズ | 東洋経済 新報社 |
\1,600 |
まあ役に立つかも。 |
★★★ | |
| 香山リカ +バンダイキャラクター研究所 |
学研 | \1,400 |
勝手に決めるな。 |
★★☆ | |
| 浦賀和宏 | 幻冬舎 | \1,600 |
やっぱり浦賀小説 |
★★★☆ | |
| 乙一 | 幻冬舎 | \457 |
小学生はタイヘン。 |
★★★☆ | |
| アマンダ | アンドリュー ・クラヴァン |
角川書店 | \933 |
軽快なテンポが心地よい。
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★★★ |
| 馳星周 金子達仁 |
文藝春秋 | \514 |
旬を外して読むと寂しい。
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★★★ | |
| 岩本隆雄 | 朝日ソノラマ | \533 |
ちょっとこそばゆいけどいい話です。王道行ってます。
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★★★ | |
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青猫屋 [城戸光子] ★★★☆ 新潮社 (\1,400) [Amazon] |
| ついでに…… 『佐屋路 歴史散歩』@日下英之 <<宮-桑名間の脇往還 |
アメリカ合衆国・初代皇帝ジョシュア・ノートン。一生歌わなかったプリマドンナ、ガンナ・ワルスカ。ミイラになって自説を貫いたジェレミー・ベンサム。旗竿の上に立ち続けた男、アルヴィン・ケリー。人口20人の王国を樹立したレナード・ケイズリー……。世界に名だたる奇人の数々を一同に網羅した一大カタログ。
原題は「Zanies」。zanyとは名詞でエキセントリックな人間、形容詞で奇想天外な、不合理な、愚かな、といった意。著者は本著を10年かけてまとめあげているそうで、厳格な条件の中かからきわめつけの奇人変人ばかりを選りすぐっている。その数、総勢61名。
某オフで貸与していただいた一冊。一読してまず言えるのは「金持ちって素晴らしい」ってことだろう。えっ、ダメ?幼妻に狂おうとも、生前に盛大な葬儀をさせようとも、呆れるほどの暴飲暴食に明け暮れようとも、先立つものがあっての話だもんなあ。貧乏人としてはひたすら羨ましい。
主として19世紀から20世紀初期のアメリカで活躍した人物を取り扱っているのだが、やはりアメリカの奇人変人は筋金入りというか、一本ネジが抜けてるというか、どいつもこいつも行き着くところまで行ってしまっている。この手の人間は傍に居られたら迷惑で仕方がないのだろうが、各時代時代に必ず何人かは居てくれないと、それはそれで世の中が寂しくなってしまう類の連中なんだろうなあ。[2001/10]
平凡な高校生結城玲治と冴えないフリーター濱田聖子。しかし彼らこそがいまをときめく伝説の犯罪者「ホーリー&ゴースト」なのだ。正体不明の存在スリム・シェイプに導かれるままに凶悪犯罪に手を染めていく二人。世界の敵<ロック・ボトム>を巡る危険な賭けの結末は……。
電撃文庫の看板シリーズ。実写で映画になって、TVアニメになって、コミックスも出て、一通りメディアミックス展開完了!と、いったところだろうか。本家の小説ブギーポップシリーズは11冊目。うげ。もう11冊なのか。一向に終わる気配が微塵もないのだが、このまましばらく続くのだろうか。頭の中では各作品ごとの時系列がぐちゃぐちゃのままなので、完結したら最初から読み直したいんだけど。
シリーズも11冊目ともなると、説明無しでわらわらキャラクターが出てくるので、いきなりこれから読んだらまず間違いなく意味不明(んな奴はいないだろうけど)。あらすじだけ読むとハラハラドキドキのピカレスク小説なのか!と、瞬間思わないでもないのだが、上遠野浩平が書いてそんな話になるわけがない。ブギーポップシリーズは断片を見せる物語なんだと思う。時代の気分をキレイに切り取ってくる手際の良さは、いつもながら嘆息したくなる程いいセンス。ひたすら前向きな濱田聖子嬢も◎。[2001/10] ⇒次巻
富豪、氷室流侃の築いたゴシック様式の壮麗な洋館「流氷館」。この地を訪れた<<あかずの扉>>研究会の一行。そこでは驚天動地の出来事が起こっていた。消失した館の人々は、全く同じ間取りのもう一つの流氷館に閉じこめられているというのだ。殺人鬼が暗躍する中、次々と数を増していく犠牲者たち。犯人は何処に。そして流氷館の秘密とは。
第12回メフィスト賞受賞作品。メフィスト賞にしてはけっこう普通にミステリしていていて少し意外。ペンネームの名付け親は島田荘司。
「懐かしい」。この作品を読んでまず感じたのは強烈な懐かしさだった。新本格ってのもジャンルとして確立されてきたってことなのか。いかにも仕掛け満載風の洋館に学生推理サークルの面々、エキセントリックなヒロインにちょっと抜けてる主人公。どっかで見たような設定てんこもりの大盤振る舞いに最初はたじろぐ。ここまでありがちな設定でいいのかと思う反面、こういうのをまた読んでみたかったんだと喜んでいる自分もいたりして心中は複雑。綾辻も有栖川も近頃こういうの書かないからなあ。
120ページにもなる解決編が圧巻。前半から丁寧に読んでいかないと後半わけわからなくなっていくので注意が必要。ダブル名探偵の推理合戦というのは面白い趣向かも。久々の館モノを堪能した。次の『カレイドスコープ島』も入手済みなので早速読んでみるつもり。
ところで疑問が一つ。ユイはどうして遠峯先生にわざわざチラシを届けたの?すっごく謎なんだけど。これも読みが浅いのかなあ……。[2001/10] ⇒次巻
| ついでに…… 『四月は霧の00密室』@霧舎巧 <<微妙に関連。 |
幼い頃に消息を絶った母の足跡を求めて故郷の山に登った私とその同僚。目を見ると石にされるという、妖怪石ノ目の伝説が残るこの山で、私は奇妙な老婆に出会う。表題作「石ノ目」を始め、幻聴としてしか存在しない奇妙な友人との交流を描いた「はじめ」、命が宿ったぬいぐるみの活躍を描く「BLUE」、タトゥーの犬が巻き起こす騒動を描く「平面いぬ。」の4編を収録した短編集。
ジャンプノベル(現在休刊)に掲載されていた三作品に書き下ろし1作を加えた短編集。「石ノ目」はジャンノベルVol-16(1999/9/25号)、「はじめ」はジャンノベルVol-14(1999/5/3号)、「BLUE」はジャンノベルVol-15(1998/5/1号)にそれぞれ掲載されたもの。「平面いぬ」も本来はジャンプノベルに収録を予定していた作品なのだが、掲載を前にして雑誌の方が休刊となってしまい、宙に浮いていた作品らしい。
では簡単にざっと各編を。まずは表題作「石ノ目」。民間伝承を取り入れた作品。キャラクターの古風な台詞回しが特徴的で乙一らしい。しかし必ず一ひねり入れて決ますな。この作家は。
「はじめ」。キーワードは、地方都市、地下水路、自分たちだけにしか見えない女の子。ベタなんだけど、この手のちょっぴり泣ける系ジュブナイル路線にめっぽう弱いのでイチオシとしておこう。
「BLUE」。いきなり舞台が海外に!横文字の登場人物に違和感を覚えるが、中身は乙一テイスト(当たり前だが)。これもいい話だがインパクトはちと弱い。
ラストは「平面いぬ」。ヘンな話だ。入れ墨で書いて貰った犬に生命が宿る。折しも自分以外の家族三人が不治の病であることがわかる(おぃ)。なんだよそれ?と読み手を戸惑わせつつも、ラストには爽やかな感動が(マジ)。ある意味一番乙一らしい作品と言えるのかもしれない。[2001/10]
ネットビジネスはライフスタイルを変える。秒進分歩のIT業界。驚異的なスピードで変化し続けるこの業界を理解するには、難解な専門書を読むよりも、最先端を走るトップに話を聞くのが一番早い。いち早く成功を収め、なお次のステージへと向かおうとする五人の企業家を採り上げ、このビジネスの本質に迫る。
中谷彰宏。年間著作数十冊という驚異的な刊行速度がウリ。恋愛論や人生論、ビジネス関連の啓蒙書、小説に至るまで多数執筆。『面接の達人』は就職活動で誰もが一度は手に取っているのでは。
とにかく中谷彰宏って、いかにも胡散臭そうなので、正直言って苦手というか、嫌いというか、まるでタイプじゃないのだが、これはネタが面白そうなので読んでみた。中谷作品にしては字が多いのが特徴的。2000年7月刊行なので、タイトルは今にしてみるとちと恥ずかしい。もう「IT」とか「e」とか「.com」なんて言葉、恥ずかしくて使えないって。
西川潔@ネットエイジ社長、堀主知ロバート@サイバード社長、三木谷浩史@楽天社長、藤田晋@サイバーエージェント社長、南場智子@ディー・エヌ・エー社長の五人へのインタビュー集。確かにこのラインナップは2001年の今でも豪華だ。なにせベンチャー企業の社長たちだから、とにかく語る言葉が熱い。自らを賭けてない一般雇われ人としてはなんだか身につまされてくるなあ。しかし中谷彰宏があまり表に出てこない分、この本は面白かった。[2001/10]
東北人は無口で忍耐強い。九州人は陽気で開放的。まことしやかに語られる、お国柄、県民性とは果たして現在でも存在するのか。文化人類学の泰斗が47の都道府県ごとに章立ててそれぞれの傾向を的確に指摘。出身県ごとの人柄の特徴を、全国規模の統計データを元に分析していく。
1993年に『出身県でわかる人柄の本』として同文書院より刊行されたものに、大幅に加筆修正を施したのが本書。時々この手の雑学本って読みたくなる。電車の行き帰りで読むには丁度いい。
論拠を構成するのに、主としてNHK放送文化研究所が行った全国県民意識調査なるものを基礎的な資料としているのだが、それ意外では、様々な文献(小説からも!)からの引用や、知人友人からの伝聞が多数を占めておりこの点は少々気になる。確固たる正解の無いテーマだから仕方のないことなのかもしれないが、「〜という」「〜ようだ」が連発されているのには驚いた。[2001/10]
<あかずの扉>研究会の次なる事件は八丈島沖に浮かぶ孤島、竹取島と月島で起こった。奇妙な面、竹取物語に因んだ家宝の数々、不可思議な嫁取りの儀式……。古い因習をいまなお残す閉鎖的な島で次々と発生する殺人事件。ユイの友人、金本鈴の招きに応じて島を訪れた一行はまたしても事件に巻き込まれる。
霧舎巧の第二作。『ドッペルゲンガー宮』に続く<あかずの扉>研究会シリーズの第二弾でもある。前作がクリスティの『そして誰もいなくなった』をモチーフにしたものだとすれば、本作は横溝正史の『獄門島』を下敷きにしたもの。
本格系のミステリ突っ込んでも仕方がないんだが、長さのわりにはキャラのかき分けが乏しかったような……、特に被害者の皆さんね。「人間が書けてない」なんて言うつもりはさらさらないんだけど、死んだ後でこいつ誰だっけ?なんて読者に思わせちゃうのは不味いでしょ。とはいえ、既にわたしにとってこのシリーズはキャラ萌え小説なので、ユイちゃんがかわいければそれで良し。更に謎が増えた感のある、ユイと後動さんの過去が気になるぞ。次作からは新本買い決定。[2001/10] ⇒次巻
| ついでに…… 『六月はイニシャルトークDE連続誘拐』@霧舎巧 <<微妙に関連。 |
タルーの襲撃を退け、再びパロへの進軍を続けるゴーラ軍だったが、正体不明の軍勢が行く手に立ちはだかる。しかし遂にパロ領へ入ったイシュトヴァーンの前に竜頭の巨人が現れる。一方、ケイロニア王グインは遂に7年ぶりのレムスとの再会を果たす。竜王と豹頭王の会見の行方は……。
グインサーガ81巻。表紙はレムス。ああ、すっかり目つきの悪いガキになっちゃって。今回の特筆すべき事項はレムス本体がしっかり生きていたことだろう。さすがにここいらヘンでレムス本人の描写を入れとかないと将来的な辻褄あわせが大変になるからなあ。ヤンダルの操り人形状態から、パロ中興の祖まで祭り上げて行かないといけないからね。ストーリー的にはこのままグインのクリスタルパレス魔界動物園見学へと続く予感。
それにしてもあとがきはいつにもましてヤバイ印象を受けるのだが、大丈夫か>作者。かなり追いつめられてしまっているようなハイテンションぶりが気になる。[2001/10] ⇒次巻
爆発的勢いで増え続け4,000万台を突破したモバイル端末。世界でも類を見ないこの現象の中でモバイル広告という新しい概念が登場している。Web広告と何が異なり、またどんな部分に優位性があるのか、効果的な配信方法とは何か、具体的な成功事例をひもときつつ詳説する次世代のマーケティング手法の数々。
D2コミュニケーションズ。通称D2Cは2000年6月、NTTドコモ、NTTアド(NTTお抱えの広告会社)、電通の3社が出資して発足した広告代理店。つまりドコモの子会社なわけで、「世界初!モバイル広告を事業化」なんてすごいことが書いてあるけど、巨大な媒体力を持つ企業が、その広告代理店業務を子会社にやらせてるだけ。よって、この点は別に偉くもなんともない。
興味深いのは具体的な活用事例だろう。iモードのバナー広告は24×92ピクセル分のスペースしかない。まあ、あの狭い携帯画面に表示しなくてはならないのだからこれは仕方のないところ。この枠が10万配信保証で50万円する(昔はもっと高かった)。これが高いか安いかはどれだけ活用出来ているかで違ってくる。リアルな店舗を持っている大企業はこの点さすがにたいしたもので、しっかり実を上げている。具体的なノウハウがサイトの広告の配信テキストの部分まで掲載されているので、実際にこっち方面の仕事をしている人間にとっては非常に役に立つ一冊。
Webの広告はクリックスルーレート(CTR)が激減しており、効果が疑問視され、扱っている代理店はどこも苦戦している。その中で一人鼻息が荒いD2Cのモバイル広告が今後どれだけ普及していくかは見物と言っていいだろう。[2001/10]
世界有数のキャラクター大国日本。幼い頃からキャラクターに囲まれて育ち、成人の男女があたりまえのようにキャラクターグッズを身につけている現状。何故この国でこれほどまでに特異な文化が成立したのか。現代人はキャラクターにいったい何を求めているのか。そしてどんな影響が生じているだろうか。
香山リカはゲームする人ならお馴染みの精神科医。神戸芸術工科大学の助教授(そうだったんだ)。専門は精神病理学だが、ゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。加えてバンダイキャラクター研究所は読んで字の通り、キャラクターを扱わせたら日本一の玩具メーカー、バンダイが2000年5月に設立した研究所。
キャラクターなしには子供と会話が出来ない母親、子供をキャラクター化して自らの苦しみを仮託する母親。仕事場の周りにキャラクターの城壁を築くことでストレスに対処している会社員。キャラクターグッズ集めに自らのアイデンティティを求める初老男性。うーん、ちょっと心当たりがあったりする自分としては気まずい部分があるのだが、少々極端な例ばかりをとりあげて、論拠を構成しすぎてないだろうか。世の中そんな特異なパターンばかりというわけではないと思うのだが。いかがなもんでだろうか。
「なのかもしれない」「といった気がする」といった類の締め方が多いのも気持ち悪い。あんたがそう思いこむのは勝手だけど、だったらせめてこういうことはしっかり言い切って欲しい。[2001/10]
香奈子と貴治が出会った奇妙な女、由子は明らかに様子がおかしかった。「あなたはアヤコさんではないですか?」と執拗にいいつのる由子を、貴治はちょっとした好奇心から家に連れ帰る。一方、大学生根本は、引き籠もりを続ける妹の亜矢子が、実は多重人格障害であることを知る。その数日後貴治は何物かに刺殺される。その背後には一人の女の影が見え隠れしていた。
浦賀和宏、第7作目の作品。初の非講談社系作品。書き下ろし738枚。
安藤シリーズでなかろうが、講談社から出ていなかろうが、浦賀和宏の書く小説である以上、それはミステリでもホラーでもなく「浦賀小説」である。心の中のなにかが壊れたキャラクターたちが織りなす、不生産で不毛で欲望ドロドロで、それでいてどこか名状しがたい切なさが奇跡のようにがラストに漂う物語群。本作もその例には漏れない。
って、のっけから少々褒めすぎのような気もするが、今回も良かった。なにしろタイトルが『彼女は存在しない』なのだ。『眠りの牢獄』でしっかりしてやられた読者としては、今度こそ浦賀には騙されないぞ!と心に誓って読み進める。いったいどの彼女が「存在しない」のか、選択肢は限られているのに最後までミスリードされまくりだったよ。用心してたわりにはキレイに騙されてるあたり、かなり頭が悪いのかも>自分。一人称の彼女が一番怪しいのは分かり切ってる筈なのにね。[2001/10]
ふとした行き違いから新任の担任教師、羽田から目の仇にされてしまったマサオ。それ以来マサオはクラスの誰からも相手にされない最下級の存在に突き落とされた。地獄のような生活の中で一人我慢を続けるマサオの前にグロテスクな容貌の少年が現れる。真っ青な顔面。片耳はそげ落ち、靴ひもで縫い止められた切り裂かれた口。その日からマサオの復讐が始まった。
乙一最新作。えっとこれで何作目だろ?『夏と花火とわたしの死体』×2、『天帝妖狐』×2、『石ノ目』『暗黒童話』『失踪Holiday』『君にしか聞こえない』ってことだから、通算で8作目か。今年になって5冊だからすごいペースだ。大学卒業して専業化した効果なのだろうか。
さて、小学校時代がロクでもなかったと思う方。あの時代は暗黒時代だったと思う方。その手の向きにはお奨めかも知れない一冊。小学生の世界という奴は今にして思えば信じられないほど狭く閉じた世界で、その世界の中では、教師に指されて答えられないのも、宿題を忘れるのも、大嫌いな給食を時間内に食べなきゃいけないってことも、どれも等しく拷問のような辛さで、一つ一つの過ちが小学校人生→「終了」に直結しかねない(ホントはそんなこと全然ない)。別に自分は特別虐められていたわけではないんだけど、あの頃ばかりは戻っていいと言われても二度と戻りたくはないなあ。
とことん追いつめられ、切羽詰まったマサオは秘密の友人アオと共に羽田先生への復讐を企てるわけなんだが、うだるような暑さの中で、羽田のアパートを暗い目つきで監視しているちょっと小太りの小学生の姿は想像するだに怖ろしい。だけど、誰もがそんなマサオになり得ていたかもしれない。生存権を脅かされた子供ってのはキレると怖いんだから。[2001/10]
キャロルは追われていた。娘のアマンダに秘められた能力故に。組織の追撃を逃れ、街娼にまで身を落としながら逃亡を続けるキャロル。ある晩、追いつめられた彼女はサックス奏者ルーニーに助けを求める。彼女を助けたことから事件に巻き込まれていくルーニー。冷酷無比な追っ手が背後に迫る。アマンダの秘密とは何なのか。
『秘密の友人』で一躍知られるようにあったアンドリュー・クラヴァンの作品。マーガレット・トレイシー、キース・ピーターソン名義でも作品を発表している。紛らわしくて仕方がなかったんだけど、ここんとこずっとアンドリュー・クラヴァン名義なのでこれ一本に決めたってことなのだろうか。
先日読んだ『ベラム館の亡霊』がイマイチだったので、少々心配していたのだがそんな心配はことは無駄だった。流れるようにスピーディな展開、メリハリを心得た作劇、魅力的なバイプレーヤーの創出と心憎いばかり。さすがはクラヴァン。巧いぞ。主人公ルーニーの活躍振りがちょっと超人的過ぎるんじゃないかと思わないでもないのだが、展開の面白さの前にその疑念が浮かぶ前にもう読了してしてしまっているというのが何ともはや。ラストもこれしかないって程の綺麗な締めくくり方で◎。[2001/10]
1998年。日本が初めて挑んだサッカーワールドカップは予選リーグ3選全敗という苦い結果に終わった。フランスで何が起こっていたのか。何故日本は負けたのか。そして得たものは何だったのか。何が足りないのか。2002年を見据えて、馳星周と金子達仁の二人が日本サッカー界の問題点に鋭く斬り込む。
1998年に単行本として刊行されていた作品の文庫版。1998年当時、主に「ナンバー」誌に掲載されていた馳星周と金子達仁のエッセイ類を一冊にまとめたもの。文庫版では新たに2001年に行われた対談が1本追加されている。
やはりこの手の文章は旬を外して読むと寂しい。かなり記憶が薄れてきている。あの熱狂の当時にこそ読んでおくべき作品だったのだが……。金子達仁の作品を何冊か読んできて「何でこの人はこんなに怒ってるんだろう」という疑問が最初の頃はあったのだが、今年サッカーにハマるようになってきて、確かに勝たなきゃ意味無いよなあと思うようになってきた今日この頃。実際の世の中でもそうだけど、いくら善戦しても結果出せなきゃ意味がない。[2001/10]
民田尚顕は不思議な夢を見た。その夢の中で尚顕はひとりの少女に出会う。目が覚めると現実の世界では一大事が起きていた。世界各地に突然降ってきた柱状の物体は、地球上のどんな物質よりも硬く、切断することも、引き抜くことも出来なかった。そしてゴビ砂漠上には巨大な塔が出現。そこから発せられたメッセージに人類は驚愕した。それは先史文明が残した超科学の遺構だったのだ。
岩村隆雄は新潮社のファンタジー・ノベルシリーズでデビュー。『星虫』『イーシャの舟』を上梓。10年の沈黙の後に2000年に入ってソノラマ文庫で復活を遂げた。旧作二作の大幅なリメイクに加え『鵺姫真話』を発表。そして最新作となるのがこの『ミドリノツキ』。いまのところ『星虫』シリーズとは関係ない模様。
この作家の作風の変わら無さ加減はすごいのではないだろうか。ネットに関しての記述が増えた程度で、現代を感じさせるようなテイストはほとんど盛り込まれていない。昔に書かれたジュブナイル作品を読んでいる気分。いかにもソノラマ的なイラストとの相乗効果もあってか、80年代の作品だと言っても信じるね。最近の若い人たちがこの本読むとどう感じるのが知りたいところだ。
アメリカ大統領の孫娘で金メダリスト(当然才色兼備)、っていうヒロイン設定がすごい。ライトノベルで合衆国大統領なんて登場させちゃうと途端に話が陳腐になっちゃうんだけどなあ。上巻、中巻で極限にまで広げきった大風呂敷が果たしてちゃんと畳めるのかどうかエラク不安だったのだが、なんとか下巻でまとめきった……、かな?突っ込み所が無いわけじゃないんだけど、細かく考証をどうこう突き詰めなきゃならんタイプの作品じゃないからその点は見逃していいか。
清く正しい正統派エスエフジュブナイル作品。ただこの真っ直ぐさは、擦れ切った30代読者にはさすがにちと辛い。[2001/10]