2002年1月

ガーン。なんと5冊と低調……。
引越したり、ネコを家に連れて来たりでドタバタしてたからなあ。2月は頑張ろう。

書籍名
作家名
出版社
価格
コメント
お薦め度
鏡の中は日曜日 殊能将之 講談社 \820
あれフツウに戻っちゃった。
★★★

バベル消滅

飛鳥部勝則 角川書店 \2,200
絵がキモイ。
★★☆

奇跡の人

真保裕一 新潮社 \743
この主人公にどう感情移入しろと……。
★★★

黒と茶の幻想

恩田陸 講談社 \2,000
恩田度極めて高し。たまらんですよ。これ。
★★★★

うちの猫はおりこうさん?

ジョエル
・ドゥハッス
マガジン
ハウス
\1,200
うちのネコもおりこうさんにしたい……。
★★★

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鏡の中は日曜日 [殊能将之] ★★★ 講談社 講談社ノベルズ (\820) [Amazon]

鏡の中は日曜日

異端のフランス文学者瑞門龍司郎の住む館「梵貝荘」。そこはほら貝を擬した独特の構造となっていた。この館で起きた謎めいた殺人事件。何故弁護士は殺害されたのか。誰が、いかなる手段で。名探偵が告げる意外な真相。しかしこの事件の真相は間違っていた?名探偵の下した結論に歳月を経て再びスポットライトがあたる時、隠されていた人間模様が浮かび上がってくる。

書き下ろし作品。殊能将之の第四作。名探偵石動戯作シリーズとしては第三弾となる。なにせ前作『黒い仏』をあんなオチにしちゃったこの作家。ある意味究極ともいえる禁じ手を使ってしまったチャレンジャーさんなのだが、それだけに今度はどう来るのかとても気になるところ。

帯にだまされた人は多いだろう。名探偵最後の事件!ああ、やっとうざったい石動戯作が消えてくれるのか。これからはアントニオメインで、エスエフだろうが、ファンタジーだろうがなんてもこいだ。と、密かに喜んでいたアンチ石動のわたしなのだが、やはりそううまくはいかないもので、サイコサスペンス→本格ミステリ→ライトノベル(笑)と続いて今度は叙述トリックものなのだった。またしても新たなカードを切ってきたわけで、こうなると次の作品も気になるなあ。次は重厚なハードボイルド路線を希望(石動使う段階で無理)。[2002/01]

バベル消滅 [飛鳥部勝則] ★★☆ 角川書店 (\2,200) [Amazon]

バベル消滅

佐渡島と粟島の中間に位置する鷹島。平穏なこの島で突如発生した殺人事件。犯人はすぐに逮捕されるが続いて不自然な事故死体が発見される。そしてまた新たな死体が。これらは連続するなんらかの犯罪なのか、それとも単なる偶然なのか。いずれの死体発見現場からも「バベルの塔」を描いた絵画が発見されるのだが。

1999年作品。『殉教カテリナ車輪』に続く飛鳥部勝則の第二作。前作は第9回の鮎川哲也賞を授賞しており、本作は授賞後第一作となる。

ミステリに図像学という概念を持ち込み、更に自作の絵画をそこに投入、かつてない新鮮さを感じさせた前作だったのだが、さて本作、さすがにそうそう自作の絵を次から次へと書き上げるわけにはいかないわけで、今回自作絵画は1点だけ。その他は既存の名作絵画を利用。このスタイルは量産効かないから、こうやってくのが正解だろう。今回は叙述トリック。なんだが、切れ味はイマイチ。どう読んでもこれってバレバレなのでは?ヒロインもちょっと電波出過ぎ。[2002/01]  

奇跡の人 [真保裕一] ★★★ 新潮社 新潮文庫 (\743) [Amazon]

奇跡の人

相馬克己は奇跡の人だった。絶望的な脳死状態から復活を遂げ、8年かけて半身不随状態から立ち直り、言葉を取り戻し、そしていま退院の日を迎えていた。しかし事故の代償として相馬の記憶は一切が失われていた。母を亡くし、天涯孤独となった相馬は自らの生い立ちを求めて、旅に出るのだが、その先々で意外な事実を知らされることになる。

1997年に角川書店から単行本として刊行されていた作品の文庫判。何故か新潮社から出ているのが謎だ。

なにせ真保裕一なので筆運びにはいささかの遅滞もなく、最後まで一気に読まざるを得ないくらいストーリーテリングは巧みで飽きさせない。だがしかし、だ。この主人公のキャラクター造形がすごい。というか、ヒドイ。かつて札付きのチンピラだった主人公が、事故によって記憶を失い、子供のように純朴な人格として再生。しかし過去を知るにつれ、記憶は決して戻らないのに、かつての粘着質な性格だけが蘇ってしまう。元恋人を執拗なまでに付け回す主人公の姿に、本当は人間の悲劇を読み取らなきゃいけないのかもしれないが、ただ単に気持ち悪いだけなのは読み手がひねくれているから?迷惑千万なラストもいただけない。[2002/01]

黒と茶の幻想 [恩田陸] ★★★★ 講談社 (\2,000) [Amazon]

黒と茶の幻想

卒業から十数年。それぞれの思惑を胸に久々に集った4人の男女。利枝子、彰彦、蒔生、節子。現実から離れ、太古の森の中をさまよう四人。Y島の原生林の中で告白されるそれぞれの過去の秘密。語られる謎の数々。解き明かされていく心の闇。旅の終わりに彼らがたどりついたそれぞれの結論とは。

「メフィスト」誌、2000年5月号〜2001年9月号に連載されていた作品を単行本化したもの。本作は『三月は深き紅の淵を』の系譜に連なる作品の一つで、その第一章「待っている人々」の中で言及されている。本作に対してもっとも的確なコメントは実はこれなのかもしれない。

分厚い。619頁。いっそのこと二段組にした方がいいんじゃないかという気もするのだが、あえてボリューム感を出すことを狙ったのだろうか>講談社。歴代恩田作品中でもこれは最長の長さ。全体は4つの章に分かれていて、それぞれを四人の登場人物の視点で描いていく。同じエピソードを4人の視点から何度も描くのではなく、1つの物語が語り手を変えて順々に綴られていくというタイプ。これはロレンス・ダレルの『アレキサンドリア・カルテット』(筆者は未読)のひそみにならったものらしい。

もっとも恩田作品らしい一冊であるといっていい。魅力的な謎の数々。機知に富んだ会話。束の間の非日常の世界。そして「三月」に連なる作品であること。ファンならため息がでる程の垂涎のバラエティだろう。恩田陸のエッセンスがふんだんに盛り込まれた全力投球作品に仕上がっている。

次から次へと飛び出してくる謎を解き明かしつつ、彼らの中でわだかまりとなっていた学生時代のある事件についての真相に迫っていく。その過程の中でそれぞれの人生が語られていき、愛すること、憎むこと、そして生きていくことについて問いかけていく。こうやって書いてしまうと簡単そうだが、このとてつもないボリュームの中で破綻なくそれをしてのけるのは難しい。失礼ながら上手くなったなあと感じたのはこれが初めてだ。

本作には描かれることの無かった第5の章がある。というのは言いがかりなのだが、直接登場することはなく、他者の視点で語られて行く中で浮かび上がる憂理の肖像。彼女はこれまた「三月」の系譜に連なる作品の一つである『麦の海に沈む果実』の登場人物なのだが、そのキャラクターは年代の違いをさっ引いてもいささか同一人物とは断じにくい。わざとやってるんだろうけど、この微妙なずらしかたが「三月」世界をより重層的なものに見せてくれていて実に巧いと思う。[2002/01]

うちの猫はおりこうさん?
[ジョエル・ドゥハッス] ★★★ マガジンハウス (\1,200) [Amazon]

うちの猫はおりこうさん?―ヨーロッパ式「マンション猫」のしつけ

猫は犬のようにしつけることは出来るのか?頭が良くて清潔好きで、それでいてよく懐いた猫と生活するにはどうするべきなのか。種としての猫。その社会性。そして子猫を迎えるにあたっての諸注意。基本的なしつけの方法に至るまで、ヨーロッパ式の「マンション猫」の育成方法について詳細に解説していく。

筆者はブリュッセル生まれの獣医師。犬と猫の行動学に造詣が深く、他にも何冊か訳出された著作がある。某ネコ様を自宅に迎えるにあたり購入してみた。あくまでもヨーロッパで書かれた本なので、日本の事情とは異なっている面もあり、時折?と首を傾げたくなることがあるものの、概して説明は具体的かつ平易に書かれているので分かりやすい。

この本を読めば絶対に失敗はないらしく、それでも駄目な場合は猫が悪い、のだそうだ<おいおい。なにかというと、問題行動→投薬で治療!と来るのも少し怖いのだが、これってわりと西欧では当たり前なのだろうか?[2002/01]

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