朽ちる散る落ちる [森博嗣] ★★★ 講談社 講談社ノベルズ (\840) [Amazon]
凄惨な事件の繰り広げられた土井超音波研究所を再び訪れた阿漕荘の面々。研究所の地下から新たな殺人死体が発見されたというのだ。完全な密室と思われる状況の中で、いかにして殺人は起こったのか。また、その一方では地球に帰還した有人衛星の乗組員が全員殺害されるという不可能犯罪が発生していた。事件を調べていた紅子を謎の男たちが襲う。
Vシリーズ9作目。「前人未踏の宇宙密室!」という惹句に騙されちゃダメだ。どう関連づけるのかと思ったら全然関係ないじゃん。今回も森センセにありがちな理系オチなのだった。ネタの切れ味としてはやっぱり処女作を越えるものが無いなあ。シリーズシリーズ完結を前にした、わりかし重要なネタバラシの巻だったような気がするのだが、さっぱりわからないのは、読み手にやる気がないから?相変わらずこのシリーズのキャラは愛せない。[2002/06] ⇒次巻
蜃気楼の彼方 グインサーガ85
[栗本薫] ★★☆ 早川書房 早川文庫 (\540) [Amazon]
イシュトヴァーン率いるゴーラ軍の奇襲によって瞬く間に蹂躙されたマルガ。多くの兵士、市民たちが倒れていく中、遂にナリスはイシュトヴァーンの手に陥る。マルガを離れていたリンダとヴァレリウスはケイロニア王グインを頼りナリス奪還の軍を起こす。グインはイシュトヴァーンに会談を申し入れ、遂に両雄は敵同士として相まみえることになる。
85巻。表紙はたぶんリンダ。「とうとう、遂に、やっとこそ、ひょっとしてナリス死んでくれるのかも」という淡い、本当に淡い一縷の望みをあっさり押しつぶし、全然死ぬ気配無し>ナリス。虜囚の憂き目を見ても死ぬ気が無いなら、とっとと降伏すりゃいいのに……。マルガ市民がどれだけ死んだことか。そんな最中に、非常にあっさりと何気なくランとか殺されてるし……。合掌。余計な枝話書かずに済むように、ガンガンいらないキャラクターを整理にかかっている様子。
4章はうっかりすると気付かずに済んでしまいそうなのだが、イシュトヴァーンとリンダの再会シーンなのだ。アルゴスの別離から幾星霜、互いに変わってしまった心と立場。そぞかし印象深いシーンにならなくてはならない筈のこのシーンなのだが、ナリス萌え入ってるイシュトヴァーンと、白痴化が進行中のリンダとの再会では何の感興ももたらさない。せめてリンダの描写をさぼらずにやっていれば、もう少しいい場面になっただろうに。[2002/06] ⇒次巻
耀変黙示録V 炎の蜃気楼34
[桑原水菜] ★★★ 集英社 コバルト文庫 (\476) [Amazon]
織田信長によって拉致された高耶を追って、直江は一路、伊勢へと向かう。高耶を救うために赤鯨衆を裏切り、信長に忠誠を誓った直江は、隷属の印として魔王の種を植え付けられてしまう。監禁され、信長の飼う色情霊によって言語に絶する責め苦を受ける高弥。そんな最中、信長は高耶に<<闇戦国>>の真実を語り始める。
34巻。惰性で購読なシリーズが2冊続くとは因果なものである。拉致監禁して、首輪に鎖。看守役には軍服(みたいな服)。と、作者の楽しい妄想が炸裂。表紙絵見て萌え死にする腐女子な皆さんが沢山出ていそう。グイン同様、惰性で読み続けてはきたものの、もうそろそろ読むの辞めてもいい?いい加減終わって欲しいこの話。 ⇒次巻
江戸の町は骨だらけ [鈴木理生] ★★★ 桜桃書房 (\1,400) [Amazon]
徳川家の移封により、地方の寒村から、にわかに発展を遂げ世界に冠たる大都市に躍進した江戸。幕府による差配によってかつての寺社の領域も大きく変貌を遂げることとなる。寺社が移転を繰り返す中、うち捨てられた墓地の上に、新たなる生活の基盤が築かれていく。現代に至り、都内各地で頻出する白骨出土の真相に迫るエッセイ集。
某雑誌の書評で見て面白そうだったので注文してみた。江戸創世記から現代の東京までの寺社地の移り変わりを概観。特に太田道灌時代の江戸については細かく頁を割いている。今では無い原始江戸の地名もうかがい知ることが出来て面白い。この時代についてはなかなか知る機会が少ないので、とても興味深く読むことが出来た。
本書は二部構成になっていて、第一章では、タイトルにもなっている「骨」に纏わる歴史的な考察。第二章では江戸で信仰されたいくつかの神々についての考察。こちらは何故か相当オカルト入った内容になっていて面食らう。個人的にはどちらも好きなジャンルだから、これはこれでいいんだが、普通に歴史好きで手に取った人は戸惑うんじゃないだろうか。思いついたことを次々とネタにしていくのはいいにしても、全体的にとりとめが無さ過ぎるのはマイナス。[2002/06]
浦賀和宏殺人事件 [浦賀和宏] ★★★ 講談社 講談社ノベルズ (\700) [Amazon]
浦賀和宏はミステリ作家だ。今回の執筆依頼は「密室」がテーマ。担当編集者にせかされ、ネタが浮かばず苦悩する浦賀だったが、折しも浦賀ファンを名乗る女子大生の全裸死体が発見される。彼女が生前最後に会ったのはなんと浦賀和宏本人なのだという。追いつめられた浦賀は起死回生の秘策を打ち出すのだが、事件には更に裏の真相が……。
講談社ノベルズ20周年記念の「密室本」シリーズの中の一冊。歴代のメフィスト賞受賞作家たちの書き下ろし競作。なにかと人の予想外の所から攻めてくるのが大好きな浦賀和宏だけに、「密室」と言っても普通の書き方はしてこない。いつもながらの実験クン的な創作姿勢が素晴らしい。
って、またネットで素人が批判すると怒っちゃうのかな>浦賀先生。余程、ネットで自作批判されるのが悔しいのか、おぃ。と思ってたら、きっちりそれすらネタにしてくる辺りがさすが。読む気力を失わせるYMO蘊蓄の羅列も、きちんと意味があったなんて……。でも物語として面白いかどうかは別。途中退屈で寝そうだったよ。[2002/06]
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