2002年8月

ライトノベル主体。長期休暇があったわりには情けない……。

書籍名
作家名
出版社
価格
コメント
お薦め度
耀変黙示録VI
炎の蜃気楼35
桑原水菜 集英社 \476
ギブアップ寸前。
★★☆
暗いところで待ち合わせ 乙一 幻冬舎 \495
今回も乙一的時空に和みます。
★★★☆
運命の糸車
グインサーガ86
栗本薫 早川書房 \540
「運命の縛り」じゃないぞ。
★★
コンビネーション 谷村由紀 朝日ソノラマ \480
異色作ながらいいセンス。
★★★☆
五能線みちくさ紀行 青木健作 無明舎 \1,400
貴重な五能線資料。
★★★

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耀変黙示録VI 炎の蜃気楼35
[桑原水菜] 
★★☆ 集英社 コバルト文庫 (\476)

信長の虜囚となった高耶の姿は赤鯨衆に関わるものたちに深刻なダメージを与える。従わなければ高耶の力によって四国に地獄をもたらすと宣言する信長。圧倒的に不利な状況の中で高耶奪還の策を巡らす嶺次郎たち。一方囚われの身となった高耶は、信長の命を受けた監視役の直江によって陵辱を受ける。

35巻目。全巻からわずか二ヶ月。この間隔の短さは何だ?これまでたいした羞恥心も無くこのシリーズを買ってきた自分だったが、今度の巻はさすがに購入をためらった。首輪。イッちゃってる虚ろな瞳。もちろん裸。でもって警棒持った警備員姿の直江。エロ本かよ!(ま、実際そうなんだが)。展開遅すぎるのも勘弁して欲しい。いつ終わるんだろうこの話。[2002/08]

暗いところで待ち合わせ [乙一] ★★★☆ 幻冬舎 幻冬舎文庫 (\495)

唯一の身寄りであった父親を亡くし、目が見えないというハンディを背負いながらひっそりと生きる決意を固めていたミチル。静かに過ぎていくミチルの日々にある時から違和感が生じる。部屋の中に誰かが居る!付近で起きた殺人事件の容疑者アキヒロが逃げ込んできたのだ。奇妙な共生生活を始める二人だったが、次第に捜査の輪は狭まっていく。

2002年作品。書き下ろし。乙一としてはこれが10冊目の本(作品としては8作目)になる筈。専業化してからコンスタントに書いていて勢いを感じる。この作家の場合、角川スニーカーから出るのが癒し系、集英社から出るのがホラー系と、それなりに傾向が別れているように思えるのだが、本作の場合は間違いなく前者に当たる作風に分類出来るだろう。

視力を失って一人暮らしをしている女性の元に男が逃げ込んでくる。グロい話にいくらでも出来るシチュエーションだが、なにせ乙一なのでそんな展開にはならない。既に完成されつつある作風、乙一時空とでも言うべき独自の和み空間が現出。緊迫感の中にもそこはかとない暖かさが漂い始める。ミステリ的なオチはわりと早めに想像がついてしまうのだが、この物語はそんなことよりも、素直にボーイミーツガールのジュブナイルストーリーとして楽しむべきだろう。[2002/08]

運命の糸車 グインサーガ86 [栗本薫] ★★ 早川書房 ハヤカワ文庫 (\540)

遂にケイロニアとの戦端を開いたイシュトヴァーン。本国のカメロンは二転三転する戦況をただ苦々しく見守るしかなかった。そんな最中、かねてより懐妊中であった王妃アムネリスがにわかに産気付く。すべての側近を追い払い、幽閉中の塔に立てこもったアムネリスはたった一人で自らの子を産み落とそうとする。

グインサーガ86巻。もはや何も言うことはないアムネリスご臨終の巻。ヴァレナリ以外の話のネタはすべて潰しておこうという魂胆なのか、アムネリス級のキャラクターでさえもあえなく用済みと相成った模様。彼女を生かしておくことでどれだけ物語に厚みが出たことかと思うと、それほどこのキャラクターに思い入れがあったわけではない自分ですら、かくも惨めな最期には哀切の念を禁じ得ない。旅先の五所川原にて読了。アムネリスの冥福を祈願。[2002/08] ⇒次巻

コンビネーション [谷村由紀] ★★★☆ 朝日ソノラマ ソノラマ文庫 (\480)

無名校からの高卒ルーキーとして、ドラフト五位でプロ入りした内野手名倉は、不器用ながらも持ち前の努力と才能で三年目にして見事にブレイクを遂げていく。対照的な大卒エリートルーキーや、全盛期を過ぎ静かに消えていこうとするベテラン、活躍の場すらなく虚しく球界を去る選手など、複数の視点から名倉の成長を描く連作短編集。

谷山由紀の処女作。「グリフォン」誌に93年投稿の「コンビネーション(本作ではジンクスに改題」に始まり、以後数年をかけて執筆された連作短編集。95年刊行。

女性の作者で何故に野球?しかもソノラマ文庫で?と謎は尽きないのであるが、これは素直に面白かった。名倉という一人の選手の生き様を、本人の視点は交えずに周囲のチームメイトや、かつての同級生の目線でのみ語っていく構成が面白い。名倉がいい奴過ぎるのが唯一の難点か。陰の部分がもう少しあった方がもう少し親しみが持てたように思える。

しかし最近は少しマシになっている気がするけど、ソノラマのカバーデザインのセンスはどうにかならないのだろうか。白バックにイラスト置いてにショボイロゴ(ロゴ以前なのだが)を配置しただけ。これじゃ売れないだろ。作者が可哀相だ。[2002/08]

五能線みちくさ紀行 [青木健作] ★★★ 無明舎 (\1,400)

五能線は秋田県の東能代駅から青森県の川部駅までを結ぶ全長147.2キロのローカル線。奇岩が続く日本海沿岸を走り、夕陽の情景が見事なことでも知られる。内陸部では雄大な岩木山を背景にリンゴ畑の中を列車は走り抜ける。四季折々の沿線の情景を交えながら、丹念な現地取材を元に記された大人のための紀行文。

無明舎出版は秋田県の出版社。本書は同社の舎内報に掲載されていた道中記を一冊にまとめたもの。筆者は1935年生まれ。弘前在住のフリーライター。

2002年夏に五能線全駅訪問の旅を決行するにあたり、いいガイドブックはないものかと探していたのだが見つからず、なんと旅が終わってから発見したのが本書。始発駅の東能代に始まり終着駅の川部まで、そして足を伸ばして弘前まで、五能線沿線の風物や人々の姿を綴っていく旅行レポートが本書。なかなか旅先で地元の人に話しかけるのを苦手としている自分としては、この人のバイタリティは羨ましい限り。さぞ楽しい話が沢山聞けたことであろう。冬場にもう一回五能線に乗ってみたくなった。[2002/08]

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