2003年10月

今月は『隕石誘拐』で決まり(おぃ)。だってスゴイぞこの話(まだ興奮中)。
文庫にもなっているはずなので、古本でいいので自己責任で是非読んで欲しい。

書籍名
作家名
出版社
価格
コメント
お薦め度
くらのかみ 小野不由美 講談社 \2,000
「手」が一番怖かった。
★★★☆
四季 春 森博嗣 講談社 \800
四部作のスタート。
★★★

復活の朝
グインサーガ92

栗本薫 早川書房 \540
次はナリナリの外伝らしい。
★★☆

天使は結果オーライ

野尻抱介 富士見書房 \580
結果オーライにも程がある(笑)
★★★☆

私と月につきあって

野尻抱介 富士見書房 \580
実は名作。
★★★★
超人計画 滝本竜彦 角川書店 \1,300
そろそろ小説の新作を読みたい。
★★☆

透明人間

浦賀和宏 講談社 \1,100
浦賀も大人になってきた。
★★★

質問する力

大前研一 文藝春秋 \1,500
大前クンがスゴイのはわかった。
★★☆
EDGE2 三月の誘拐者 とみなが貴和 講談社 \550
バランスの取れた作品。
★★★

EDGE3 毒の夏

とみなが貴和 講談社 \570
毒がちょっと薄い。
★★★

ネット告発
企業対応マニュアル

ネットワーク・
セキュリティ
研究会
毎日コミュニ
ケーションズ
\1,600
もう少し言い回しをやさしくして欲しい。
★★★

隕石誘拐

鯨統一郎 光文社 \838
ある意味すごく面白い本なので一読を奨めたい。

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くらのかみ [小野不由美] ★★★☆ 講談社 (\2,000) [Amazon]

くらのかみ

死期が迫った大伯父を見舞うため、耕介は今は亡き母の故郷へとやってきた。古い日本家屋の中で、退屈をもてあました耕介たちは、出入りを禁じられている蔵に入ってしまう。ところが蔵から出たとき四人だった筈の仲間は五人になっていた。いったい誰が座敷童なのか。戸惑う最中、大人たちの間で事件が起きる。料理に毒が盛られたのだ。大伯父の財産を巡る争いが始まろうとしていた。

かつて子どもだったあなたと少年少女のための"ミステリーランド"と銘打たれた特別企画本。第一回の配本は本書+『透明人間の納屋』@島田荘司と『子どもの王様』@殊能将之で計三冊。箱装に箔押しのタイトル文字、総ルビにカラーイラストとお値段が高い分だけ気合い入りまくった装丁に衝撃を受けることは必至。カバーが無いのは学校の図書室に置かれることを想定しているんだろう。対象としては小学校高学年以上ってとこかな。

冒頭の座敷童が出現するまでのノリは懐かしの「悪霊シリーズ」を彷彿とさせられる。あれ、ホラーなの?と思わせておいて、実はこの話、極めて真面目に本格ミステリしてしまう。人物相関図やアリバイ表やらを持ち出して様々な可能性を検証し、選択肢を潰していって犯人を捜し当てる。座敷童の存在が真相解明のキーとしてうまく機能している。ストンと最後のピースが綺麗にはまる感覚が気持ちいい。

説明が多いし、それなりに考えないと理解出来ない本なのだが、コナンや金田一少年に慣れた今の子どもならあっさり順応出来そう。未来のミステリ読みを育てるには良書なのではないかと。2,000円を惜しげもなく払ってしまう、大きな子どもの皆さんにも及第点だろう。

余談ながら村上勉の絵はマジ怖いよ。あの「手」のタッチは独特だな。[2003/10]

四季 春 [森博嗣] ★★★ 講談社 講談社ノベルズ (\800) [Amazon]

四季 春 (講談社ノベルス)

空間、そして時間。その何れとも彼女は乖離していた。訪問先の叔父の病院で起きた密室殺人。看護婦は何故閉ざされた部屋の中で殺されていたのか。しかし天才として生まれた四季にとって、俗人の思惑や行動はあまりに価値がないものだった。圧倒的なその才能に惹かれて集まってくる大人たち。四季と行動を共にする其志雄は真相を明らかにすることが出来るのか。

「犀川&萌絵シリーズ」及び「Vシリーズ」に登場する天才科学者真賀田四季センセの幼少のみぎりのお話。四部作。四季って名前にしといて良かった。一作目ってことでタイトルは「春」。四季タン13歳までの物語。考えてみると、『すべてがFになる』当時、四季は幽閉状態であったわけで、天才の筈の彼女がどうしてそんな羽目に陥ったのか、このシリーズではその辺りの謎が明らかになるのではと期待。

本編的にはミステリというよりは、キャラ萌え小説だろう。叙述トリックな仕掛けはあるけれど、書いてる本人も最後までネタが読者に割れないとは思っていないだろう、って位のレベル。幼女バージョン四季博士の天才こその心の揺らぎと、時折垣間見られる非人間性の顕現を楽しむべきかと。[2003/10] ⇒続巻

復活の朝 グインサーガ92 [栗本薫] ★★☆ 早川書房 ハヤカワ文庫 (\540) [Amazon]

復活の朝―グイン・サーガ〈92〉 (ハヤカワ文庫JA)

クリスタルパレスのおく深くに潜入したグインは、ついにてきの巨魁アモンと対決する。古代機械のめのまえで対峙するふたり。グインに古代機械を操作することをしいるアモンだったが、グインはいだいなるアルド・ナリスのこころざしをうけつぎ、機械の破壊を宣言する。動揺するアモンに、グインはあるとりひきをもちかける。

パロ内乱編終了。古代機械壊しちゃうよん♪なんて言いながらアモンを恫喝するグイン。いい気分で、人間ってのはこんなに素晴らしいんだ〜と滔々語り尽くすわけだが、ひょっとしてここは泣かしどころなのか?既に喋りすぎで緊迫感ないじゃん。これでアモンは退場。動かしにくいグインも一緒に消えてくれて(また外伝行きか)、次はドロドロのゴーラ編なのかな。落ちるところまで落ちたレムスに復活の目はあるのか。放置プレイも既に神がかってきたゴーラの赤獅子は元気なのか。ヘタレマリウスの今後はどうなるのか、いずれもしばらく出番が無さそうな予感。[2003/10] ⇒次巻

天使は結果オーライ [野尻抱介]
★★★☆ 富士見書房 富士見ファンタジア文庫 (\580) [Amazon]

天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)

史上初の女子高生宇宙飛行士を誕生させたソロモン宇宙協会。しかし彼らにも悩みはあった。急増する世界からの需要に対して、宇宙飛行士の数が圧倒的に不足しているのだ。協会のロケットに乗り込むには小柄な女性であることが必須。ゆかり、マツリに次ぐ第三の宇宙飛行士は現れるのか。

1996年作品。『ロケットガール』の続編。続編でありながらもタイトルのどこにもそれを示す文言は無く、あまつさえイラストレータも山内則康からむっちりむうにいに変更。一見すると続きの話とは思えない。どうやら刊行期間が空きすぎてしまったこと、前作が売れなかったことが原因であるようだ。

とはいいながらも内容的には間違いなく続編。今回も脳天気かつ熱いロケットストーリーに仕上がっている。前作が専門分野に偏りすぎた反省からなのか、科学ネタはかなり控えめ。その反動で新キャラの三浦茜が大きくクローズアップされてギャル度が向上。リアルさを犠牲にしてでも笑いを取りに行こうという姿勢に出た。これはなんとも評価の分かれるところで、せっかくのシリアスなミッションを女子高生の山勘だけで解決させちゃ不味いっしょ。冥王星探査機ネタが個人的エスエフツボにハマっただけに勿体ない。[2003/10] ⇒続巻

ついでに…… 
作品の背景事情は作家本人のサイトが詳しい

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私と月につきあって [野尻抱介]
★★★★ 富士見書房 富士見ファンタジア文庫 (\580) [Amazon]

私と月につきあって (富士見ファンタジア文庫 38-23 ロケットガール 3)

ゆかり、マツリ、茜の宇宙飛行士三人組はフランスへと降り立った。フランスの誇る美女軍団「アリアン・ガールズ」の月面探査を補助するためだ。到着早々のトラブルから険悪な状態に陥ったマツリと、フランスのリーダーソランジュ。不協和音が渦巻く中で、打ち上げの日は近づいていく。月への旅は無事に成功するのだろうか。

1999年作品。『ロケットガール』シリーズの第三弾。刊行間隔空きすぎ。リアルタイムで読んでいたら待ちくたびれてしまいそうだ。前作から三年経ってようやく続巻とは。従って今回も続きモノであることを匂わせるような表現は無し。三年前の本なんて、普通店頭に置いてないだろうから、シリーズ作品であることを謳ってもマイナスしかないわけで、正しい選択といえばいえるけど。ちなみに早川書房のベストSF1999では国内部門の11位にランクインしている。

ややおふざけ路線へシフトした前作からうって変わってハードなエスエフ世界に突入する第三巻。やっぱりこうでないとイカンですよ。宇宙ってのは人に厳しくないとダメ。前半のおちゃらけストーリーと、シビアーな命題が突きつけられる後半とのバランスが絶妙。このシリーズ、終盤でピンチがいつも訪れる訳なんだけど、ボリュームがいかんせん少なすぎて不完全燃焼だったのだ。その点今回は十分過ぎるくらいシリアスモードに頁を割いているので満足度は高い。知恵と勇気とド根性に宇宙への限りない憧憬がプラスされて、シリーズ中の最高傑作に仕上がっている。

超人計画 [滝本竜彦] ★★☆ 角川書店 (\1,300) [Amazon]

超人計画

ひきこもりダメ人間から一転して作家デビューを果たし、陽の当たる世界へと歩み出した筈の滝本竜彦。しかし世の中はそんなに甘くは無かった。書けない原稿。炸裂するコンプレックス。減り続ける貯金残高。閉塞的な現状を打破するべく、滝本は妄想の世界のパートナー、レイちゃんと共に「超人」への道を目指す。

Boiled Eggs Online上にて2003年2月から4月にかけて連載された作品を大幅に加筆修正し単行本化したもの。滝本竜彦の初エッセイ。表紙には本人が降臨。

NHK出演。各種メディアへの露出も増えてきて、作品のコミック化も決定。ひきこもり世代のトップランナーとして、スターへの道を一歩踏み出した滝本。なんちゃってスターシステムに無理矢理載せられてしまった感があるなあ。こういうどうでもいい文章書いてもそこそこ売れてしまうのだろう。いいから、小説を早く書いて欲しい。そろそろ賞味期限切れかかってるぞ。[2003/10]

透明人間 [浦賀和宏] ★★★ 講談社 講談社ノベルス (\1,100) [Amazon]

透明人間―UBIQUITY (講談社ノベルス)

幼い日。父は雪の密室で謎の死を遂げた。友人もいなくなり、親戚をたらい廻しにされ、人生に絶望した理美は幾度と無く自殺未遂を繰り返す。18歳になり、ようやくにして我が家へと帰ってきた理美だったが、突然訪れた弁護士は意外な事実を告げる。この家の地下には広大な研究施設が残されているというのだ。父の残した研究成果とは何なのか、そしてその死の真相はいったい?

2003年作品。書き下ろし。安藤シリーズの7作目。今回も裕子ではなくて直樹の方のエピソード。浦賀和宏のデビューは第5回のメフィスト賞受賞作『記憶の果て』なので、1998年ってことか。もう作家としては5年目になるわけで、入れ替わりの早いこの世界では新人とは呼ばれない領域に入っている筈。コンスタントに作品を出せていて、それほどひどいハズレも出して無い。メフィスト系の作家としては成功している方だろう。

初期作品に見られた、ガリガリにとんがったモノローグや、度を超えたサブカル描写の濫用なんてのはかなり抑えめになっていて、浦賀も大人になってしまったのねと、どことなく寂しかったりして。普通にエンタメ作品として読ませるお話になってるし。もっとも、少し電波入ったメンヘルさんを主人公に据えるのはこの作家の基本パターンなんだけど、そろそろ飽きてきた。もう一段階突き抜けて欲しいところだけど。[2003/10]

質問する力 [大前研一] ★★☆ 文藝春秋 (\1,500) [Amazon]

質問する力

不況にあえぐ平成の現代。受験、就職、結婚、転職、子育て、年金。人生の岐路に立った時、他人まかせにしていては絶対に失敗する。人生をより豊かに生き抜くために必要な成功の秘訣は「質問する力」を磨くこと。バブル期の失敗原因は何だったのか。これからの世界情勢はどうなっていくのか。大前研一が大胆に世相を斬る。

大前研一は日立の技術者からコンサルタントに転身(これは知らなかった)、大成功を治めるも、天下のマッキンゼーの会長を投げ打って都知事選に立候補して落選。以後は経済評論家として各方面で精力的に活動している人物。会社で半課題図書になっていたので仕方なく読む。

「質問する力」をつけるためのレクチャー本なのかと思って読んでいくと、実はそうではなく「質問する力」を持っているすごい俺(=大前君)の自慢話がひたすら続く。この手の偉い人の書く本はえてして一般人には実践不可能な領域へ、果てしなく話題が飛んでいくのでついていけない。もっと卑近な話題にしてくれないダメだってば。もっともこういう本は、向上心無い人間が読むもんじゃないんだろうけど。[2003/10]

EDGE2 三月の誘拐者
[とみなが貴和] 
★★★ 講談社 講談社文庫ホワイトハート (\550) [Amazon]

EDGE〈2〉―三月の誘拐者

頻発する幼女誘拐殺人事件。都内で発生した誘拐事件は同一犯によるものなのだろうか。こみ上げてくる殺人への衝動を押し殺しつつ生きてきた男が、とある少女に出会ったことが事件の引き金を引く。捜査への協力を依頼された心理捜査官大滝錬摩は、幼い日の父と自分の姿をそこに垣間見る。そして誘拐された少女に遭遇した宗一郎は、不可解な行動を取るのだが……。

天才心理捜査官、大滝錬摩の活躍を描くシリーズ二作目。2000年作品。自らの過ちにより、親友である宗一郎を廃人同様の状態に追い込んでしまった錬摩。切れ者捜査官としての颯爽とした姿の裏で、精神が幼児にまで退行してしまった宗一郎を抱え込んでいるというプライベートとの対比が面白い。

今回は、前作では描かれなかった錬摩の過去についてのエピソードが盛り込まる。現実に起きている事件に、錬摩の少女時代の事件がオーバーラップして、更に物語に幅と深みを持たせることに成功している。冒頭で語られた、幼女誘拐殺人事件は、この話とは無関係であったようなのだが、これが次への布石なのかちょっと気になった。[2003/10] ⇒次巻

EDGE3 毒の夏 [とみなが貴和] ★★★ 講談社 講談社文庫ホワイトハート (\570) [Amazon]

EDGE〈3〉―毒の夏

むせ返るような夏の日々。酷暑の中で発生した青酸ガス発生事件。偶然現場に居合わせた錬摩は、行きがかり上、捜査に助力することになる。プロファイリングを進めていく中で浮かび上がってきた人物とは。しかし、日に日に成長を続けている宗一郎は遂に自らの過去を知ってしまう。追いつめられ最後の賭けに打って出た犯人を、二人は止めることが出来るのだろうか。

シリーズ三作目。2001年作品。奇跡的な恢復を見せ、少しづつ精神的な成長を遂げていく宗一郎。子供から少年へ、そして男へと変貌を遂げていく宗一郎に対して、葛藤しまくる錬摩の姿がなかなかよろしいんじゃないかと。その分、犯人が小物過ぎたのが残念だったけど。それにしてもこの頃まではちゃんと毎年一冊出ていたわけだな。この巻を最後に未だ続巻は出ておらず、思いっきり続きそうな終わり方だけに、この先が激しく気になる。[2003/10] ⇒次巻

ネット告発 企業対応マニュアル
[ネットワーク・セキュリティ研究会] ★★★ 毎日コミュニケーションズ (\1,600) [Amazon]

ネット告発―企業対応マニュアル

インターネットの普及は従来までの企業と消費者とのあり方を一変させた。一個人のクレーム処理を誤ることで、取り返しの付かない風評被害を受けることも珍しくなくなってきた昨今。東芝事件のようなホームページ型企業告発から、2ちゃんねるを舞台にした匿名型告発まで、豊富な判例を元に概況と対策を詳述する。海外の状況までフォロー。

五人の弁護士による共著。仕事絡みで購入。HPでの告発のケースとしては、有名な東芝クレーマー事件は知っていたものの、カエル混入事件やら、内視鏡事件というのは不勉強にして初耳。逆に2ちゃんねる系の事件は何度か祭状態なのを見てきたので、知っていた事件が多かった。これらの事件を発生から過程、終結まで、時系列に並べてまとめてあるので事件の概要が掴みやすくて有り難い。

2ちゃんねるのビジネスモデルを分析して、広告で収益を上げている⇒アクセスを稼がなきゃ⇒完全匿名を保証⇒きわどい投稿にも安全を保証⇒過激な情報を求めてアクセス殺到⇒よって法人からの削除要求には極力対応しない。と、バッサリ斬ってのけているのは、新鮮な考え方だった。プロバイダー責任法下における、管理者責任については仕事柄気になるところでもあったので、非常に参考になった。やばそうなものは揉める前に削除だ(違う)。[2003/10]

隕石誘拐 [鯨統一郎]  光文社 カッパノベルス (\838) [Amazon]

隕石誘拐―宮沢賢治の迷宮 (カッパ・ノベルス)

中瀬研二は一流企業を脱サラ。かねてからの夢である童話作家を目指すが一向に芽の出る気配は無い。うだつのあがらぬ毎日が続く中、ある日妻と子が誘拐される。妻、稔子の父は宮沢賢治の研究家であり、賢治が生前に発見したレインボーダイヤモンドの在処を突き止めていたことが判明する。ダイヤのありかは「銀河鉄道の夜」の幻の第五稿に秘められているようなのだが……。

『邪馬台国はどこですか?』で鮮烈なデビューを飾った鯨統一郎の長編第一作。1999年作品。

適当というか、脊髄反射的に書かれた駄目ファンタジーに満ちあふれた展開が圧巻。ネコにキーボード叩かせてももう少しマシなストーリー作ってくれるのではないだろうか。ふらふら〜と近寄ってきた女がやたらに宮沢賢治に詳しかったり、高校時代の親友が何故か「忍者」として活躍していたり、鍵となる星座の見える季節が、事件発生の季節と完全一致していたりと、いちいち数えるのが大変なくらいでツッコミ所あり過ぎ。

なによりも、とりあえずエロシーン出しとけば、低俗な読者は満足でしょとばかりに、これまたおざなりな描写の元に犯されまくる稔美の描写が果てしなく不愉快。ちなみにこの稔美、亡き父の施した催眠術によって、第二の自分が封印されていて「どっどど どどうど どどうど どどう」と念じると出現(激萎)。この通称「又三郎」クンは、暴行によるショックと投薬でボロボロになった稔美の心と体を全治療して消えてくれるというご都合キャラ。最終頁でこの本を投げ捨てたくなった読者は自分だけでは無いと思いたい。

背表紙で東野圭吾が「デビュー作で脚光を浴びても、次の作品でしくじれば読者からそっぽを向かれる」「「鯨統一郎初の長編」の意味を、作者本人が理解していないはずがない」なんて書いてくれているのだが、この先この作家が生きて行けているのかどうか非常に心配になる一作。っていうか、こんなコメント書いてるようじゃ、そもそもこの本読んでないだろ>東野。[2003/10]

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