久々に当たりの多かった月。『ふわふわの泉』『キリコの街』も良かったけど、
やっぱり『バッテリー』が傑出して良かった。安易に泣かしに走らないところもいい。
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コメント |
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| ランブルフィッシュ 8 決戦前夜秘湯編 |
三雲岳斗 | 角川書店 | \619 |
温泉度がもっと欲しかった(笑)。
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★★★ |
| 末井昭 | 太田出版 | \800 |
この適当さがいい。
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★★★ | |
| 野尻抱介 | エンター ブレイン |
\640 |
ほのぼのハードエスエフ。
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★★★☆ | |
| 野村正樹 | NHK出版 | \660 |
意外と内容浅め。
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★★★ | |
| キリコの街 | 中里和人 | ワイズ出版 | \3,800 |
この写真データで欲しい。
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★★★★ |
| 秋月涼介 | 講談社 | \760 |
ネーミングセンスが……。
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★★★ | |
| 禁じられた楽園 | 恩田陸 | 徳間書店 | \1800 |
愛ねえ。
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★★★☆ |
| 栗本薫 | 早川書房 | \540 |
ロカンドラスは死んでなくても良かったのではないかと。
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★★☆ | |
| 栗本薫 | 早川書房 | \540 |
素晴らしきかな書き割り60年代エスエフ。
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★★☆ | |
| 辻村深月 | 講談社 | \780 |
ヒロインの名前が……。
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★★★ | |
| バッテリー | あさのあつこ | 角川書店 | \514 |
なんという12歳。
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★★★★ |
| あさのあつこ | 角川書店 | \552 |
作者はあとがきで吠えすぎ。
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★★★☆ | |
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ランブルフィッシュ 8 決戦前夜秘湯編
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| ついでに…… 『星虫』@岩本隆雄 <<こんな宇宙へのアプローチもありかと。 『夏のロケット』@川端裕人 <<これはより科学的にアプローチ。 |

昨今話題になったパラサイト・シングル。同じようなパラサイト(寄生)の構図は他の場所でも見いだすことが出来る。先の見えない現代社会にあって、自立出来ない、他者の力にすがり、会社にしがみつくパラサイト社員。彼らは何故そのようになってしまったのか、いったいどうすれば良いのか。混迷の時代を生き抜く鍵がここにある。
筆者はサントリー出身の作家、ビジネス評論家。四十代から作家業に入り、五十代に入って独立。サラリーマンと自営業両面を知る人間として、現代社会にはびこる、パラサイト社員の実情について語っているのが本書。パラサイト状態を「良いP」「並P」「ダメP」の3つに分類しそれぞれについて考察を述べていく。
全ての経費が自腹になってくる自営業者に比べて、会社に身分、収入、各種インフラを保障されたサラリーマンがいかに恵まれているかがよく判る。「ダメP」のわたしとしては尚更会社辞めるわけにはいかないなこれは。筆者本人が脱サラ組なので、本書の最終目的(6章)は会社への寄生を辞めて独立しよう、というベクトルに向かっているのだが、これは誰にでも勧められる話ではないだろうから、話半分に聞いておくとしても、「よいP」になるためのさまざまなアイデア(5章)は「ダメP」でも役に立ちそうだ。[2004/06]
ある時は暮れゆく黄昏の集落を、またある時は路傍にうち捨てられた奇妙なオブジェクトを、またある時は街角の中にふっと垣間見える不思議なアイテムを……。北海道から東北、青森、東京、名古屋、そして四国高知まで。日本各地で撮影。日常の中に埋没している幾多もの情景、写真家中里和人が切り取った72枚の異界。
中里和人三冊目の写真集。2002年刊行。版元のワイズ出版は、日本映画関連の出版物の刊行を主としている。写真叢書は現時点で19冊まで刊行されており、本書はその12番目の作品。初版は1,500部だそうだ。ヤフオクで捕獲。
本書は『小屋の肖像』や『逢魔が時』の中間作にあたる。前者に見られたような路上観察者の視点から見た面白物件、後者に見られたような黄昏時の魔界、両方の特徴が渾然一体となったような作風になっている。素材の選択もいいのだが、それを一つの異界に昇華させるための世界を切り取る技が素晴らしい。[2004/06]

連続する猟奇殺人事件。この街ではいくつもの凶悪犯罪が起こり、いずれも未解決のまま残されていた。そして新たに発生した怪事件は、人間の首が切り取られ、代わりに犬の首が縫いつけられているという凄惨なものだった。石細工屋の店主、風桜青紫と彼を慕う少女、鴇冬静流はこのトラブルに巻き込まれていくのだが、真相は意外なところに隠れていた。
第20回のメフィスト賞受賞作品。2001年刊行。風桜青紫、鴇冬静流、霧島悠璃、鴻薙冴葉、嘉神沙遊良。これは全部登場人物の名前なのだが、ネーミング凝りすぎ。出てくる人間全員こんな耽美な名前がついていて、読む前からげっそり。こだわりもあるんだろうけど、いたずらに読み手を選んでしまうのでこれは得策では無い手法。
しかしキャラ萌え小説なのかと思って読んでみると、意外なまでに自キャラ萌えはさほど見受けられず驚いた。それなりに筆に抑制が効いている。もっとも抑えが効きすぎて、肝心の風桜クンの活躍度が低めなのは全体の重心が狂ってしまった感があって勿体ない。叙述トリックのひっかけは、わりとすぐオチが判ること、悠璃ちゃんが本筋にあんまり絡んでこないことを考えるとうまく機能してないような。この点は今後の作品に期待しよう。[2004/06] ⇒次巻

平口捷は出会ったときからその男に魅せられていた。国際的なアーティスト烏山響一の持つ圧倒的な負のカリスマに惹かれていく捷。駆け出しの彫刻家香月律子もまた、彼の作り出す世界にあらがえぬ引力を感じていた。二人が招かれた熊野の野外美術館は、響一が作り出した巨大な闇のテーマパーク。翻弄される彼らが最後にたどり着いた場所は……。
「問題小説」誌の2001年1月から2002年4月にかけて掲載されていた作品を加筆修正の上で単行本化したもの。刊行が2004年だから、改稿にかなり時間をかけている。
ああ、これまとまらなかったんだな、というのが一読後の正直な感想。独立して動いている和繁がメインの捷と律子に最後まで絡んでこなかったこと、純との関連づけももう少し深めておいた方が良かったかな。大事なキャラの割には、純は響一との絡みも少なくて残念。ラストで香織があそこまで大きな働きをするのも、さすがに唐突過ぎる。あれだけ怖がらせておいて、最後は愛ですよなんて言われても。周到に散りばめられた伏線ってのは、恩田陸的には芸風に無いのかもしれないけど。
ただ、描かれる世界は今回も美しいんだな。恐怖をテーマにして、自分の持ち得るバリエーションを変幻自在に繰り出してみせる手腕は見事なもの。熊野の烏山家の古びた邸宅の描写も良かった。そこに「それ」があると読み手に感じさせる能力、書き手のイメージをリアリティたっぷりに現出させる力は、年々テクニックが高まっているようで嬉しい限り。[2004/06]

魔人アモンをみちづれに、古代機械をもちいて混乱のクリスタルパレスからの脱出をはかったグイン。目覚めた時、彼はなつかしき地、ノスフェラスにおりたっていた。照りつける太陽。水も食料も、そして剣さえも失ったグイン。しかし、そんな砂漠の地で、思わぬであいがまちうけていようとは。ノスフェラスの謎がついにあきらかになろうとしていた。
パロの内乱編が終わって怒濤の新展開(たぶんな)。モノローグのフリをした「これまでのまとめ」が延々と続く第一話がいきなり脱力。で、案の定グラチウスが出てきて、安い共闘関係が今回も成立。状況的に背に腹は替えられないのは判るけど、この爺さんが、自分の嫁に何したのか、もう一度考えてみようよ>グイン。第四話でロカンドラスが久々に登場。表紙が既にネタバレだから違和感はないけど、死んだ設定にしておいた意味がよくわからん。
ともあれ、次回は長らく引っ張ってきた星船の秘密が明らかになるらしい。遙か昔の19巻で、スカールがわざわざこんなところまでやってきた意味が解明されるのかどうか、いちおう気にしておこう。[2004/06] ⇒次巻

北の賢者ロカンドラスに招じいれられ、禁断の地へと足をふみいれたグイン。星船のなかで、古代都市カナンを滅亡させるにいたった大災厄の真実があきらかにされていく。やはりグインは異境の地ランドックを追放された王だったのだ。しかし、最悪の寄生生命体アモンの出現が事態を一変させる。飛翔を始めた星船にたいして、グインがくだした驚くべき決断とは。
引き続きノスフェラス星船編。都合よく出てきたり、都合よく先に行けなかったりと、ロカンドラスは便利に使われすぎなのでは無いかと。序盤で爺さんが消えて、後は60年代エスエフ風な、おいおいそれはいつの概念だよとツッコミ所満点の宇宙船内部の描写が展開。意図してやってるのか、これが限界なのか、ナチュラルにこれでイケテルと思ってるのか判然としないけど、21世紀にもなってこんな描写を読まされるのは勘弁して欲しい。
ところで、ぐらんどますたー(これが激萎え)として、自由に星船を動かせてしまえるらしいグイン。えっと、一族郎党バタバタ死なせて、自らも致死量の放射線を浴びてしまったあの人の立場は一体。ここまで自分で何でも出来てしまう、スーパーな主人公を前にして、ひょっとしてこれも無かったことにされてしまうのか。
で、ふたたび記憶を失って地上へと戻ってきたグイン。後付けで出てきた転送装置にまつわる設定が強引に過ぎるような気もするけど、展開としては仕方が無い気がする。ここいらで、一端グインの影響力が弱まってくれないと『七人の魔導師』な状況になり得ないからね。[2004/06] ⇒次巻

私立青南学院の生徒、男女8名が校舎の内部に取り残される。朝から降りしきる雪の中、完全に密閉された校舎からは外部に出ることも、電話で連絡を取ることも出来なくなっていた。次第に疑心暗鬼に陥る8人。事件の背後には文化祭最終日に自殺した、あるクラスメイトの存在があるようなのだが。彼らを閉じこめたのは一体誰なのか。
第31回のメフィスト賞受賞作品。初の試みとして上・中・下の3分冊で6月〜8月にかけて連続刊行される。作者は1980年生まれで本作がデビュー作となる。もう珍しくもなんとも無いんだろうけど、80年代生まれの人間がもうこの世界で活躍しているってのはすっごいショック。こうして時代は進んでいくのか。
さて、ヒロインの名前が作家本人と同じってのがいきなりめげたわけだけど、それってわたしだけ?しかも守ってあげないと今にも壊れてしまいそうなハカナゲ系。うーん、ナルシス子ちゃんですかこの作者。この痛さがいきなりマイナスポイント。勿体ないなあ。すれっからしの読者にはこういうのはきつい。今後の展開でなにか特別な意味づけがあるのなら、立派だけれども。
男子は優等生(静)、優等生(明、ワイルド系、パシリのあ 、ワイルド系、パシリの4人。女子はハカナゲ系、ギャル、委員長、アーティスト系の4人。キャラクターの書き分けがいま一つ出来ていなくて、たびたび戻って確認しないとどれがどの人物だか判らなくなってしまう。開き直って、巻頭にイラスト付き人物紹介でも入れちゃえば良かったのに。
雪で、学校で、閉じこめられてって設定を考えると、数々の学園密室殺人モノを想起させられてしまうのだが、上巻ではいまのところなんと死者はゼロ。閉じこめられ方が超自然的で、どうやらこの話、ミステリというよりはホラーの方向に向かう予感。自分的にはセツナさ炸裂な泣ける系学園モノで落ち着くことを希望。もう中巻が手に入っているので早速読まなくては。[2004/06] ⇒次巻

父の転勤を契機として山間の小都市新田にやってきた原田巧。小学生ながら本格派の天才投手として将来を嘱望される巧だったが、あまりに過剰な自信と、協調性の無さが周囲の人々との間に摩擦を広げていく。しかし新田に住む少年、永倉豪はそんな巧の剛速球を苦もなく捕球してのける。二人はひたむきに野球にのめり込んでいくのだが、周囲の環境は容易にはそれを許そうとしなかった。
教育画劇より1996年に刊行されていた単行本を2003年に角川書店が文庫化したもの。作者は1954年生まれ。児童文学の分野で活躍中。本書で野間児童文学賞を受賞している。なんとなく数年前からネット上でも面白いと話題になっていて気になっていた『バッテリー』。でも実は『バツ&テリー』とごっちゃになっていたのは内緒。
岡山県の田舎町に原田家が引っ越してくるところから物語は始まる。左遷されたらしい父親、神経質な母親、明朗だが病弱な弟と家族背景が丁寧に描き込まれ、併せて新田の山野の美しい自然描写が綴られる。そして仄かに明示される主人公、巧の異能。静かな滑り出しだが、コンパクトに巧を取り巻く「世界」が過不足無く説明されていてこの先に期待が高まる。
小学生とは思えない唯我独尊オレ様少年巧がとにかく気持ちいい。まだキャッチボールしかしてないのにこの格好良さはどうだろう。数年先を見据えて自分を鍛え続けるメンタルの強さ。とにかく誰にも負けないという圧倒的な自信。それでいて人間関係を作るのは下手クソで、誰かを傷つける度に自らの不甲斐なさに苛立ったり。12歳の子供としての限界もしっかり描かれていて、立体感のあるキャラクターが力強く現出している。巧を取り巻く家族についてのフォローもきめ細かに入っていて、これ、ホントに児童向けの作品なんですか、ってなくらい奥行きの深い作品になっている。確かにこれは名作の予感。[2004/06] ⇒次巻
| ついでに…… 『DIVE!!』@森絵都 <<スポ根小説つながりでこちらも是非。 |

中学に進学した巧と豪。しかし遠目に見た野球部の練習風景にはどことなく違和感が。専制的な監督戸村の下、この部では徹底的な管理指導が行われていたのだ。入部した二人を待っていたのは、戸村による画一的な練習体制と、先輩たちの冷たい視線だった。我関せずと、自らの主義を貫き通す巧は、次第に周囲との軋轢を増していく。
教育画劇より1998年に刊行されていた単行本を2004年に角川書店が文庫化したもの。本書で日本児童文学者協会賞を受賞している。シリーズ二作目。
中学編に突入。先輩たちから陰湿なイジメを受けたり、並の才能しか持たない同世代人から妬まれたり、管理主義の監督と衝突したりと、展開としてはありがちなのだが、孤高なまでに自らの信念を曲げない巧の存在感があまりに際だっていて、今回も読み応えのある内容になっている。スゴイよこの12歳。こいつそのうちモテモテになりそうだな。
このシリーズのいいところは、オトナな連中にもそれぞれの事情があることを、きちんと頁を割いて書き込んでいることだろう。戸村の高校時代の挫折。手のかかる次男にばかり目が向いてしまう母親。自らの監督時代を悔いている祖父。それぞれの抱えるシンドイ事情がこの作品の世界に深みをもたらしている。この先、巧がどう成長していくのか本当に楽しみになってきた。[2004/06] ⇒次巻