2004年11月

今月はドクロちゃんの月。ぴぴる(ryの呪文が頭から離れない(笑)。

書籍名
作家名
出版社
価格
コメント
お薦め度
撲殺天使ドクロちゃん おかゆまさき メディア
ワークス
\510
ぴぴる
★★★

撲殺天使ドクロちゃん 2

\510
ぴるぴる
★★★

撲殺天使ドクロちゃん 3

\530
ぴぴる
★★★

撲殺天使ドクロちゃん 4

\530
ぴ〜♪
★★★☆
黄金旅風 飯嶋和一 小学館 \1,900
いいんだけど、あと少し。
★★★☆

鳥居

稲田智宏 光文社 \700
物足りない。
★★★

ポップ1280

ジム・トンプスン 扶桑社 \1,429
ナチュラルな壊れ方が◎。
★★★☆

豹頭王の行方
グインサーガ96

栗本薫 早川書房 \540
リンダの知性がやや快復。
★★☆

ノスフェラスへの道
グインサーガ97

栗本薫 早川書房 \540
マリウスやや持ち直し。
★★★
バカ日本地図 一刀 技術評論社 \1,080
見ているだけでバカになりそう。
★★★☆

道士さまといっしょ

三雲岳斗 メディア
ワークス
\550
イマイチ。
★★★

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撲殺天使ドクロちゃん
[おかゆまさき] ★★★ メディアワークス 電撃文庫 (\510) [Amazon] ※書影無し

机の引き出しから突如として現れた謎の美少女ドクロちゃん。未来からやってきた彼女は、登場するやいなや主人公の桜クンを棘付き鋼鉄バッド「撲殺バッドエスカリボルグ」によって撲殺。でも、惨殺された桜クンも、不思議な呪文「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪」によって瞬時に蘇生。事なきを得ます。迷惑極まりない居候との苛烈な日々を綴るほのぼのギャグストーリー。

2003年刊行。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の20号と21号に掲載された二作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書。もともとは第二回電撃hp短編小説賞への応募作であったらしい。選には漏れたものの誌面には掲載されて、それがスマッシュヒット。各方面衝撃を与え、現在までで四巻まで巻を連ねている。

ヒロインのドクロちゃんのあり得ない程に力強い怒濤のヒロイン振りが第一の魅力。出てきた瞬間に主人公を撲殺してのけるヒロインはこの子くらいだろう。妙に萌えの守備範囲がおっさん臭い不幸な主人公の語り口がいい味だしていることもあって、冒頭部でのつかみは完璧といってもいい位の衝撃度だ。意外に、ライトノベルでギャグをメインでやっている作品が無いだけにこの作品は貴重。たまにはこんな話も面白い。[2004/11] ⇒次巻

ついでに…… 
デビュー出来たのは、高畑京一郎氏が原稿を落とした為との説が
>>ネタ元/ラ典

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撲殺天使ドクロちゃん2
[おかゆまさき] ★★★ メディアワークス 電撃文庫 (\510) [Amazon] ※書影無し

当たり前のように家族の一員になり、ごくごく自然にクラスメイトにとけ込んで、すっかり桜クンの日常に馴染んでしまったドクロちゃん。何でもないような、普通の出来事もドクロちゃんが居るだけで血まみれの惨劇へと姿を変えられてしまう。毎日撲殺され続けるという、あまりに過酷な人生を運命付けられた少年の受難の日々をリリカルに描く(違)。

2003年刊行。シリーズ二作目。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の23号と24号に掲載された二作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書。編集部的にも賛否両論、疑心暗鬼の中送り出されたらしい一巻は発売から四ヶ月で第五版。これってズブの新人としては立派な部類だよな。本編の魅力もあるけど、とりしものイラストの吸引力も捨てがたい。ドクロちゃんの天真爛漫さがほどよく弾けていてなかなか良いタッチなのだ。

第二巻にして、既に当初の目的が何の疑問も無くスルーされているかのような、適当極まりない初期設定の喪失具合が素晴らしい。ドクロちゃんのキャラが固まってさえしまえば、そんなのイラナイもんな。主人公のテンポ良い語りが命の作品なだけに、時々リズムが悪くなるのが気になる点かな。プロットが弱いと語りの勢いだけでは支えきれなくなる。ともあれ、面白いことに替わりはないので引き続き期待。[2004/11] ⇒次巻

撲殺天使ドクロちゃん3
[おかゆまさき] ★★★ メディアワークス 電撃文庫 (\530) [Amazon] ※書影無し

強引な同居人として桜クンの家に押しかけてきたドクロちゃん。いつの間にか妹のザクロちゃんも加わって日々の喧噪はより激しくなっていく。愛しの静希ちゃんのスクール水着に釘付けになっているところを撲殺されたり、聖なる夜に撲殺されたりと、相変わらずの血まみれ生活が続く。よもやドクロちゃんとの訣れの日が訪れるとは知るよしもなく……。

2004年刊行。シリーズ三作目。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の25号と27号に掲載された二作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書。少しぎこちなく感じていた筋運びも、学校や季節事の定番行事を取り入れることで陳腐ながらもプロットがすっきりして読みやすくなったのは◎。作者としてもリズムが掴めてきた頃合いなのかもしれない。男子中学生的煩悩世界を懐かしくも振り返ってみたりもする今日この頃。[2004/11] ⇒次巻

撲殺天使ドクロちゃん4
[おかゆまさき] ★★★☆ メディアワークス 電撃文庫 (\530) [Amazon]

撲殺天使ドクロちゃん4

毎日が波瀾万丈な桜クンの学園生活。バレンタインデーで撲殺され、満開の桜の下で撲殺され、そして聖ゲルニカ学園の一大イベント、修学旅行でも案の定撲殺されていく主人公。京都で繰り広げられるスプラッターなイベントの数々。清水寺、映画村、そして夜の旅館で……、桜クンの輝ける青春の一コマ一コマを丹念な筆致で綴る抒情巨編(嘘)。

2004年刊行。シリーズ四作目。メディアワークスの小説誌「電撃hp Special 2004 Spring」に掲載された二作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書。雑誌発表作二本に、書き下ろし二本加えてっていうのがドクロちゃんの基本刊行スタイルらしい。なんと「電撃コミックガオ」でコミック版の連載もスタート。地道に人気高まり中だ。

この巻で遂に桜クンが、というか作者自身がはじけ飛んでしまったようで、修学旅行編のテンションの高さのありえ無さは屈指のクオリティ。「びんかん侍」と「夜仮面」はホントに最高。読んでいて涙が出そうだった。こうなったら、このまま更に加速して行くところまで突き抜けて欲しい。着地で激しく転けても責めないから。

この作品、各所に散りばめられた小ネタの数々もフォローしておかなくてはなるまい。一巻では「家無き子サバトちゃん」二巻では「撲殺教師ドクロ先生!!」三巻では「撲殺通信ドクロニュース」そして本巻では「きみとボクのルルティエ星座占い」と編集者の気合いが感じられて(もう止めるに止められないのかもしれないが)何気に好感度大なのだ。章ごとに必ず入っているミニイラストも本編と全然関係無いところが逆にポイント高かったりして。本編同様、小ネタでも笑いをとり続けて欲しいものである。[2004/11] ⇒次巻

黄金旅風 [飯嶋和一] ★★★☆ 小学館 (\1,900) [Amazon]

黄金旅風

江戸時代初期。三代将軍家光の治世。徳川政権による中央集権化が進み、急速に閉塞感を増しつつあったこの時代。長崎は海外に向けて開かれた数少ない港湾都市の一つだった。新たに赴任した長崎奉行竹中采女正は、南蛮貿易の利権を独占すべく苛烈な取り締まりを始める。長崎代官の放蕩息子平蔵は父の急死により急遽代官職を継承。采女正の圧政に立ち向かっていく。

2004年刊行。飯嶋和一の五作目の作品。1988年にデビューしていて未だ著作が五作!なんと三年に一冊。とにかく寡作な作家なので新刊は貴重品。この作品も刊行されたのは四月だったのに読んだのは十一月。読むのが惜しくて半年も寝かせてしまった。次に読めるのは早くても2007年以降?(勝手に決めてる)。せめて隔年で出てくれれば……。

まず声を大にして言いたいのは帯のコピー書いた奴は前に出ろ。ってことだ。才介があっさり序盤で死んでしまったときには愕然とした。何かの間違いか、それとも死んだことになってるけど実は生きてるのか、はたまた叙述トリックなのか(この作家に限ってそれは無いけど)、しばらく混乱から立ち直れなかった。読者に無駄な予見を与えないように>>帯のコピー書いた人。

毎回書いてるけど、僅かに残された史実を肉付けして、彩り豊かな色彩を与えて蘇らせる作家としての確かな手腕は本当に驚嘆に値する。余程、丁寧に下調べをして書いているのだろうが、単に資料を集めて細部を描き込んだだけではこの重厚感溢れる筆致は再現出来ないだろう。そして文章そのものに宿る凛とした力強さも魅力の一つだろう。読む方の姿勢まで正してしまいそうな勢いが飯嶋和一の作品にはある。

って、褒めまくっておいて、続いて惜しかった部分。強大な権力に立ち向かう草莽の人々。虐げられた者たちの不撓不屈の闘いを描くのは飯嶋作品に共通するモチーフだが、今回は主役の平蔵の立ち位置がなんとも微妙で難しい。適度に偉いんだよなこの人。権力側の人間として登場する采女正が弁解の余地がまるで無い悪党であるのも、あまりに勧善懲悪な筋書きで乗り切れなかった部分。やっぱり庶民代表の才介をあんな最初の段階で死なせてしまったのが失敗だったか。ある程度は史実を読み込んで作劇しているのだろうからいかんともしがたい部分なのかもしれないが……。

この作家にバランスとか、予定調和的な大団円なんてものを求めるのはそもそも無理があるのかもしれないが、大傑作!と言い切るには何かが足りない一作。[2004/11]

鳥居 [稲田智宏] ★★★ 光文社 光文社新書 (\700) [Amazon]

鳥居

日本全国津々浦々、至る所に存在する鳥居。あまりに日常的な風景の中に埋没してしまいがちな存在にスポットを当てる。その成立過程。記紀神話に見る鳥居の淵源とは。多用な形態を持つ鳥居の種類の解説。軍国主義下、日本の象徴としてアジア圏に進出した鳥居。そして昭和天皇、大葬の礼で問題となった政教分離問題まで。様々な方向から分析を加えた一冊。

2002年刊行。筆者は1965年生まれの研究者。新書というせいぜい200頁しか紙面の無い媒体でこれだけ各方面にわたって分析を加えたのは少々欲張り過ぎ。結局どれも中途半端で何が言いたいのか、よく判らない構成になってしまっている。思想的な部分は抜きにして、純粋に鳥居の解説に話を絞ってくれた方が、単なる神社好きである自分には有り難かったのだが。[2004/11]

ついでに…… 
『神社ウォッチング』@外山晴彦  <<神社好きならこちらの方がオススメ。

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ポップ1280 [ジム・トンプスン] ★★★☆ 扶桑社 (\1,429) [Amazon]

ポップ1280

20世紀初頭のアメリカ。南部の田舎町ポッツヴィルの人口は僅か1,280人。こんな寂れた街にもトラブルは起こる。保安官ニック・コーリーは住民のもたらす厄介事に心底疲れ果てていた。悪妻と低能なその弟。愛人やかつての婚約者とのいざこざ。プライベートでも問題を抱え、来るべき保安官選挙には有力な対立候補が現れる。困り抜いたニックは、禁断の道へ足を踏み入れていく。

1964年に書かれた作品。ジム・トンプスンは1906年生まれのアメリカ人作家。『ゲッタウェイ』 [Amazon] の原作・脚本担当として有名。多くの作品を残しているが、あまり日本では作品が出ていない。近年、本国のアメリカでも再評価の動きが高まっており、本書は2000年に扶桑社から刊行されている。2001年版の「このミス」海外部門の第一位に輝いている。

アメリカの片田舎を舞台にしたパルプ・ノワールの傑作。どことなく頭の弱そうな主人公の下へ次々とトラブルがもたらされる。てっきり、逃げ場が無くなって、追いつめられた挙げ句に犯罪に手を染めていくのかと思いきや、話の初めから最後まで徹頭徹尾悪一色。罪悪感の欠片も無く、次々に罪を重ねていくその躊躇いの無さが衝撃的。「だって仕方がないじゃん」くらいな勢いで、ガンガン殺しまくる怪物的でサイコなキャラクター造形は、最近の作品だと言われても信じてしまいそう。とても40年も昔の作品だとは思えない。[2004/11]

豹頭王の行方 グインサーガ96
[栗本薫] 
★★☆ 早川書房 ハヤカワ文庫 (\540) [Amazon]

豹頭王の行方 グインサーガ96

内乱後の混乱に収拾をつけるため、ケイロニアをたより国境の街シュクをおとずれた女王リンダと宰相ヴァレリウス。北の大国、ケイロニアの宰相ランゴバルド侯ハゾスとの対面が実現する。パロを救い、魔人アモンとともにゆくえ知れずとなった豹頭王グインの足どりはようとして知れず、残されたかれらは途方にくれる。そこに闇の魔導師グラチウスが突如として出現するのだが……。

シリーズ96冊目。表紙の未亡人モードの黒衣のリンダが少し萌え。上に書いたあらすじだけでほとんど本編の半分以上が説明出来てしまっているあたり、内容の薄さが知れるというもの。もっとも最近に始まったことでは無いのだが。相変わらずながら、グラチウスのキャラの安っぽさはなんとかならないものか。ナリス存命時は痴呆モードに入っていたリンダが快復の兆しを見せているのが数少ない救いの一つ。[2004/11] ⇒次巻

ノスフェラスへの道 グインサーガ97
[栗本薫] 
★★★ 早川書房 ハヤカワ文庫 (\540) [Amazon]

ノスフェラスへの道 グインサーガ97

首都サイロンへ帰還したハゾスは皇帝アキレウスに豹頭王の消息をつげる。国王奪還のため、ノスフェラスに向けての救出部隊があわただしく編成される。部隊に同行することとなったヴァレリウスは、パロの王子にして、オクタヴィアの夫であるマリウスをもともなっていた。ひさしぶりの対面を果たしたふたりだったが、その心情には微妙な変化が訪れていた。

シリーズ97冊目。貞操観念ゼロだの、バカだの、低能だの、何も考えてないだのと、ここ数十巻評価が下がりまくりだったマリウスの株が久々に急上昇。ナリスが居ないと、往事の人気キャラクターたちが軒並み知性を取り戻していくようで、特定キャラへの偏愛がいかに本編の流れをねじ曲げていたのかを改めて実感させられた。23巻の『風のゆくえ』 [Amazon] からマリウス/イリス夫婦の人生を追い続けてきた読者に取っては感慨深く読めるのではないかと。駄目ななりに多少は読めるようになってきている。[2004/11] ⇒次巻

バカ日本地図 [一刀] ★★★☆ 技術評論社 (\1,080) [Amazon]

バカ日本地図

日本って確かこんな感じだった筈。佐賀県ってどこにあるんだろう。北海道には青森は無かった気がする。出島はまだあると思う。「新潟」という字は難しくて書けない。福岡・福井・福島の区別がつかない。鳥取は取鳥と書く方が正解だと思う。各地のおバカさんたちがなんとはなしに思いこんでいたそれぞれのこの国のかたち。遂に完成した脳内列島。その真の姿とは!

2004年刊行。「みんなでくだらないものを作る」ウェブサイト「借力」で進められていたバカ日本地図企画が書籍化されたもの。途中で何度かニュース系サイトで話題にされたので見たことがある人も多いんじゃないかと。

陸地と湖が逆転した滋賀県。成田空港とディズニーランドで過半を占められてしまった千葉県。妙に広大なさいたま県。牛柄模様な北海道。そして存在すらも認められなかった無数の県の数々。おバカな企画ではあるのだけれども、ここまで徹底してアホなベクトルで突き抜けてくれるとなんだか無性に嬉しくなってくる。

各個人から寄せられたマイバカ日本地図をまとめた第二部もネタと天然、そして純粋なバカが絶妙のバランスで混在していて、眺めるだけでも実に楽しめる企画となっている。姉妹編の超東京地図バカ世界地図なんてのもあるので、暇な人は見にいってみよう。[2004/11] ⇒次巻

道士さまといっしょ
[三雲岳斗] ★★★ メディアワークス 電撃文庫 (\550) [Amazon] ※書影無し

漂藤流哉は超兵器エレメンタル・エンジンを与えられた士官候補生の若手有望株。<道士>と呼ばれる彼らは人類を脅かす電子知性体<獣>との闘いに備えるべく日夜研鑽を積み重ねていた。しかし<昆崙>の王女クラウは、そんな流哉を何故か過去世界の日本へと送り込む。その使命は絶滅危惧種の魔女、天王洲映希を守ること。果たして運命は変えることが出来るのだろうか。

2004年刊行。三雲岳斗の新シリーズ。これまでに『コールド・ゲヘナ』 [Amazon] 『レベリオン』 [Amazon] 『ランブルフィッシュ』 [Amazon] 『i.d.』 [Amazon] が既にあるのでこれで5シリーズ目。多作が宿命付けられるこの分野の作家としても、これはもの凄い量産ペース。出版社的にはありがたい人材だろうな。

これまで三雲作品を読んできて、大傑作は無いけど、無難にそこそこ読ませる話を書く作家という認識を持っていたのだが、本作はやや低調。この手のコメディタッチのドタバタ劇を描くのが実は得意じゃ無かったりして。どうもバカになりきれていない感じ。表現したいことと内容が微妙にずれていて気持ち悪い。表紙の主人公イラストが気持ち悪くて、読む前から萎えてしまっているのが実は一番大きい。他の絵はそれほど酷く無いんだけど。勿体ないよな。[2004/11]

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