2005年04月

わりと満遍なく、というか節操なく幅広く読めた月だったのではないかと。
『イニシエーション・ラブ』が今月は頭一つ抜けてたかな。

書籍名
作家名
出版社
価格
コメント
お薦め度
嫉妬の世界史 山内昌之 新潮社 \680
それも人間ってことで。
★★★

赤城山卓球場に歌声は響く

野村美月 エンター
ブレイン
\640
ドナドナが最強だという話。
★★★
撲殺天使ドクロちゃん5 おかゆまさき メディア
ワークス
\550
白濁の声を聞きたい。
★★★

マリア様がみてる
妹オーディション

今野緒雪 集英社 \438
自分的には可南子ちゃんが良かったのだが……。
★★★

イニシエーション・ラブ

乾くるみ 原書房 \1,600
イニシエーションされたい。
★★★☆
島津奔る 上 池宮彰一郎 新潮社 \667
島津義弘が完璧過ぎる。
★★★
島津奔る 下 \667

ソウルドロップの幽体研究

上遠野浩平 祥伝社 \838
どの辺が研究だったんだろう。
★★☆

ポストガール2

増子二郎 メディア
ワークス
\570
今回も和む。
★★★☆
聖女チェレステ団の悪童 ステファノ
・ベンニ
集英社 \2,136
怪作。
★★★☆

ブギーポップ・バウンディング
ロスト・メビウス

上遠野浩平 メディア
ワークス
\570
前の話を全部忘れている。
★★★

要塞都市東京の真実

宝島編集部 宝島社 \1,300
燃やしていい。

群青神殿

小川一水 朝日ソノラマ \552
少々食い足りない。
★★★

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嫉妬の世界史 [山内昌之] ★★★ 新潮社 新潮新書 (\680) [Amazon] ※書影無し

人間誰しもが持ち得る感情「嫉妬」。自分と同等、もしくは自分より劣ると見なしていた人物が予期せぬ評価、賞賛、愛情を受けたときに感じる気持ち。歴史上の偉人たちにとってもそれは例外では無い。英雄たちの嫉妬は時に一国を傾け、またある時には屍山血河を築く。凄惨極まりない嫉妬の数々を、歴史の事例を紐解きながら紹介する。

2004年刊行。筆者は1947年生まれ。東京大学大学院の教授。専門はイスラム地域研究と国際関係史。歴史の先生が豊富な知識のストックから、史上名高い「嫉妬」の数々をコラム風に紹介していくの本書。徳川慶喜と勝海舟。島津義久と義弘の兄弟。ヒトラーとロンメル。中大兄皇子と大海人皇子。登場するのはほとんどが有名人ばかりなので、とっかかりは非常に良い。ちょっと時間が開いた時にサッと読むには丁度いい感じの作品。

一番面白かったのは森鴎外に関するエピソード。軍医という極めて特殊な狭い世界で、日々積み重なっていく鬱憤を、文学の世界でてらいもなく晴らしていくその恐るべき妄念。限りなく逆恨みに近い場合もあったようで、高潔な文学者のイメージがガラガラと崩れていくのであった。思いがけない雑学を仕入れる事が出来るのも新書読みの楽しみの一つだ。[2005/04]

赤城山卓球場に歌声は響く
[野村美月] ★★★ エンターブレイン ファミ通文庫 (\640) [Amazon]

赤城山卓球場に歌声は響く

突然姿を消した華代ちゃん。その消息を追って、RHSVO(ロイヤルハーモニースペシャルボイスオーケストラ)の面々が動き出した。華代の実家を訪れた一行は、群馬県に秘められた恐るべき秘密を知ることになる。赤城山山頂で繰り広げられる壮絶な卓球バトル。愛と友情は恐怖の卓球魔神の陰謀を打ち砕くことが出来るのか。

2002年刊行。野村美月のデビュー作。エンターブレインの第3回えんため大賞小説部門最優秀賞に輝いたのが本作。

主人公の友達華代は実家の群馬に帰れば、卓球の神に選ばれし姫巫女さま。世界の平和を守るために卓球魔神との戦いのその一命を捧げる。主人公たちも愛と友情の卓球戦士に身をやつし、クラブ活動で培った歌声の力で魔を退ける。不思議な世界になってしまった群馬県と赤城山。ホントに無茶苦茶極まりない設定を、ほのぼのまったりとマイペースで強引に語りきった怪作。

巫女装束で卓球というコンセプトを思いついた段階で勝ったようなもの。「ドナドナ」の女声三部合唱で邪気払いという展開も、ここまでバカバカしいと逆によくぞここまで!と、褒め称えたくもなってくる。エピソードや、登場人物には作者の学生時代の実体験が色濃く投影されているようで、楽しくも充実した日々を過ごしたのであろう事が想像出来る。無茶な設定の中で、個々のちょっとしたエピソードに妙なリアリティがあったりするのはそのせいか。当初はちょっと多すぎ(八人もいる)かなと思えた登場人物も、書き分けがきちんとなされていたので、混乱することもなくラストまでたどり着くことが出来た。名作とまでは言わないけど、愛すべき佳品ってところかな。[2005/05] ⇒次巻

撲殺天使ドクロちゃん5
[おかゆまさき] ★★★ メディアワークス 電撃文庫 (\550) [Amazon]

撲殺天使ドクロちゃん5

波瀾万丈な中学生活を謳歌する桜クン。聖ゲルニカ学園に一大イベント「文武両道競技会(ルネツサンス)」の季節が訪れた。木工ボンド部を率いる我らがドクロちゃんのモチベーションは無意味に急上昇。例によって引きずり回される桜クンは、恐るべき緊急合宿に拉致されてしまう。深夜の学園で繰り広げられる阿鼻叫喚の地獄絵図とは!

2005年刊行。シリーズ五作目。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の30号と32号に掲載された二作に、書き下ろしを二本追加して文庫化したのが本書。半年ぶりの新刊だ。マンガ化 [Amazon] されて、CDドラマも出て、ネットラジオまでやって、あまつさえアニメ化 [Amazon] まで成し遂げてしまい、ライトノベル書きの出世レースを瞬時に頂点まで駆け上がってしまった感のあるおかゆまさき。ギャグを書ける人は貴重なのでこれからの活躍も期待してみよう。

これまで闇のベールに包まれていた(誇張)、木工ボンド部の秘密がついに解明されるのが本巻。『バード・スプライ飛』『ロスト・ニルヴァー那』『オーバー・ザ・レイン棒』難解な木工ボンド用語が頻出するけれども大丈夫。どうでもいいから(笑)。この作者の実にバカバカしい用語センスが大好きだ。そろそろマンガとアニメの方もチェックしてみようかと思う。この徹頭徹尾不毛な世界が、どれほど不毛に描かれているのが楽しみ。木工ボンドフィギュアとか出ないかな。[2005/04] ⇒次巻

マリア様がみてる 妹オーディション
[今野緒雪] 
★★★ 集英社 コバルト文庫 (\438) [Amazon]

マリア様がみてる 妹オーディション

日々、秋が深まりつつあるリリアン女学園。前ロサ・フェティダ、江利子と交わした約束の期日まであとわずか。未だに妹を見つけることの出来ない由乃はとんでもない計画を実行に移す。公募による妹(スール)探しが山百合会から告知され学園内は大騒ぎ。祥子の後押しで祐巳もオーディションに加わることになるのだが、果たして二人は妹を見つけることが出来るのか。

マリみて十八作目。久々にお話しが進展して、ようやく妹選びが大詰めに。苦し紛れに窮余の策に打って出て自爆するといういかにも由乃らしい展開。なるほど、そんな形で落としてきたか。どうしても一学年で三人薔薇さまを揃えるのは嫌らしい。

何気に祐巳の成長ぶりが著しくて、ちょっとビックリ。笙子や可南子のあしらい方が立派にお姉さんしていて、マリみても成長小説なんだなと感心した。しかしこうなると、ロサ・キネンシスの後継は縦ロール少女でほぼ確定か。もうひとひねりくらいありそうだけど、どうやってくっつけてくるかはお手並み拝見ということで。[2005/04] ⇒次巻

イニシエーション・ラブ [乾くるみ] ★★★☆ 原書房 (\1,600) [Amazon]

イニシエーション・ラブ

人数合わせで急遽呼ばれた合コンの席で、僕はマユに出会った。意気投合した二人は、いつしか交際を始め、夏の浜辺、テニス、クリスマスと次第にその関係は深まっていく。そしてマユのために地元企業での就職を選んだ僕は、職場での新たな出会いに魅せられ、いつの間にかマユのことを疎ましく思うようになる。すれ違い始めた二人はそして……。

2004年刊行。原書房のミステリー・リーグ第二期作品の中の一作。ミステリチャンネルの「闘うベストテン2004」で第1位。原書房の「本格ミステリ・ベスト10」で第6位。宝島社の「このミステリがすごい!2005年版」で第12位と、各方面で高い評価を得た作品。作者の乾くるみは1963年生まれ。第4回メフィスト賞受賞作品『Jの神話』 [Amazon] で1998年デビュー。

『Jの神話』があまりにアレでナニな作品だっただけに、思いっきりイロモノ作家という第一印象が強かった乾くるみ。しかしながらネット各地での評判が高く、ようやく古書店で見かけたので早速確保。遅ればせながら読んでみた。80年代後半を舞台とした、恋愛に不器用な青年と、地味な女の子の微笑ましくて、ちょっぴりほろ苦い青春恋愛小説。物語は2パートに別れていて、学生の僕とマユの物語がA面。社会人になった僕とマユの物語がB面となっている。

80年代ならではのケイタイの無い時代の恋愛シーンがなんとも微笑ましい。小道具的に『男女七人夏物語』やBOOWYが効果的に使われていて懐かし度アップ。ああ、こういう事ってあるよね、うんうん。と、頷いて静かにページを閉じて読了。どこにでもよくありそうだけど、それだけに誰にも身に覚えがありそうな、普遍的な恋愛小説に仕上がっていてまあ、それなりに満足。

って、本気でそう思って読了してしまった人間が、下手すると半分くらいいるのかもしれない。最後の一行を読んで、釈然としない微妙な違和感を覚えつつ、ページを戻っていくつかのシーンをチェック。A面とB面の意味にようやく気付いて大ショック。改めて読み返し得てみると、不自然過ぎるくらいのヒントが随所で大盤振る舞いされていることが判る。ミステリのレーベルで出ているのだから、恋愛小説のままで終わる訳はない筈で、警戒しながら読んでいたのに綺麗に騙されてしまった。考えてみるとタイトルからして意味深長。これはお見事。[2005/05]

ついでに……
『ゴンザの薗』謎解き『イニシエーション・ラブ』 序章 時系列データ
>>『イニシエーション・ラブ』の攻略はここが最強。超ネタバレなので注意。

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島津奔る 上・下
[池宮彰一郎] 
★★★ 新潮社 新潮文庫 (各\667) [Amazon]  [Amazon]

島津奔る〈上〉 島津奔る〈下〉

太閤秀吉死す。異郷の地でその報に接した島津義弘は来るべき大乱の予兆を感じ取っていた。天下を望む徳川家康と、豊臣政権の護持安泰を計らんとする石田三成との対立は日増しに強まる。天下分け目の大戦を前にして、寡兵のまま激戦地のただ中に取り残された島津主従。最強を謳われた島津軍団。彼らは激動の時代をどう生き延びたのか。

1998年に刊行された単行本を2001年に文庫化したもの。司馬遼太郎の『関ヶ原』 [Amazon] との類似が指摘され現在は回収・絶版とのこと。

島津家視点での関ヶ原合戦物語。島津家は一時、九州一円を制覇しかけるところまでいきながらも、秀吉の九州征伐に屈しその野望を絶たれている。ここで当時の当主であった義久が隠居し弟の義弘が跡を継ぐ。義久は働き盛りの時分に引退を余儀なくされ、一方の義弘はその後の文禄・慶長の役で空前の大功績をあげ名声を大いに高めていく。

弟に対しての妬心から義久は関ヶ原に兵を送ることを拒み、大国島津が戦場に動員出来た兵力は僅かに千数百。一つ対応を間違えればその身は討死、自国も滅亡必至、両手足を縛られたような状況下で島津軍はいかに戦ったのか。これはなかなかに燃える設定で、四面楚歌の中で耐えに耐える義弘が実に格好いい。家康の居る敵本陣に向けて「退却」するあまりにも有名なクライマックスシーンが俄然盛り上がるのも、こうした耐えるシーンを根気よく積み重ねて描いてきたからこそだろう。

家康や三成を偉大な人物として描かず、美点も欠点も併せ持つ、悪でも善でもない奥行きの深いキャラクターに書き上げているところは巧いなと思ったのだが、その分義弘がオールマイティに完璧な人物になりすぎていて、ちょっとこれは美化しすぎの感あり。多少は疵があった方が人間味が増して良かったと思うのだが。義久があまりに狭量で矮小な武将として描かれているのも不満だな。[2005/05]

ついでに……

『群雲、関ヶ原へ』@岳宏一郎 [Amazon] <<関ヶ原合戦を満遍なくフォロー。オススメ。
『関ヶ原連判状』@安部龍太郎
 [Amazon]<<古今伝授で読み解く関ヶ原。細川幽斉視点。

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ソウルドロップの幽体研究
[上遠野浩平] ★★☆ 祥伝社 ノン・ノベル (\838) [Amazon]

ソウルドロップの幽体研究

怪盗"ペイパーカット"は「生命と同等の価値のある物を盗む」。一見、何の価値もないかに見える物を盗み、結果としてその人物を死に至らしめる。自殺した人気歌手みなもと雫のトリビュートライブに送られた予告状。果たして"ペイパーカット"の目的は?サーカム保険の調査員、伊佐俊一と千条雅人は会場となる巨大ホールを訪れるのだが……。

2004年刊行。祥伝社からは初の上遠野作品。

据わりの悪さばかりが目に付く作品。物語と言うよりは、一連の現象をなぞっただけであるかのよう。一応の結末は用意されているものの、何故?どうして?という読み手の疑問はなんら解消されることが無い。他社シリーズとの関係を匂わせるのをやめろとは言わないが、せめて独立した作品として楽しめるレベルにまでは仕上げて欲しい。思わせぶりな台詞の数々をニヤリと楽しめる読者ばかりではないだろうに。続きがちゃんと出るのかな、これ。[2005/04] ⇒次巻

ポストガール2 [増子二郎] ★★★☆ メディアワークス 電撃文庫 (\570) [Amazon]

ポストガール〈2〉

長く続いた戦争により疲弊しきった未来の地球。人間に替わって郵便物を届ける人型自律機械メルクリウス。その中の一人MMF108-41、通称シルキーは少し変わったメルクリウスだ。多くの人々とのふれあいが、数多もの事件での経験が彼女の自我を形作っていく。迷い戸惑いながらもシルキーは成長していく。あたかも人間の少女であるかのように。

2003年刊行。連作短編集。シリーズ二作目。五編のエピソードが収録されており、最後の一編のみが書き下ろし。それ以外の初出は全て「電撃hp」。

朽ち果てて死んでいく同胞を看取り、仲間である筈の機械との対峙し、と、のっけから地味ながらもテンションの高いエピソードが続く。続いての二話はハートウォーミング系なのだが、最終話の「フェスタ」ではこれまでにない、新展開を伺わせる要素が散りばめられていて見逃せない。なるほど、このタイトルにはそんなダブルミーニングが仕掛けてあったのか。

このお話しは、確か四巻で完結している筈なので、今回提示されたテーマがどんな風に料理されているのか残り二冊に期待しよう。あまり深刻な展開にはなって欲しく無いんだけど。なまじ今回がなごみ系の話に終始しただけにそろそろ反動が来そうな予感がする。[2005/04] ⇒次巻

聖女チェレステ団の悪童
[ステファノ・ベンニ] ★★★☆ 集英社 (\2,136) [Amazon]

聖女チェレステ団の悪童

聖女チェレステ孤児院。ここはかつての領主マリア伯爵によって娘チェレステが殺害され、その後昇天した地だった。そして現代。不気味な預言が現実とものとなり、孤児院の悪童メモリーノは仲間たちと共に孤児院を脱走。伝説のストリートサッカー大会に参加すべく旅に出る。旅の果てに彼らがたどり着いた場所では驚くべき事態が待ちかまえていた。

イタリアで1992年に刊行された作品の邦訳版。1995年刊行。この国では初版2万部は破格の大部数で、本作はウンベルト・エーコ級の大人気作品であるらしい。舞台となるグラドニア国は現代のイタリアを痛烈に風刺しながら戯画化したもので、きっと同国人であればこのキャラクターのモデルは誰それで、この団体はこれこれ、この事件の元ネタはこれと行った感じで、きっとニヤニヤしながら楽しく読めたのではなかろうか。この点、もう少し注釈があれば判りやすくて良かったのではと思う。これに限らず、本作では様々な場面で仄めかしや暗喩隠喩が多用されているので、読み手の理解度や知識量が試される。素養の無い自分には少々きつかった。

が、実はそんなことは全くわからなくてもこの作品は十分楽しめる。孤児院地下の大迷宮での探検。謎の少女チェレステとの出会い。仲間を探し求めての波乱の旅。迫り来る追跡者からの逃避行。そして少林サッカーもかくやとも言うべき、メチャメチャなストリートサッカーバトルの数々。破天荒でとことんバカバカしい独特のノリは、一見とっつきにくく感じるのだが、慣れてくるとこれがまた妙に癖になる不思議な味わいだ。一番楽しい筈のサッカーシーンがやや少なめだったことが残念といえば残念か。[2005/04]

ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス
[上遠野浩平] 
★★★ メディアワークス 電撃文庫 (\570) [Amazon]

ロスト・メビウス―ブギーポップ・バウンディング

死神"ブギーポップ"への理由無き復讐を誓う蒼衣秋良。出来損ないの人造人間として生まれ出でた彼は、もう一人の人造人間織機綺に出会う。牙の痕と呼ばれる奇妙な一帯に彷徨いこんだ二人は、謎の少年ブリックに遭遇する。メビウスの環のように閉じた異空間の中から彼らは脱出することが出来るのか。そしてブリックの正体とは。

ブギーポップシリーズ13冊目。前作の『ブギーポップ・スタッカート』 [Amazon] が出たときに、1年ぶりだよなんて書いていたけど、今回はなんと2年ぶり。途中に『ビートのディシプリン』 [Amazon] SIDE2 [Amazon] 3 [Amazon] が入っていたりはするわけだが、それにしても久しぶり過ぎ。谷口クンやら、末真さんやら懐かしキャラがたくさん出てきているわりには、浦島状態でもう誰が誰だがサッパリ覚えてないよ。作品リストを巻末につけるのもいいけど、キャラクター紹介表も最初につけておいて欲しい。シリーズの終わりは見えてきているけど、終わりってのは見えてきてからが長いんだよな。

今回のウリはきっと織機綺の再登場。このシリーズ、第一作の『ブギーポップは笑わない』 [Amazon] が面白かったことは言うまでもないんだけど、人気が続いたのは第二作の『ブギーポップリターンズ』 [Amazon] でわりと普遍的な薄幸ヒロイン恋愛モノをやって、盛り上げたところも大きかったんじゃないかと邪推している。それだけに往年のヒロインの再登場には期待がかかったのだが、やっぱり人間幸福になっちゃうと駄目だな。かつての綺の魅力は半減以下。作者の筆力の問題なのか、それともテイストが替わってしまったのか、というかどっちもかな。[2005/04] ⇒次巻

要塞都市東京の真実 [宝島編集部・編]  宝島社 (\1,300) [Amazon]

要塞都市・東京の真実

世界有数の軍事予算を持つ我が国日本。その首都の防衛は現在どのようになっているのか。2003年の有事法制の制定で何が変わったのか。東京の地下に張り巡らされた地下網は、有事にどのような意味を持ってくるのだろうか。地下鉄内を戦車が走り、国道は飛行場になる。そして首都中枢部大手町駅に隠された極秘のテロ対策とは!?

2004年刊行。かの秋庭俊クンのインタビューが掲載されているくらいだから、地下にまつわる電波ゆんゆんな面白話が楽しめるのかと期待して衝動買いした一冊。しかし最初の数ページでその期待は裏切られる。本当に下調べや推敲をして書いているとはとても思えないやっつけ仕事的いい加減かつ、適当であまりに空疎な内容に呆れかえる。その記述がどれくらいいい加減でダメダメなのかはここいら辺(2ch:鉄道板:「帝都東京・隠された地下鉄網の秘密」どうよ 5)を参照のこと。

妄想まみれであろうが、激しく電波な内容であろうが、ある意味覚悟して買っているのでその点はこの際気にならないのだが、それにしても内容が薄すぎる。知識も情熱も無い人間が、とりあえず原稿用紙のマスだけ埋めてみましたという一冊。久々の焚書級が来た。即刻ブックオフ行き決定だ。[2005/04]

群青神殿 [小川一水] ★★★ 朝日ソノラマ ソノラマ文庫 (\552) [Amazon] ※書影無し

民間企業で海底に沈むメタンハイドレードの試掘を行っていた鯛島俊機と見河原こなみは、正体不明の巨大海洋生物ニュークに遭遇する。ニュークによる大型船舶の相次ぐ遭難に、遂にはアメリカ海軍が出撃するのだが、謎の生命体の猛威はその軍事力すらも退ける。彼らはどこから来たのか。人類未到の超深海で何が起ころうとしているのか。

2002年刊行。小川一水版海洋冒険活劇。ライトノベルの皮を被りながらもエスエフ的なガジェット(氷IVとか)も適度に盛り込まれていてそつのない作り。だが事件の根本的な解決がなされていないのはもどかしい。話の壮大さを考えると一冊で終わってしまったのは惜しい気もするけど、続きが出せるかどうかわからない状況の中でそれなりの幕引きをしてみせたことは評価すべきところか。[2005/04]

ついでに……

『ソリトンの悪魔』@梅原克文 [Amazon] <<手に汗握る海洋冒険活劇の傑作。

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