★★★★四作と豊作であった10月。だんだん長編が読める体質が戻ってきた。
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コメント |
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| 学校を出よう! Escape from The School |
谷川流 | メディア ワークス |
\590 |
主人公流されすぎ。見てるだけかよ。
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★★☆ |
| 谷川流 | メディア ワークス |
\570 |
やれば出来るじゃん。
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★★★☆ | |
| 谷川流 | メディア ワークス |
\550 |
ところでこのタイトルって意味あるの?
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★★★ | |
| スクールデイズ | 高橋ジュンコ | 新潮社 | \2,000 |
表紙を取ってみると……。
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★★★☆ |
| 三雲岳斗 | メディア ワークス |
\570 |
こぢんまりとまとまった。
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★★★ | |
| 宇月原晴明 | 新潮社 | \2,200 |
挿絵は藤田和日郎で。
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★★★★ | |
| 有川浩 | メディア ワークス |
\1,600 |
健全さが眩しい。
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★★★★ | |
| 傀儡后 | 牧野修 | ハヤカワSF Jコレクション |
\1,700 |
綺麗は汚い。汚いは綺麗。
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★★★ |
| 時雨沢恵一 | メディア ワークス |
\530 |
今更ながらようやく読んだ。
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★★★ | |
| 時雨沢恵一 | メディア ワークス |
\530 |
「優しい国」は少々あざとすぎ。
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★★★ | |
| 時雨沢恵一 | メディア ワークス |
\490 |
シズ君との再会はあるのだろうか。
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★★★ | |
| 時雨沢恵一 | メディア ワークス |
\490 |
×××××はその後どうなったんだろう。
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★★★ | |
| 航路 上 | コニー・ウィリス | ソニー ・マガジンズ |
\1,800 |
相変わらずの剛腕。スゴイよ。
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★★★★ |
| 航路 下 | \1,800 | ||||
| おかゆまさき | メディア ワークス |
\570 |
実はモテモテな桜クン。
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★★★ | |
| 津村巧 | 講談社 | \1,250 |
救いの無さは良し。
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★★★ | |
| 栗本薫 | 早川書房 | \540 |
内容薄いよ今回も。
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★★☆ | |
| 捕虜収容所の死 | マイケル ・ギルバート |
東京創元社 | \720 |
いかんせんちと古い。
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★★★ |
| 金蓮花 | 集英社 | \408 |
純愛過ぎてちょっと……。
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★★☆ | |
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学校を出よう! Escape from The School
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| ついでに…… 『クロノス・ジョウンターの伝説』@梶尾真治<<カジシン的な時間メロドラマ。 |

第三EMP学園。密室状態の女子寮内から一人の少女が忽然と消え失せた。怪異も超能力も当たり前の学園内。果たして彼女はいかにして消えたのか。蒼ノ木類からの依頼を受け、成り行きから事件の謎解きを任されてしまった光明寺茉衣子は妖撃部の観音崎滋を伴い現場に赴く。それは茉衣子に取っての、悪夢のような日々の始まりだった。
2003年刊行。シリーズ三作目。実は二作目、三作目までの刊行間隔がいずれも二ヶ月と非常に短い。ある程度書き溜めていたものなのかもしれないが、同時期に「ハルヒ」もやっているわけで、筆早いなこの作家。短期間での大量生産は売れるライトノベル作家に欠かせない能力。これで内容が伴えばというところだけど……。
一転して物語の舞台は再び第三EMP学園に。一作目では脇役であったゴスロリ少女光明寺茉衣子を主人公に据えている。最初に提示された密室失踪事件が中盤で早くも解決してしまうのがまず肩透かし。続いて本筋らしい光明寺大量発生事件につながっていくんだけど、キャラクターの内面を描く能力が今ひとつで盛り上がりに欠ける展開。ヒロイン光明寺の孤独をもっと掘り下げて描いてみてもよかったんじゃないと思う。最後まで乗り切れなかった作品。[2005/10]

何百人、何千人もの生徒たちを受け入れ、そして送り出していく学校。不思議で奇妙な空間。無機質な鉄筋コンクリートの箱の中で、繰り広げられるそれぞれの日々。幾百もの個性が過ごす三年間の学園生活。変わる者、変わらない者。喜怒哀楽。人間としての成長。何気ない日常の刹那の一瞬を切り取った日々の記録。
1998年刊行。首都圏近郊、某県立高校の生徒たちの表情を捉え続けた写真集。筆者は1962年生まれ。当時美術の非常勤講師であった筆者が職務の合間に撮影した写真をまとめたもの。
実はこれ母校だったりする。こんな写真集が出ていたとは知らなかった。もう東京に出てからの時間の方が長いから地元の情報って入って来ないんだよなあ。といっても、自分が在籍していたのは80年代の中盤なので、この写真集とはまったく時代が被らない。制服は変わっていないけど、ジャージや体育館シューズのデザインは格好良くなっているし、女の子のスカートの長さもメッチャ短くなってる。それでも建物の配置や、屋上や窓からの風景は変わっておらず、ペラペラとめくっているだけで懐かしさのあまり泣きそうになってきた。
フツウの高校生の、ごくごくフツウの学園生活の表情を淡々と追い続けている。彼らの表情がとても柔らかで、いかにものんびりしたこの高校の気風を今に伝えているようでちょっと嬉しかった。しかし高校生の肌ってのはツルツルでいいな(オッサン視線)。この解像度に耐えられるのはせいぜい20台前半までだよな。我が身を振り返って歳月の怖ろしさを痛感した。[2005/10]
真の敵によって拉致された?と萌絵を救出すべく、豪華客船サンクチュアリへの潜入を試みる香澄と恭介。しかし船内には完全武装のレベリオンが待ちかまえる。姿無き暗殺者によって、次々と倒されていく仲間たち。謎の刺客の驚くべき正体とは?真澄美の本当の目的は?そして、最後の瞬間に香澄が選択した決断とは?
シリーズ五作目。最終巻。 2002年刊行。表紙のイラストがいい。恭介と香澄の表情はとても穏やかでいい雰囲気。学園伝奇モノの最終回にはこの爽やかさが大事。
この期に及んで新たなレベリオンがたくさん出てきたり(やられ要員なのだが)、謎の刺客の登場があったりと、最終回にしては少々詰め込みすぎか。その分最後の詰めがドタバタでいささかスケールの小さい話に落ち着いてしまった感がある。けど、高校生たちだけで話に決着をつけるにはこの程度の敵の方が良かったのかな。
結局のところ物語を動的に引っ張っていくのは香澄なので、恭介は事情もよくわからないまま終始巻き込まれているだけ。そして恭介が好きなのは萌絵の方だったりもして、これでお話しを盛り上げるにはシチュエーション的にちょっと難易度が高かったように思えた。もっと濃厚なカタルシスを感じさせて欲しかった。ちと残念。[2005/10]

殺生関白と呼ばれ暴虐の限りを尽くす豊臣秀次。しかし太閤秀吉はいっこうに秀次を罰しようとしない。そして茶会に徳川家康を招いた秀吉は、将来の豊臣家滅亡を懇願する。果たしてその理由は?無数の少女たちを拐かし、イエズス会の破門神父を招き入れ、不可解な儀式に熱中する秀次。聚楽第の地下に隠されている戦慄の秘密とは……。
2002年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に続く宇月原晴明の二作目。
寡作だけど、いいなこの作家。山田風太郎や隆慶一郎に迫れるだけのポテンシャルを十分に秘めている。そのベクトルは絢爛たる妖かしの世界を描くことに偏っていて、正義のヒーローみたいな存在は微塵も存在しないところが特徴的。聚楽第の地下が錬金術の魔窟になっていてそこでは禁断の人体錬成が!美少女を狩り集めて部品を蒐集。それで錬成されるのは信長とお市のアンドロギュノスだという壮絶な突き抜けっぷり。妄想もここまで来れば立派。
伊賀忍者平六、イエズス会神父ガーゴ、矮人曽呂利新左衛門この三人の超人バトルは壮絶に燃えるし、秀吉や家康みたいな功成り名遂げたオッサンたちの秘めたるロマンティシズムがこれまた地味に泣けたりして卒がない作り込みぶり。適度にまともな史実も織り込んで、見てきたような嘘に程よいホントっぽさが練り込まれているのもいい匙加減。
次作の『黎明に叛くもの』は松永弾正の話らしい。これまた信長つながりか。早速探してみよう。[2005/10]

横須賀港に突如として出現した巨大甲殻類の大群。基地解放日中の米軍横須賀基地はパニックに見舞われる。自衛官の夏木と冬原は湾内に停泊していた潜水艦きりしおに民間人の少年少女13名と共に取り残されてしまう。県警はいち早く警備体制を敷くが、警察の装備では甲殻類に歯が立たない。前代未聞の緊急事態に自衛隊出動の機運が高まるのだが……。
2005年刊行。有川浩の『塩の街』『空の中』に続く三作目。『空の中』に続いて今回もハードカバーでの登場。当然のことながらイラストは無し。期待されてますな。ゴジラ来襲!みたいな特撮フィルム的な緊急事態に対して、現在の日本社会はいかにして立ち向かうのか、ってテーマは今回も健在で、それぞれの立場で最善を尽くそうとする大人たちが格好良すぎ。泣ける。
本編は二つの視点が交互に切り替わりながら進行していく形式を取っている。まず一つは警察サイド。多数の殉職者を出し、無数の重軽傷者を出しながら限られた装備故に有効な措置を講じることが出来ないジレンマ。メンツを捨てて自衛隊出動への捨て石となることを選択するキャリア官僚の烏丸、そしてそれを補佐する叩き上げの警部明石がいい味出している。綺麗事をと言ってしまうのは簡単だけど、かくあって欲しい大人像だろう。
そしてもう一つの視点は。潜水艦に閉じこめられてしまった自衛官夏木・冬原と少年少女たち。こちらは有川版十五少年漂流記。夏木と冬原、二人の大人にヒロインの少女と彼女を目の仇にする少年。複雑な事情を抱えた彼らが事件を通して成長していく姿が丹念に描かれていて、今回も良質なジュブナイルに仕上がっている。五年も想い続けてくれて、あまつさえ同じ職場に就職までしてくれるヒロインってのはちょっと出来すぎのような気もするけど、これも男の浪漫ってことで(あ、でも作者女性か)。
米軍基地、汐入のダイエー、プリンスホテル、横須賀港、不入斗運動公園、国道16号、京浜急行、入り組んだ丘陵地形、地元出身者としてはすべて馴染みの光景で終始ニヤニヤ(笑)。猿島や第一(〜三)海堡なんかはザリガニで埋まっていたのかと思うと笑える。実家が沿岸部で無くて良かった。[2005/10]

空前絶後の隕石落下災害によって大阪の街は驚くべき変貌を遂げていた。爆心地の半径6キロ圏内は危険指定地域として閉鎖され、皮膚がゼリー化し最後には死に至らしめる奇病「麗腐病」の発生が始まり、凶悪なドラッグ「ネイキッド・スキン」の蔓延により治安は悪化の一途を辿っていた。崩れつつある人類社会の秩序。その渦中で囁かれる「傀儡后」の正体とは!?
2002年刊行。ベストSF2002国内部門8位の作品。ちなみに先日読んだ『聚楽 太閤の練金窟』も同着だった。 早川書房の肝煎りで始まった国内SF作家用の新レーベル、ハヤカワSF・Jコレクションより。Jコレクションはこの年のベストSFの上位10作のうちなんと6作を占めている。早川でやってる賞だからと言ったら身も蓋もないけど、SFの老舗の根性を見せたというところだろうか。
で、本作だけど、ネクロフィリア、奇形、倒錯した性モラル、猟奇趣味、ドラッグ、異常心理などなど、牧野修的なグロ美学の集大成ともいうべき作品。 そうそう、戦隊趣味も忘れてはならなかった(好きだねこの人)。秩序だった起承転結のハッキリした物語を好む向きには合わないと思うけど、万華鏡のように次から次へと映し出されていくおどろおどろしく醜悪な世界は一見の価値有り。醜さも限界を超えると美に変わる瞬間があることをこの作品は教えてくれる。[2005/10]

モトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)で旅を続けるキノ。二輪車のエルメスは掛け替えのない相棒だ。彼らはさまざまな国を訪れ、三日間だけ滞在し、そして新たな国を求めて旅立っていく。人の痛みが分かるようになってしまった国、全ての物事を多数決で決め続けてきた国、完全な平和を成し遂げた国。行き先々で出会う人々はどこか哀しげだ……。
2000年刊行。第6回電撃ゲーム小説大賞の最終候補作。選外となっていたが「電撃hp」誌に一挙掲載され、後に文庫化。掲載時に第二話「多数決の国」が書き下ろしで追加されている。 無く子も黙る電撃の金看板。古本屋で購入したんだけどなんと2005年3月の時点で40刷。ビックリだ。シリーズ累計部数270万部は伊達じゃない。
一話完結。連作短編形式。今回は六編を収録。一見男の子に見えるけど実は女の子なキノと、喋る二輪車エルメスがさまざまな世界を旅していく。あんまり真面目に世界の技術レベルがどうこうとか、国と国のつながりはどうなってるんだろうとか突っ込むようなお話しではない感じ。おとぎ話風に仕立てた少年少女のための残酷童話というテイストなのかな。[2005/10] ⇒次巻

キノとエルメスの旅は続く。雪の中で立ち往生していた男たちを助けたキノ。しかしその代償は……「人を喰った話」。空を飛ぼうとする女と、それを全く信じようとしない人々のお話「魔法使いの国」。最悪の評判だった国の筈なのに、かつてない大歓迎がキノたちを待ちかまえていた。その理由とは……「優しい国」。他八編を収録した連作短編集。
シリーズ二作目。2000年刊行。こちらも2005年3月の時点で三十七刷。売れてるなあ。このシリーズのイラスト(黒星紅白)は良いな。特に非カラー部分。残酷さを内に秘めた雰囲気にとてもあっていると思う。このシリーズが売れたのも頷ける。センスいいなあ。
口絵の使い方が一巻と変わっていて、今回から口絵だけで1エピソードを構成するようになっている。でも、この人たち誰?何れ判明するのだろうけど、現時点では謎。いろいろな時間軸のお話しが混在。長さも僅か数頁から50頁を越えるものまでとさまざま。少しずつキノの過去が明らかになっていく。いざとなれば容赦無く人を殺せるキノは逞しいというかエグイと言うべきか。[2005/10]
⇒次巻

今日もキノとエルメスの旅は続いている。遊牧民たちの国に紛れ込んでしまったキノがそこで見たものとは……「城壁の無い国」。全ての国民がクローンで構成されている「同じ顔の国」。森の中で出会った老婆に誘われ、訪れた一軒の家。そこで暮らす家族の持つ意外な秘密とは……「機械人形の国」。他六編を収録した連作短編集。
シリーズ三作目。 2001年刊行。40頁程薄くなってお値段もその分ちょっとだけプライスダウン。売れているからボリューム減らしても大丈夫だろう、というセコイ施策なのではと疑ってしまうのは高年齢読者の僻みか。
この巻ではエスエフ度が少々アップ。短編作品で意外性のあるオチ。残酷で容赦がないストーリー展開。どこかで似たようなタイプの作品を読んだような記憶が、と思っていたら星新一だった。 って、ググってみたら、とうに既出の既出の指摘だったみたい。やはりみんな思うことは一緒か。[2005/10] ⇒次巻
まだまだキノとエルメスの旅は続いている。働かなくてもいい筈なのに<仕事>は存在する。そんな不思議な国での日々を描く「仕事をしなくていい国」。隣接した二つの国は一見何もかも違うように見えていたが実は……「分かれている国」。国民投票で"いらない人"を決める「認めている国」。他十一編を収録した連作短編集。
シリーズ四作目。2001年刊行。
作者的に慣れてきたのか、どれもそこそこ読める話になってきた。あまり分量を掛けずに、短い頁数でもきちんとオチがついている。時々切れ味のいいエピソードがあって嬉しくなってくる。今回のイチオシは「橋の国」。短い中に壮大な時の流れと人間の強い想いが込められていて、静かでアツイお話し。[2005/10] ⇒次巻
認知心理学者のジョアンナはNDE(臨死体験)を科学的に解明すべく、体験者への聞き取り調査を続けていた。神経内科医のリチャードは人為的にNDEを発生させる方法を発見。慢性的なNDE経験者不足に悩むジョアンナは彼との共同研究を受け入れる。しかしトラブルの連続で予定していた被験者は次々とキャンセルに。意を決したジョアンナは自らが被験者となることを決意するのだが……。
2002年刊行。原著『PASSAGE』は2001年に米国で刊行されている。ベストSF2002海外篇の第1位。このミス2002年海外部門17位に輝いた作品。
ハードカバー二段組み800頁超の壮絶なボリュームだが、あいかわらず読みやすさは抜群。長い話なのに、読者の注意力、興味を途切れさせずにつないでいくのが実に巧い。第一部〜第二部なんてのは「あとちょっとで思い出せるのに思い出せないもどかしさ」だけで全体の2/3を牽引し切ってしまう。まあ、半分の量で書けるんじゃねーかというツッコミはあると思うけど、素直にここは圧倒的な筆力に感服しておこう。
本作では「人間の死後はどうなるのか」という難しいテーマを扱っている。全く内容の予想がつかないまま、第一部ラストでまず最初の驚愕展開。そんなバカなと思っていると第二部ラストではその遙か上を行くショッキングな事態が読者を待っている。相当にすれた読み手でもこんなストーリー展開はまず予想出来ないだろう。終盤にかけて加速していく物語世界の吸引力にただただ圧倒された。
そしてラストの第三部はコニー・ウィリスお得意の感動巨編に突入する。全ての伏線を丹念に回収しながらたたみかけるように収束させていく手練手管には脱帽。ただひたすらに不可避の悲劇的結末に雪崩れ込んでいく『ドゥームズデイブック』の透明で底冷えのする哀しみもあれはあれで感動的だったけど、それぞれが自分に出来る最大限の努力をやってより良い未来をつかみ取ろうとする本作の姿勢も良かったと思う。メイジーがジョアンナに寄せていた信頼感の強さには泣けた。
しかし日本人だとあまり実感が湧かないけど「あの事件」は欧米人にとっては共通認識となるくらいの大惨事なんだろうなあ。このお話、日本を舞台にして作り替えるとしたら主人公はいったいどこに飛ばされるのだろうか。[2005/10]
| ついでに…… 『人間臨終図鑑』@山田風太郎<<全三巻。古今の偉人総勢900人の断末魔を記録。 |

クサカベ・サクラはサイタマクェン大陸のマヨネイ王国の住人。14歳の誕生日「誓いの儀」を迎えるべく、生まれ育った聖ゲルニカの家を出た彼は王宮でとんでもない事件に巻き込まれる。黒竜に攫われた王女シズキを救出すべく、魔法使いのミナミさん、戦士のミヤモト、そして僧侶のドクロちゃんと共にパーティを結成したサクラ君。その行く手には過酷な未来が待ち受けていた。
2005年刊行。早くもシリーズ六作目。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の33号、34号、36号に掲載された三作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書。後半の三編は初のファンタジー編。ドラクエ好きな人なら爆笑出来ること請け合いのバカエピソード。それぞれのキャラが立ちまくっているのでこうしたアナザーワールド話は今後もアリだと思う。今回も物語にまともな着地点を許さないドクロちゃんの力は恐るべしだ。[2005/10] ⇒次巻

アメリカ北西部の片田舎フラートン。元海軍特殊部隊所属のコウイチ=ハヤシは刑期を終えてこの街に流れてきた。未だ白人至上主義の気風が残るこの街で、東洋系のハヤシへの風当たりは厳しかった。しかし突如として現れた二体のエイリアンが平穏な田舎町を地獄にたたき落とす。あらゆる反撃を受け付けず殺戮の限りを尽くす異星人たち。悪夢のようなサバイバルゲームが始まろうとしていた。
第22回のメフィスト賞受賞作。2001年刊行。ありがちなアメリカの田舎(超保守的)の光景+エイリアンという無茶な組合わせの化学反応を愉しむべき作品。なかなか日本人作家がアメリカを舞台にした作品は手がけにくいと思うんだけど、プロフィールを読む限りでは作者は実際に北米での生活経験があるっぽい。民間人の銃器使用や、主人公に対しての差別意識なんてのは日本が舞台だったら無理のある話になっていたと思うので、舞台設定としては正解か。
人死にまくり。救いゼロ。この暗澹たる結末は好みだ。500頁を越える大作ながらも、長い話をサクサク読ませるリーダビリティの高さはは新人ながら認めても良いのではないかと思う。自分はカタカナ名前を覚えるのが苦手な方だけど、書き分けがしっかりしているので、かなりの人数に及ぶ作中人物たちを把握するのにも混乱は無かった。欲を言えば主人公のキャラクター造形をもう少し丁寧に掘り下げてくれれば、よりラストの絶望感が深まったであろうにと、この部分はやや残念。[2005/10]

ケイロニア軍を中心としたグイン捜索隊はユラ山系に入っていた。しかし突如としておこった山火事に行く手をさえぎられてしまう。しかも続いて発生したなぞの大嵐は彼らにさらなる混乱をもたらす。状況を確認するために偵察にでたヴァレリウスはおどろくべき怪異に遭遇する。それはグラチウスとイェライシャ。ふたりの大魔導師の壮絶なる死闘だったのだ。
2005年刊行。シリーズ103巻目。なにこのイケメンってくらいの美形ヴァレリウスな表紙に戦慄。でも相変わらず内容は薄い。グラチーとイェライシャのオッサンが戦ってる大変だー。以上w。ってくらいの内容に乏しい回。グインに重傷を負わされてちょっとだけ改心したっぽいイシュトヴァーンが少し気になる。まだ手紙だけだから安心は出来ないけど。[2005/10] ⇒次巻

1943年。第二次大戦下のイタリア第127捕虜収容所。連合軍のイタリア本土上陸が迫る中、収容所の捕虜たちは大規模な脱走計画を進めていた。しかし掘削中のトンネル内でスパイ容疑を受けていたクトゥレス中尉が何者かによって殺害されてしまう。厳重に閉鎖されていたトンネル内で一体どのようにして犯行は行われたのか。そして彼らの大脱走作戦は成功するのだろうか。
2003年刊行。2003年のこのミス海外部門第2位の作品だけど、オリジナルが出版されたのはなんと1952年。作者は1912年生まれのイギリス人。大戦中はイギリス軍の一員として北アフリカ、イタリアと転戦。後に捕虜となりイタリアの捕虜収容所に収監。実際に脱走して前線復帰した経験を持っている。これくらいの経験が無いと本作のような作品は書けないかもしれない。
一人では進入出来ないトンネル内でどうやって被害者は殺されたのかというミステリ的な謎解きの楽しみがまず一つ。そして空前の大脱走劇は成功するや否かというサスペンス的な楽しみがもう一つ。二つの要素を兼ね備えたところが本作のウリ。しかし何分半世紀も前の作品なので、トリックがあまりにシンプル過ぎていまとなっては古さを感じてしまうのが難点。親玉の実行犯が逃亡してそれっきりなのも消化不良。主人公が犯人の名前を上官に報告しないのも不自然過ぎるなあ。[2005/10]

仙境にある茶店・銀葉亭をひとりの少女が訪れる。彼女の名は明蘭。またの名を蝶々姫。人界での哀しい恋の果てに風精に転じた過去を持っていた。つらい前世の反動から、仙界では奔放に浮かれ遊んでいた明蘭だったが、楓の樹精・金楓英との出会いがその運命を変えていく。しかし新しい恋を得た明蘭はある悲愴な決意を固めていた……。
1995年刊行。朝鮮文化をベースにしたファンタジー。銀葉亭シリーズの三作目。表題作の他に、第23回コバルト大賞受賞作の「金剛山綺譚」も収録。こちらは金蓮花のデビューのきっかけとなった作品。
今回もメロメロ純愛路線。っていうか、このシリーズで純愛路線以外のお話しになることは無いんだろうけど。淡雪のように切なく儚い恋の物語。さすがに読み続けるのがしんどくなってきた。汚れてしまった高齢者にはつらいよ。[2005/10] ⇒次巻