驚きの雑学 世の中の「ウラ事情」はこうなっている
[日本博学倶楽部] ★★★ PHP研究所 (\476) [Amazon]

お札の肖像画は誰が書いているのか、図書券のお釣りをくれない店があるのは何故、どうして選挙速報は開票率1%で当確が出せるのか、回天寿司が回る速度に隠された秘密とは、宇宙飛行士になるにはどうすればいいのか、お茶屋さんが一緒に海苔も扱っているのは何故なのだろう?日常の中に潜むさまざまな「ウラ事情」をどーんと一挙公開。
2000年刊行。普段だったらこの手の雑学本は絶対読まないんだけど、諸般の事情で読んでみた。文庫ではなく電子書籍での購入。この本、実は20万部以上売れているちょっとしたヒット商品だ。雑学として暇な時間に読む分には、そこそこ楽しめる内容だ。
でも「なぜ選挙速報は開票率1%で当確?」の答えが「事前の世論調査や出口調査、市町村レベルでの選挙事務所への取材により、各局が独自のノウハウで出すものである」っていうのは、なんだかはぐらかされたようで答えになっていないような気が。独自のノウハウって何だよ。取り扱う題材によって回答の質や面白さに微妙に幅があるのは難点かな。[2006/03]
十八の夏 [光原百合] ★★★☆ 双葉社 双葉文庫 (\571) [Amazon] ※書影無し
浪人生の三浦信也が出逢った年上の女性。オンボロアパートの上階に住む彼女に心惹かれていく信也。十八歳の時にしか体験出来ない切ない片想いを描いた表題作をはじめ、不器用な男の愚直なまでに一途な恋心を描く「兄貴の純情」。家族を全て失ったかつての教え子が心の奥底にしまいこんでいた秘密「イノセント・デイズ」。四編を収録した短編集。
初出は「小説推理」。2002年に刊行された単行本 [Amazon] を2004年に文庫化したもの。このミス2003年版で国内6位の作品。表題作にもなっている「十八の夏」は第55回日本推理作家協会賞を受賞している。四編が収録されているがそれぞれの話につながりは無い。唯一共通するのは、花をモチーフにした作品集だということだけ。ミステリ色はそれほど強くなく、恋愛小説として読んでも十分楽しめると思う。
まずは表題作から。当初主人公の心理描写が一切なく、彼のストーカーじみた不自然すぎる行動に疑問符が一杯状態だったのだけれども最後まで読んでみて納得。丁寧に伏線もしっかり貼ってあった。これならアリだろう。前半の心理描写を省いた分、ややもすると恋愛モノとしてのインパクトが弱まってしまったのは残念。話の構造上仕方ないけど。
二作目「ささやかな奇跡」。薄幸を絵に描いたような女性が、細々とひとりで書店を切り回しているなんて設定は本読み男子のストライクゾーンを的確に抉りすぎ。オレだったら毎日通っちゃう。なんだか上手く行き過ぎて、ひねくれモノとしては受け入れたくないハートフルな展開だけどヒロインが素敵だから許す。
三作目の「兄貴の純情」は自分的には今ひとつ。カラっと明るく笑えて、ちょっとだけしんみりさせてくれる内容。兄貴の人の性格付けがマンガ的というか、紋切り型に過ぎるというか類型的なキャラ設定で感情移入の妨げとなってしまった。オチも見えやすいしね。
四作目の「イノセント・デイズ」は唯一サスペンスタッチのシリアスな作品。他三編が比較的平和な内容だっただけに、ラストを引き締めるには丁度良かったかなと思える話だった。ミステリ色はこれが一番濃厚。殺されてしまった、不倫カップルの方がよっぽど好感が持てた自分は少数派か??[2006/03]
盤上の四重奏 〜ガールズレビュー〜
[友桐夏] ★★★☆ 集英社 コバルト文庫 (\457) [Amazon]

選ばれた者故の孤独。特別な存在として外部に出ることを許されず、学校にも通うことの無かった都がはじめて許された束の間の自由。高名な進学塾で過ごす刺激的な毎日。初めて出来た友人たちと過ごす時間は瞬く間に過ぎていく。そんなある日、都は「特別な生徒」の噂を耳にする。それは自分の事なのか。秘密のはずの情報が何故!?安全な場所に思えた塾内部にも陰謀の魔の手が迫っていた。
2006年刊行。友桐夏の三作目。「ガールズレビュー」のサブタイトルがあることから『白い花の舞い散る時間』との関連を期待して購入。が、読む前にラノベ系書評サイトでうっかりネタバレを見てしまい、大ショック。失敗した。今回は、時間を遡って『白い〜』より一世代前の人たちの物語だったのだ。まあ少し読めばだいたい『白い〜』との関連は想像は付いちゃうけどね。主人公の名前からしてネタバレだし。
前作にも輪をかけて『麦の海に沈む果実』っぽい雰囲気。肌の泡立つような緊張感の漂う学園生活を過ごす、ミステリアスな少年少女たち(しかも美形揃い)。Amazonのレビューに「ラストまで手を抜かず破綻せずにきっちりしっかりどんでん返してくれるサービス精神旺盛な恩田陸みたいな感じでした」というのがあってメチャメチャ頷けた(笑)。麦海ファンは読んで損無し。
『白い〜』を読んでいれば主人公のその後はだいたい想像が付いてしまうのだが、それを考慮しても散々な扱われよう。ここまで奈落の底に突き落とされるヒロインも珍しい。まるで道化扱いだよ。都可哀想。彼女がこの先どうなるかが判っているだけに哀れさが募る。いやはや見事な暗転ぶりだった。このシリーズがこの先どうなるのかは判らないけど、友桐夏はやはり面白い。当分は新本購入継続で行くよ。[2006/03]

仕事に携わる者の基本は朝に発意、昼に実行、そして夜に反省である。同じ事を繰り返し五年経てば五年分の反省をする。そうすればよかったこと、よくなかったことが判ってくる。最初は間違いないと思っていたことも、あとで振り返ってみると誤っていることもある。日本を代表する経営者の一人松下幸之助が説く経営の心得の数々。
1973年刊行。現在改訂版が127刷。さすがは天下の松下幸之助。凄い売れ方だ。もともとはナショナルの販売店をやっているような小規模事業者向けに書かれた本らしい。とても書店に並んでいるようには思えない古めかしい装丁で、これは店頭売りよりも、法人向け営業でガンガン企業相手に売りまくっている本のような気がする。文庫版 [Amazon] は別に出ているしね。30年以上も昔の本で、ごく一部の限定された業界向けに書いた内容ではあるものの、普遍的な事が平易に分かり易く、かみ砕いて書かれているので、業界を問わず十分通用する内容になっている。
世間の言ってることは正しいとか、笑顔が大事、自分を正確に認識できるか、競争は正々堂々と、お金のやりとりには気を遣え等々、当たり前すぎることが淡々と語られているので、若い頃に読んでもあまりピンと来ないかもしれない。昔、松下系の同じような内容の本を読んだことがあるのだが、当時はあまり共感出来なかった。年を取るとすっと入ってくる言葉というのはあるものなのだと思った。「気付き」のきっかけに成りうる一冊。[2006/03]
バカ世界地図 [一刀] ★★★ 技術評論社 (\1,080) [Amazon]

南極大陸があるんだから北極にも大陸があるはず。南極は南なんだから当然暑いに決まっている。オーストラリア人は自国の形を四国と差し替えられても気付かない。アフリカの西海岸は全部チリ。バトル三国ってあったような気がする。フロリダのあたりはディズニーランド。全世界の叡智を結集して考えた脳内ワールドマップが遂に完成!
2005年刊行。「みんなでくだらないものを作る」がモットー。目標は全米NO.1だと言うウェブサイト借力のweb企画がベース。前作の『バカ日本地図』に続いて書籍かされたのが本書。
一人一人が頭に思い描いている世界の姿を結集。今回は世界地図ってことなので英語版のページも開設し、外国人からも広く不毛な意見を収集した結果、更に輪を掛けて意味不明な世界地図が完成してしまった。バカバカしいけど見ているだけで楽しくなってくるので、洒落の判る人なら読んでおいて損は無いかと。でも間違っても信じないように。
尚、付録として大判バカ世界地図とバカ日本地図がついてくる。また巻末には瞬間で終わってしまった短命企画バカ宇宙地図も掲載されている。オトクだ(笑)。[2006/03]
ワイヤレスハートチャイルド
[三雲岳斗] ★★★ 徳間書店 徳間デュアル文庫 (\505) [Amazon] ※書影無し
喫茶「織葉庵」には別嬪のウェイトレスがいる。海外の古典ミステリが好きで、趣味は園芸。彼女の名はなつみさん。とても良くできた気の付く子だけど実はロボットだったりする。住み込みのアルバイトとして店を任せられた大学生松浦宮城は、ある日訳ありの中学生和緒を預かることになってしまう。どうやら彼女の中学で起きた不可解な転落事故との関係があるようなのだけど……。
2001年刊行。1999年デビューの三雲岳斗としては比較的初期の作品。古本屋で偶然見かけなければ存在を知らずにいたところだ。
いろいろなことがあって女の子と付き合うのが苦手になってしまった主人公が、とある事件をきっかけに成長していく姿を描く連作短編集。メイドさん型ロボットなつみさんがヒロイン(たぶん)。主人公と共に喫茶「織葉庵」を切り盛りする。なつみさんはロボットという制限故なのか控え目な性格であまり目立たない。主人公の恋愛対象にもなり得ず、萌えるには燃料が足りない感じ。どちらかというと、セカンドヒロインである不思議な力を持つ少女和緒の方が吸引力があった。でも、主人公が一番ラブなのは秋水クンなんだろうね。妙な男友達にもストーキングされるしモテモテだ。
ロボットが当たり前に現実の世界に入り込んでいる社会というのは少々唐突に感じた。全般的にボリューム不足で、中心となる転落事件の顛末も意外にあっさりと解決。これで主人公や和緒のトラウマが解消されてしまうのは展開が急過ぎる。ページ数に制限でもあったのだろうかと勘繰りたくなるくらいだ。もう1エピソードくらい欲しかったな。[2006/03]
ラス・マンチャス通信 [平山瑞穂] ★★★★ 新潮社 (\1,400) [Amazon]

僕はとうとう「アレ」を殺してしまった。姉と共にその死体を埋めたとき、僕の少年時代は終わってしまったのかもしれない。施設での日々。ミス矢萩。レストランリトル・ホープでの修業時代。灰の降る町での生活。ゴッチャリ。由紀子との出会い。地を這いずり回るような底辺の暮らしの中で、最後に僕がたどり着いた場所は……。
2004年刊行。第16回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。連作短編形式。幻想小説でありながらホラーの要素もあって、終わってみればビルドゥングスロマン的な側面も多分に持ち合わせたいたという何とも贅沢な作品。ラス・マンチャスとは「汚点」「穢れ」「呪われたモノ」みたいな意味合いで使われている。どこに行っても異端者。被差別の存在として生きる主人公の彷徨の日々を綴る。世界のあり方が微妙にズレた不思議な物語空間。このズレの匙加減が巧い。以下、簡単に各章の雑感。
第一章「畳の兄」。少年時代終わりの日。家族の中で不可触の存在となっていた「アレ」(知的障害者の兄)。出だしは幻想小説っぽい。出だしの陸魚がとにかく気持ち悪くて掴みはバッチリ。姉を犯そうとする「アレ」を撲殺して、施設に送られるところまで。地に足の着いていない現実から感覚が遊離した状態でただひたすら屍体を埋めようとする、姉と弟。いい絵だな。
第二章「混血劇場」。ここからブンガクっぽい雰囲気。施設に送られた主人公。施設での日々と、出所後の最初の職場、レストラン「リトル・ホープ」での暗澹たる日々を描く。最後のトイレでのシーンが秀逸。いつまでたっても終わらない排尿。陰茎を握ったまま立ちつくす主人公となんだかよくわからない男。家族から切り捨てられていく主人公の焦燥感。乾いた絶望感をこんなかたちで表現してくるとは。
第三章「次の奴が棲む町」。イナガワさんの所に送られて、灰の降る町(鹿児島?)で凝固した灰(ゴッチャリ)を取る仕事に就く主人公。とにかく酷い人イナガワさんと、ヒロイン由紀子の登場。トラウマになりそうな初体験。そして「次の奴」の存在。わけのわからないものが、わけのわからないままに放置される恐怖。ここでは濃厚なホラーの香りを満喫させてもらった。
第四章「鬼たちの黄昏」。イナガワさんと由紀子、そして主人公との不毛な同居生活編。この汚れ具合が堪らない。インチキ商法で糊口をしのぎ、どんどん擦れて堕ちていく主人公。姉との再会、そして人間じゃない生物の登場!この話どうなっちゃうんだろうと、手を叩いて喜んだ瞬間だ。スゲー。世界とのズレはもはや修復不能。この先まるで読めない凄い展開に突入していく。
第五章「無毛の覇者」。名前は頻繁に登場していたけど、これまで姿を現すことの無かった小嶋さんが遂に表舞台に。謎の人物の住む山荘へと送られた主人公。嗚呼、こんな酷い最後が用意されていようとは。阿鼻叫喚。それでいて妖しくも美しく魅せるラスト。幕の引き方も粋だ。
ちなみに平山瑞穂は受賞後の第一作『忘れないと誓ったぼくがいた』 [Amazon] を先月(06年2月)にようやく上梓している。なんと恋愛小説らしい。これは読まなくてはなるまいよ。[2006/03]
アロマパラノイド 偏執の芳香
[牧野修] ★★★☆ 角川書店 角川ホラー文庫 (\762) [Amazon]

ノンフィクションライターの八辻由紀子は、友人の編集者小来栖久子からの紹介で超常現象研究家瀬能邦生に出会う。取材の資料として瀬能から貸し出された一冊の書物「レビアタンの顎」は17年間にパリで起きた猟奇殺人犯の犯行手記ともいえるおぞましいものだった。妖しげな隣人たち。奇怪な変質者の出現。以来、由紀子の周辺では不気味な出来事が頻発しはじめる。
1999年に『偏執の芳香 アロマパラノイド』 [Amazon] のタイトルで刊行されていた単行本の文庫版。2002年刊行。文庫化にあたって改題されている。ベストSF1999の国内部門で第6位にランクインした作品。
牧野修らしい電波ゆんゆんな素敵トンデモ小説。電波な文章書かせたらこの人は天下一品だな。「これはひどい」と呆れるしかないようなトホホ感(褒めてる)。複数のエピソードを合体させた話らしく、整合性とか後半のストーリーの収斂具合にはちょっと問題ありか。広げた風呂敷を畳むときにいろいろなものがこぼれてしまった感じ。主人公の友達が、偶然盗聴の天才にして古武道の達人って設定は調子が良すぎるのではないかと思った。ラストのひねりは◎。牧野作品はこうでなくちゃね。[2006/03]
マリオネット症候群
[乾くるみ] ★★★ 徳間書店 徳間デュアル文庫 (\476) [Amazon]

高校生の御子柴里美はある晩目覚めると、自らの体の自由が利かないことに気付き愕然とする。里美の意志とは無関係に彼女の体は歩き、物を食べ、そして会話をしてしまう。誰かがわたしの体を乗っ取っている!なんと、彼女の体に憑依していたのは憧れの森川先輩だった。しかし彼はなにものかによって殺害されてしまったらしい。いったい誰が?里美の体を使って先輩は犯人探しをはじめるのだが……。
2001年刊行。乾くるみってデュアル文庫でも作品出していたのか。ちっとも知らなかった。本作が四作目。これが初の非講談社系作品。巻末の大森望の解説ではこれまでに刊行された乾作品の紹介がなされている。デュアルの読者には馴染みの無い作家故の配慮なのか。ライトノベルで解説が入るのは珍しい。
男女入れ替わりモノの一種。突然自分の体の中に憧れの先輩の精神が入り込んでしまった女子高生の物語。ヒロインは先輩と意志の疎通を取ることが出来ず、自分の意志で体を動かすことも出来ない。従ってヒロインは先輩が自分の体を使って行動するのをただ見守るだけ、という趣向。女の子の体を男が操っているシチュエーションはいくらでも面白おかしく演出出来そうなものだけど、枚数の都合なのか、作者の趣味なのかコミカルなシーンは少なめ目。非常にスピーディにストーリーは進行していく。終盤の展開は大森望も書いているけど新井素子の「ずれ」によく似ている。が、そこはやっぱりメフィスト賞作家乾くるみなので、少々ひねった変化球で勝負してきている。処女作『Jの神話』の驚きと較べるのは酷だけど、十分「らしい」シニカルなエンディング。しかし酷い家族だよなあ。[2006/03]
ランブルフィッシュ 10 学園炎上終幕編
[三雲岳斗] ★★★★ 角川書店 スニーカー文庫 (\762) [Amazon]

フェニックス闘専との戦いは恵谷里側の奇襲でスタートした。しかしキャリィの圧倒的な戦闘力によって戦況は一変。終わってみれば第一ラウンドはフェニックス側の圧勝に終わる。一方、恵谷里の周囲を取り囲んだ謎の部隊は一気に校内への侵入を開始する。レイドフレーム誕生にまつわる驚くべき秘密がいま明らかになろうとしていた。
2006年刊行。シリーズ10作目(さらに外伝が1冊あるから実際は11冊目)。刊行間隔が空いてしまったから最初気付かなかったけど、瞳子表紙の9巻とカバー絵がつながっている。ラストならではの粋な仕掛けだ。それにしてもSR編のラストなのかと思っっていたら、どうやらシリーズそのものの完結編らしい。これは驚いた。まだ続けてもいいのにな。勿体ない。
人型ロボット(RF/レイドフレーム)の人材養成学校恵里谷闘専の学生たちが、自分たちの組み上げたRFをライバルたちと闘わせながら成長していく物語。例えるならば現代の高専の学生たちがやっているロボットバトルが、ものすごく発展したものだと思って欲しい。競技としてのRFは公営ギャンブルなので、雰囲気的にはF1と競馬を足して3で割ったような感じかな。
当初のタイマンバトルから、現在は4対4の集団戦闘(SR)にシフトしていて、エリート集団のアメリカ、フェニックス闘専との決着がついに付く。登場人物がとにかく多いこの話。全てのキャラに見せ場をちゃんと作っているところが神業。500ページを越える分厚さもこれなら納得だ。史や優妃、ちさとあたりに活躍の場があるのは想像がつくけれど、よもや長谷川(弟)にあんな華々しい再起の場が与えられていようとは。作中最強のヘタレキャラが、この土壇場での奇跡的な大活躍。これぞカタルシス。燃える展開だ。
超脇役の長谷川(弟)でこの扱いなのだから、当然メインの3人の戦闘シーンは更に手がこんでいる。脳内BGMは常時「ガンダムファイトのテーマ」(笑)。ロボットバトルモノとしても実にこの作品は秀逸で、勿体ぶった科学蘊蓄付きの必殺技の応酬がこれまた燃えるのだ。繰り出される超兵器の数々。正直なところそんなのホントかどうか科学に疎い読み手には判断のしようもないのだが、それっぽい科学解説がついてくるだけで、嘘みたいに納得度がアップするのだ。
要、まりあ、沙樹、それぞれのこれまで延々引っ張ってきたエピソードの落とし方も完璧で。数ページおきに泣きが入るんじゃないかってくらいの密度の濃さ。母親に虐待されてきたまりあと、親友を殺してしまった要、この二人が自らの居場所と存在意義を見出すに至るここまでの展開は見事だったと思う。特にまりあの「みんな大好きだよ!」は筆頭爆泣シーンだった。ここのイラストがこれまた素晴らしいんだよな。カラーページが少なかったのは残念だけど、本文中のイラストは大盤振る舞いなのでイラストについては満足している。この話、久織ちまきを起用したのは大正解だったと思う。
最近の電撃系作品はまだ読めていないのだけど、おそらくは現時点での三雲岳斗の最高傑作。達者にそこそこの話は量産出来るけど、大傑作と言えるほどの代表作が無かったこの作家。引き出しの多い人なので、今後が楽しみだ。 深見勝利と白石奈緒はまだいろいろ隠しているだろうし、だいたい、メイン所で唯一藤真蒼威だけが放置プレイ中。何年かしてからでいいから絶対続きを書いて欲しいな。[2006/03] ⇒感想を1巻から
ボルボロスの追跡 グインサーガ106
[栗本薫] ★★☆ 早川書房 ハヤカワ文庫 (\540) [Amazon]

ガウシュ村を去ることを決意したグインは、リギア、マリウス、そしてフロリー母子をともないパロをめざし出発する。しかしスーティがイシュトヴァーンの隠し子であると知った<<風の騎士>>アストリアスは、対ゴーラ反抗の切り札をわが手にせんと、執拗にグインたちを追いつづける。幼子をつれたグインたちのあゆみは遅く、ついに追っ手が間近にせまる。
106冊目。2006年刊行。ボルボロスって誰だっけ?と、一瞬悩んでしまったが、どうやら地名らしい。今回は地味なタイトルだ。
あっさりグインに説得されてしまうアストリアスに激萎え。「グイン殿!」とか言って懐いてんじゃねえってば。大義のために恩讐を越えて仇敵と和する……なんてノリは微塵もなく、「このままじゃ僕殺されちゃう」って程度のヘタれ具合。育ちが良くて騙されやすい性格であったのは確かだから、人間そうそう変わるもんじゃないってのは判るけど、あの長きに渡る放置プレイの日々を瞬間で忘れてどうするよ。
これで<<風の騎士>>様ご一行はご退場で、次なるお相手は限りなくザコキャラに近いイシュトヴァーンの密偵の皆さんたちにクラスダウン。こんな名も無きザコ相手にページ取られすぎだ。だいたいこれほどまでに追跡者とのキャラの格の差が開いてしまうと、緊迫感もへったくれも無いわけで、不毛なページ稼ぎにしか思えないよ。さあ、とっととパロに着いちゃおうぜ。[2006/03] ⇒次巻
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