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コメント |
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| トリプルプレイ助悪郎 | 西尾維新 | 講談社 | \800 |
物足りない。
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★★★ |
| アヒルと鴨のコインロッカー | 伊坂幸太郎 | 東京創元社 | \1,500 |
琴美ちゃんはセキュリティ意識弱すぎ。
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★★★☆ |
| "文学少女"と慟哭の巡礼者 | 野村美月 | エンター ブレイン |
\620 |
ラブクラフト作品を嬉々として食らう遠子先輩に悶死しそうです。
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★★★★ |
| 水神の祭り グインサーガ115 |
栗本薫 | 早川書房 | \540 |
進展無し。
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★★☆ |
| ふりむかない男 グインサーガ外伝20 アルド・ナリスの事件簿2 |
栗本薫 | 早川書房 | \560 |
特に読まなくても問題無し。
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★★☆ |
| 刀語 第九話 王刀・鋸 | 西尾維新 | 講談社 | \1,100 |
しかし炎刀は卑怯だ。
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★★★ |
| びっくり館の殺人 | 綾辻行人 | 講談社 | \2,000 |
爺さん……。
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★★★ |
| 戦う司書と虚言者の宴 | 山形石雄 | 集英社 | \571 |
ミンスさんの平和的な神溺教団に笑う。
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★★★ |
| 模倣の殺意 | 中町信 | 東京創元社 | \700 |
復刊本。
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★★★ |
| 鉄の枷 | ミネット・ ウォルターズ |
東京創元社 | \1,100 |
相変わらずお上手。
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★★★☆ |
| イカロスの誕生日 | 小川一水 | 朝日ソノラマ | \571 |
荒削りでちょっと惜しい。
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★★★ |
| 老ヴォールの惑星 | 小川一水 | 早川書房 | \720 |
良中編集。小川一水らしい。
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★★★☆ |
| M.G.H. | 三雲岳斗 | 徳間書店 | \686 |
地味だが手堅い一品。
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★★★ |
| 鏡姉妹の飛ぶ教室 | 佐藤友哉 | 講談社 | \970 |
姉さん!
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★★★ |
| シャガールと木の葉 | 谷川俊太郎 | 集英社 | \1,700 |
やっぱり表題作が一番いいかな。
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★★★☆ |
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トリプルプレイ助悪郎
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| ついでに…… 『銀河鉄道の夜』は青空文庫に収録されているのでこちらで全文が読める。 更に余談かつマイナーネタで恐縮だが谷省吾の戯曲に『破稿 銀河鉄道の夜』という作品がある。ジョバンニとカムパネルラの関係性にトリッキーな仕掛けがあって、ちょっとだけこの話を思い出した。高校演劇の世界では時々上演されているようなので、なかなか無いとは思うけど機会があったら是非見てみて欲しい。依存。喪失。解放の物語。名作。 |
クム最大のイベント、タイスの水神祭りがついに幕をあげる。タイス伯爵にフロリーを拉致されてしまったグインだったが、続いて幼いスーティまでもが姿を消してしまう。しかしグインは半ば虜囚の闘王としての立場から容易に行動をおこすことができない。祭りの熱狂に街が飲みこまれていくなかで、より事態は悪化していくかに思えたのだが……。
2007年刊行。シリーズ115巻目。予想はしていたが、本当に祭の描写だけで一巻全て使うとは。具体的な進展を書こうとするとおそらく10頁もいらないのではないだろうか。数少ない動きのある部分、スーティの失踪にしても、地下牢の惨劇にしても、容易に先が読めてしまう安易な展開で興味の繋ぎようがない状態だ。
タイス編で唯一、気になる問題としてはガンダルさんとの対決がどうなるのか、ってことくらいか。しかし対ガンダル戦をまともに書こうとすると、更にパロ行きが長引きそう。マーロールの件といい、フロリーの件といい、無駄に話を広げすぎているから、まだしばらくはタイスでの話が続いてしまうのだろうが、読み手がうんざりしていることにいい加減に作者は気付いて欲しい。[2007/09] ⇒次巻
瀕死の重傷を負いマルガに隠棲することとなったクリスタル大公ことアルド・ナリスは、無聊をなぐさめるべく見舞いに訪れたフェリシア婦人から奇妙な話を聞き興味をもつ。怪死したパロの学生たちと、クリスタルに流布する「ふりむかない男」のうわさ。往年の大商人カルストゥスにまつわる悲劇は現在にいかなるわざわいをもたらしているのだろうか。
2006年刊行。ナリナリ捕物帖の二冊目。外伝の中の更に外伝といった感じ。前巻では「アルド・ナリス王子の事件簿1」と副題がついていたのだが、これだと王子時代の事件しか扱えないことに気付いたらしく「アルド・ナリスの事件簿」と名称が変更されている。本文中に今回以外にも解決したらしい歴代の事件名がずらっと列記されるシーンがありげんなりさせられる。まだまだ書くつもりなのか。
別名カラム水殺人事件。安楽椅子探偵モノに分類されるんだろう。本筋には関係ないので完全読みとばしオッケー。最初に医者が下した死因判定がそもそも間違っているのはいかがなものかと思うけど、この作者だからあまり難しいことを要求しても無理。それよりも萎えたのは世界観ぶちこわしな現代的言葉遣いの数々。昔は細かな名詞や言い回しの端々にまで気を遣っていただけにガッカリ。お願いだからヴァレリウスに「クライマックスですよ!」なんて言葉叫ばせないで欲しいよ。[2007/09]
出羽の国。天童は将棋村を訪れたとがめと七花。四季崎記紀の残した十二本の完全なる変体刀を探し求める旅は終盤を迎えていた。この地に王刀・鋸を求めてやってきた二人は、心王一鞘流を受け継ぐ道場主汽口慚愧に出会う。交渉による変体刀入手は失敗に終わり、実力行使による七花と慚愧の対決が実現する。しかし事態は思わぬ方向へと……。
2007年刊行。十二ヶ月連続刊行のシリーズ九作目。これで残り三冊。
おまえら半年以上もいちゃいちゃしながら全国二人で旅しているのにキスすらしてなかったのかよ。意外にも健全な男女交際のあり方に驚く。あ、でもこの二人の生い立ちを考えた場合、リアルに知らない可能性があるな。
将棋の国天童が今回の舞台。スポーツ剣術家汽口さんのキャラ設定は予想外の切り込みでなかなかよろしいかと。剣を持ったらマジで弱い七花に笑った。まにわにの皆さんは順調に人数減少中。人減らしておかないと終盤の展開で紙面が足りなくなりそうだ。人も減り、蒐集すべき刀の数も減り、どんな結末をもってくるつもりなのか次あたりで終盤にかけての仕掛けが見えてくるのではないかと予想しておこう。[2007/09] ⇒次巻
謎多き建築家中村青司が残した数々の館たち。三知也の少年時代の記憶に残る「びっくり館」もその一つであった。白髪の老人と足の悪いトシオ、そして奇怪なリリカ人形が住まうこの館で起きた密室殺人は、十年を経た現在でも犯人が明らかになっていないのだという。記憶の中から蘇る暗鬱な真相。そして館に隠された仕掛けとは……。
2006年刊行。ミステリーランドは、故宇山秀雄が企画した「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリレーベル。箱装。箔押しの題字。フルカラーイラスト。図書館に収めるられることも想定してカバー無し、箱無しでも見栄えのするデザイン。そして執筆陣は現代一流の書き手が勢揃いと、非常にゴージャスな造りになっている。それだけに一冊あたりの価格は高めで\2,000。貧乏なので地道に古本で収集中。小野不由美『くらのかみ』、乙一『銃とチョコレート』に続いて三冊目の購入となる。
館シリーズの最新刊はミステリーランド枠からの登場という変化球だった。こちらだと多少力を抜いて書けるのだろうか。その前は十二年間隔が空いたのに、今回は僅か二年での新作登場である。トリックはシンプルというか、変化球的なかわし方で、内容的には館系よりも、囁き系の香りがする。
しかし子ども向けに書かれている割には、このレーベルの作品、いずれもエグいシーンがとても多い。子どもたちのトラウマ本になることを逆に意識しているのでは勘ぐりたくなるくらいだ。今回もかなり来ている。トシオの爺さんの鬼畜ぶりがとにかく突き抜けていてビックリした。まさかその意味で「びっくり館」なのか!(違)。[2007/09]
凄絶な死闘の末、宿敵神溺教団を打倒した武装司書たち。しかし崩壊の種は身近に存在していた。武装司書の追跡を逃れたオリビアが選択した次なる一手は、大胆にも彼らの懐中へ飛び込むことだった。若手司書らに館長代行ハミュッツに対しての不信を説くオリビア。次第に広がっていく反体制の輪。水面下で繰り広げられる女同士の静かな闘いの結末は……。
2007年刊行。シリーズ七作目。前回で神溺教団との戦いが一段落して、さて次はどんな新展開?と期待させておいての一冊が本書。ハミュッツに唯一土をつけた、オリビアが再登場。特殊能力ゼロの一般人オリビアがいかにして、天下無敵、残虐無比のハミュッツに立ち向かうのか。弱者の闘いを繰り広げるオリビアの活躍が燃える。
今回の狂言回しは見習い司書のヤンクゥ君。彼の視点をまじえながら複雑に時系列を交錯させながらの構成。けっこう凝っている。ぼーっと読んでいるとなにがなんだか判らなくなってしまうので注意が必要だ。ハミュッツの破滅願望に救われたとはいえ、オリビアの選んだ戦い方はナイス!ドラえもんのひみつアイテム並のお手軽度だけど、虚構抹殺杯アーガックスは便利だなあ。
さて、結局のところオリビアが「菫色の願い」を託したのは一体誰なのか?どうやら男性キャラのようだけど、現時点のメンツの中で性別を男性に限定すると、かなり絞られてしまうような。少なくともマッドアラストでもユキゾナでも無いわけで、うーむ謎は深まる。まさか新キャラ??[2007/09]
作家坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げる。小説家としての行く末に悩んだ末の自殺と警察は判断するが、恋人の中田秋子はその死に不審を感じ独自の調査を開始する。一方、ルポライター津久見伸助は同人仲間であった坂井の死の真相について、記事にするよう週刊誌から依頼を受ける。調査の過程で津久見はとある有名作家の盗作疑惑にたどり着く。事件の意外な真相とは。
1970年代に発表された作品の復刊本。オリジナルは第17回江戸川乱歩賞に応募した『そして死が訪れる』。乱歩賞の入賞は逃したものの、内容は高く評価され1972年に雑誌「推理」上にて『模倣の殺意』のタイトルで掲載され、翌1973年に『新人賞殺人事件』として双葉社より単行本が上梓される。これが後の1987年に『新人文学賞殺人事件』として徳間文庫に収録。ここから18年を経て2005年に刊行されたのが本書。刊行されるごとに改稿が繰り返されており、今回がその決定版とされている。
さすがに35年も前の作品なので古さは否めないが、それはそれで高度成長期が舞台のミステリと割り切ればそれなりに楽しめる。肝心のトリックについてだが、ヒントはけっこう出ているので、最初の違和感に気付けば比較的容易にネタは割れる。今でこそ当たり前に使われるこの手のトリックも、当時としてはこれが先駆であったという点が評価されての復刊なので、歴史的価値も含めて堪能すべきだろう。[2007/09]
イギリス。フォントウェル村。村きっての名家、ギレスビー家の老婦人マチルダの遺体が自宅浴室で発見される。睡眠薬を服用し浴槽内で手首を切る。それは覚悟の自殺だったのか。しかし彼女の頭部には中世の拘束具スコゥールズ・ブライドルが被せられ、野菊や刺草の装飾が施されていた。村の医師セアラは、マチルダの"遺言"により事件に巻き込まれていくのだが。
オリジナルの英国版は1994年刊行。邦訳版 [Amazon] は1996年に。本書は2002年に出た文庫版。『氷の家』 [Amaozn] 『女彫刻家』とヒットを飛ばし続けてきた作者の三作目の作品。「このミス」1998年版、海外部門第四位。
イギリスの片田舎で繰り広げられた半世紀に及ぶ愛憎劇のなれの果てを描いたお話。殺害されたマチルダは孤高の嫌われ者といった態の老婦人、その娘は色情狂で薬物中毒者、孫は盗癖ありの問題児で放校寸前と、過去に遡ってもまともな人間が一人もいないギレスビー一族が面白い。とりわけマチルダ・ギレスビー凄すぎ。あなたは黒すぎる。
普通の人代表にして、物語の牽引役はマチルダの主治医で数少ない理解者であった医師のセアラ。彼女は夫で売れない画家ジャックとの夫婦仲が冷え切っていて、いままさに離婚確定かという状況。物語はマチルダの死についての真相究明に、セアラたち夫婦の家庭内問題が絡み合うような形で展開していく。陰惨なギレスビー家の話がセアラとジャックの陽性のキャラクター設定でかなり救われている。
前作『女彫刻家』とはかなり趣きが違うので最初は少々戸惑う。最初の100頁くらいは我慢して読む。話の軸がセアラに移ってくると読みやすくなる。ミネット・ウォルターズは久しぶりに読んだが、リーダビリティは相変わらず高い。ミスリードの仕掛けも堂に入ったもので、暖かな余韻を残した幕引きも悪くない。引き出しの多い作家のようなので、これから既刊をガンガン読んでいくつもり。[2007/09]
人類にいつの頃から一定の確率で誕生するようになった翼あるものたち"イカロス"。彼らは通常の人類と同一の遺伝子を持ちながら、背に一対の翼を持ち空を飛ぶことが出来た。自由奔放な気性を持つイカロスに対して政府は法規制を開始、遂には不穏分子として弾圧、迫害を開始する。追い詰められたイカロスは団結し抵抗を開始するが……。
2000年刊行。比較的初期の小川一水作品。書影が出ないのが残念だけど、相変わらずソノラマのカバーデザインは渋い。ライトノベルという概念は無いのだろうな。
10万人に一人の割合で生まれてくる翼を持った人類イカロス。どう見ても物理的に飛べそうも無い翼なのに、彼らは空力を無視して飛翔することが出来る。どうして彼らは生まれてきたのか、そしてその存在意義はという展開になっていくのだけど、これって岩本隆明の『星虫』とコンセプト的に被っているような気が。正直あちらの方が遙かに出来が良いだけにあとから読むと見劣りがするのが残念。
他のレーベルと違って一冊で完結しなきゃいけないので、相変わらずソノラマの小川作品は展開が急ピッチ。それ故にテーマを丁寧に掘り下げたり、キャラクター描写を深めるために適切なエピソードを用意したりする余裕が絶望的に足りていない。ヒロイン以外のサブキャラについてはもう少し書き込みが欲しかった。壮大なテーマを謳い上げるには分量、筆力共に足りなかった印象。この人はこれ以降どんどん上手になっていくだけどね。[2007/09]
灼熱のガス惑星に生きる知的生命体。存亡の危機に立たされた彼らの選択を描いた表題作。政治犯だけが放り込まれる迷宮という名の監獄。そこで繰り広げられる壮大な社会実験を描く「ギャルナフカの迷宮」。地球外生命体との交渉に赴いた一団の思わぬ顛末を描く「幸せになる箱船」。僻遠の星で遭難した男の数奇な人生を描いた「漂った男」。四編を収録したSF中編集。
2005年刊行。ベストSF2005国内部門第一位の作品。初出は「ギャルナフカの迷宮」が同人誌「Progressive25」。「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱船」が「SFマガジン」。最後の「漂った男」のみが書き下ろし作品となっている。ファーストコンタクト、漂流モノ、比較的よくあるエスエフテーマを小川一水風に調理してみましたよ、という作品集。以下、作品別に短評。
「ギャルナフカの迷宮」。おおっ、迷宮!ウィザードリィ(違。『クリムゾンの迷宮』 [Amazon] か『バトルロワイアル』 [Amazon] みたいなゼロサムゲームが展開するのかと思いきや、そこは小川作品。連帯、共闘、組織化という展開に。どちらかというと新井素子の『ラビリンス』に近いか。単なるハッピーエンドに終わらせず、ひとひねり入れてきたのが巧い。
「老ヴォールの惑星」。ちょっと前に話題になった地球外惑星ホットジュピターをネタにしたお話。本巻収録中もっともハードエスエフ指向な作品だろう。こういう「人類は一人じゃない」ネタはエスエフの超王道とはいえやっぱり泣ける。珪素体でプラズマを吐きながらホットジュピターを駆けめぐる知的生命体がとにかく萌える。個人的にヴォールの皆さんのキャラクターボイスは玉川紗己子(@タチコマ)でお願いしたい。
「幸せになる箱庭」 。タイトルがネタバ(ry。地球外生命体によって木星の質量が激減。このままでは地球の軌道にも影響が……。ということで、異星人と交渉して、木星の掘削をやめてもらいましょうと調査団が派遣されるお話。うーん、しかしこれはよくある話のような。あまり新鮮味は無し。
「漂った男」。超遠隔地の惑星で遭難した主人公。あまりに遠い惑星のため満足な捜索隊は派遣出来ない。この惑星には陸地が無く全てが海。危険な生命体は無く、しかもその海水は栄養分が豊富で主人公は遭難しながらも生命の危険がゼロ。かくして、究極の放置プレイに見舞われた主人公が、緊張感のない長い長いサバイバル生活を繰り広げる展開。
キーポイントは無線による連絡手段は常に確保されていること。普通であればすぐさま孤独死してもおかしくない状態だけど、他者とのコミュニケーション手段が残されている人間は決して孤独では無いのだというお話。最初に救難信号をキャッチしたタワリ中尉との長く長く続く交流がとにかく泣きのツボ。お約束的展開ながらもラストは燃える。[2007/09]
大学院生の鷲見崎凌は従姉妹の森鷹舞衣の懇願により、偽装結婚の末に宇宙ステーション「白鳳」へ赴くが、そこで思わぬ事件に遭遇することになる。無重力空間内での墜落遺体。それは果たして事故なのか殺人事件?はたまた覚悟の末の自殺だったのか。あり得ない死亡原因に愕然とするステーションスタッフたち。そして第二の事件が……。
2000年に出た単行本 [Amazon] を文庫化したもの。2006年刊行。第1回日本SF新人賞受賞作品。後に出る『海底密室』の十数年未来の話。微妙に登場人物がリンクしている。
『海底密室』同様にエスエフ+ミステリな作品。重力が無い筈の無重力空間でどのようにすれば墜落死が出来るのか。エスエフマインドに溢れた魅力的な謎の設定はなかなか良い感じ。この作者の他の作品に比べると地味で、外連味も少ないものの、わりとコンパクトによくまとまった良作なのではないかと。セカンドライフもどきの仮想ネットスペースをこの時点で予見出来ていたのはさすが。[2007/09]
少年少女たちの平穏な一日は、何の前触れもなく地獄へと変貌した。突然の大地震で市立蒼葉中学校は校舎ごと地中に陥没。大半の生徒たちが死亡する中で、生き残ったものたちによる熾烈なデスゲームが開始される。暗躍する連続猟奇殺人犯。双子の祁答院姉弟が探し求めるトロとは?そして取り残された鏡姉妹の運命は。
2005年刊行。ユヤタンの五作目。その前の『クリスマス・テロル』はかなり意欲的な作品ではあったのだけど、思いに筆力が伴わなかった感が強く、以後伸び悩んでいたユヤタンとしては久しぶりの作品。三年の沈黙を破って登場ではあるが、実際には2003年〜2004年にかけてwebの講談社ブック倶楽部に連載されていた作品。鏡家サーガとしては四作目。鏡家の三女と四女が登場する。
地震で地下に埋没してしまった中学校が舞台。大半の生徒が死亡する中で、無政府状態と化した学校内でのサバイバルストーリー。内容的にはかなり少年漫画的なお話。展開タルくない?ってところもあるけど、まあ、それなりの出来にはなっているか。後半無理矢理健全な青少年成長譚にもっていこうとするのが少々気持ち悪い。そんな綺麗な話にしなくていいのに。空々しく読めてしまう分まで計算して書いているのならスゴイと思うけど。
久しぶりに読んだのでかなり忘れていたが、鏡家シリーズ特有のバックグラウンドストーリーは健在で、「闘牛(トロ)」「闘牛士(トレロ)」や、なんとか財閥のイカレ姉弟たちが登場。鏡佐奈についてのラストのオチも含めて、これはシリーズ通して読んでないと理解しにくいと思う(読んでいても理解が難しいという説もある)。
ユヤタンは本作以降は、どちらかというと純文畑に進出。『1000の小説とバックベアード』 [Amazon] で三島由紀夫賞を受賞し、舞城と並んでメフィスト賞出身でもっとも芥川賞に近い男となりつつある。そろそろこっち系の作品も読んでみるかね。[2007/09]
詩はふて寝している。詩はへらへら笑っている。詩はむっつり黙っている。詩はひとりで歩いている。詩はかくれんぼしている。言葉ではないものに見つかる瞬間を待ち続ける幾多もの詩の数々。今も世界のどこかで、誰かが詩を書き続けている。たった一人で。三十六編を収録した待望の作品集。
2005年刊行。谷川俊太郎は1931年生まれなので74歳の時の詩集。初出は一番古いもので1993年。多くは2000年代の前半に書かれている。未だ現役。70代でこの感性はスゴイ。
詩集の類を買うのは久しぶりでちょっと恥ずかしい。諸般の事情でうっかり購入。谷川俊太郎ほどの大家になると、なにかの媒体に依頼されて詩を書くケースがかなりのボリュームを占めていて、収録されている作品のほとんどが依頼原稿(っていうのかな)。それだけに媒体のテーマに合った比較的判りやすい商業用作品もちらほら(読みが浅いのかもしれないけど)。
それだけに初出不明となっている三編「光」「断片」「願い」はいずれも意味深長な内容で、解釈が難しい。どういう経緯で生まれた作品なのだろうか。とても気になる。大昔の作品ならいざしらず、最近の作品で初出不明ってどういうことなのだろう。
これまた作者の年齢的な特徴として、他界した同世代人に対しての追悼詩が多く本書には収録されている。チャールズ・M・シュルツ。矢川澄子。寺島尚彦。川崎洋。高橋康也。石垣りん等々。知人友人たちに先に死なれていく立場とは、なんとも寂しいものなのだと痛感させられる。あんまり長生きはするものじゃない(谷川俊太郎には長生きして欲しいけど)。[2007/09]