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コメント |
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| 七姫物語 第五章 東和の模様 |
高野和 | メディア ワークス |
\670 |
意外に話が進んだ。
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★★★☆ |
| 石のささやき | トマス・H・クック | 文藝春秋 | \733 |
これはビター過ぎる。
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★★★ |
| 戦う司書と終章の獣 | 山形石雄 | 集英社 | \590 |
今回も神展開。
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★★★☆ |
| ランドックの刻印 グインサーガ119 |
栗本薫 | 早川書房 | \540 |
ハゾスがなんだかバカっぽい。
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★★☆ |
| 家守 | 歌野晶午 | 光文社 | \819 |
仄かにホラーテイストも
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★★★ |
| 沈黙のフライバイ | 野尻抱介 | 早川書房 | \600 |
粒揃いの良作短編。
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★★★☆ |
| メイズプリズンの迷宮回帰 | 上遠野浩平 | 祥伝社 | \838 |
上遠野浩平はこのシリーズをどうしたいの?
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★★★ |
| 放課後の記憶 | 森真沙子 | 立風書房 | \1,456 |
予想と違った。
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★★★ |
| 旅立つマリニア グインサーガ120 |
栗本薫 | 早川書房 | \540 |
今回グインがすっかり空気な件
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★★ |
| "文学少女"と神に臨む作家 上 |
野村美月 | エンター ブレイン |
\600 |
上下巻同時に出して欲しかったよ。
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★★★ |
| パラダイス・クローズド | 汀こるもの | 講談社 | \860 |
メフィスト賞らしい作品。でも、水棲生物蘊蓄は度を超えすぎ。
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★★★ |
| DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事 |
西尾維新 | 集英社 | \1,300 |
本編は読んでおいた方がいい。
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★★★ |
| グアルディア 上 | 仁木稔 | 早川書房 | \700 |
JDのアレはアッサリしすぎだろ。
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★★★ |
| グアルディア 下 | \700 | ||||
| 七月は織姫と彦星の交換殺人私立霧舎学園ミステリ白書 | 霧舎巧 | 講談社 | \780 |
あっさりというか、物足りない。
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★★★ |
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七姫物語 第五章 東和の模様
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参考画像
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一巻の頃の空澄さん
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五巻の空澄さん
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刊行ペースは遅いながらも、いやそれだけに一巻あたりの進展速度は想像以上でビックリ。思っていた以上に激動の巻だった。黒曜姫の権力基盤が意外に脆弱なのが驚き。そして翡翠さんとの共闘をあっさり決めてしまったのは更なる驚き。なるほどこんなアクロバットを決めてきたか。四都市連合にも新たな陣営が加わって(これも衝撃的!)、この勢いだと中原勢力の脅威という共通の敵を前にして、すんなり東和の挙国一致体制が構築出来てしまうのではなかろうか?
トエとテンが非道な策謀を駆使して、屍山血河を築きなから東和世界を征服していくシナリオを想定していた自分としてはやや肩すかし。「仲間」であえるトエとテンの野心が、罪もない一般民衆を不幸に陥れていく中、自らの存在意義に葛藤する空澄。みたいな話が読みたかったのだけど、もう無理かな。さすがに、もう一波乱二波乱あるのだろうが、あとがき曰く大団円が近い雰囲気だし。最終的にはみんな仲良くエンドの予感がするよ。[2008/05]

姉のダイアナは息子ジェイソンの死をきっかけとして精神の平衡を失っていく。夫であるマークとの離婚の後、怪しげな文献に没入し、不気味なインターネットサイトへのアクセスに耽溺するダイアナ。息子の死を事故と認められない彼女は、その責任をマークの背信行為だと思いこむようになる。破滅の淵へと追い詰められていく一人の女。果たして真実は何処に。
2007年刊行。クックお得意の回想型ミステリ。物語の舞台が現代なのが、これまで読んできた作品に較べると異質に感じる点だろうか。インターネットなんて存在はこれまで出てこなかっただけに違和感が大きい。
主人公ディヴィッド・シアーズは冴えない民事専門の弁護士。精神疾患の末に、狂気の中で死んでいった父を持つ。ディヴィッドには姉が一人。姉のダイアナがその一人息子ジェイソンを事故で死なせてしまったところから物語は転がり出す。この作品は過去の事件を遡って解き明かしていくターンと、取り返しのつかない「何か」が起きた後、刑事の尋問を受けている主人公のターン、両者が交互に綴られていく。
主人公は、父の精神疾患が自分や姉に遺伝しているのではないかという不安に常に曝されている。子供を失ったことで、実際に姉の精神は次第に失調を来していく。妄想を募らせていくダイアナは、主人公の娘パティを自身の妄想の中に引きずり込む。血の呪縛の中で、ダイアナが堕ちていく闇の陥穽。相変わらず上手ではあるのだけれども、家庭内の悲劇、とりわけ精神疾患に対してクックは容赦が無いというか、救いの可能性を残さないのは正直どうなのよと思う。父親が精神疾患を患っていたからといって、その子供達にまで影響が残るというのは救いがなさ過ぎる。ミステリとしてのキレも今ひとつだったので、今回は★三つで。[2008/05]
バントーラ図書館に史上最大にして最悪の危機が訪れる。書庫を守る筈の衛獣が、定められた領域外にまで侵入し暴走を開始する。対応に追われる武装司書たちだが、無限に増え続ける衛獣に苦戦を強いられる。未曾有の事態に対して、何故かハミュッツは沈黙を守り、マットアラストも姿を現さない。そして禁断の迷宮最下層では世界を破滅に導く「なにか」が動き始めていた。
シリーズ八作目。2008年刊行。おおおおおっ、相変わらずこのシリーズの展開の読め無さ加減は異常。構成が上手いのか、見せ方のセンスがいいのか毎回毎回読者の予想をいい意味で裏切り続けるこの作家はスゴイ。表紙で目立つと高確率で死亡フラグが成立する本作。遂に今回はハミュッツ一人で表紙を独占である。まさか、まさかの事態が起こってしまうのか。
物語構造的に一般キャラよりも上の階層にいるルルタさんは確かに最強。二次元生物が三次元生物相手に戦いを挑むようなもの。彼の「絶望した!!」攻撃は強すぎる(ここだけ久米田康治にイラスト書いて欲しい!)。最強の武装司書も、引きこもりニートの二千年の絶望には勝てなかった。アーガックスの水飲ませれば解決のような気もするけど、これも無効化しちゃうのかな。こうなると返す返すもノロティの不在が痛い。全方位博愛主義のあの子がいれば、なんとかなったんじゃないかね?
「みんな嘘だったのよう」と皆に告げるハミュッツの力の抜け加減がこれまたいい。少女時代のメガネっ子ハミが存外に可愛らしく改めて惚れ直しそうな勢いだ。あれでハミが死亡確定だとは思いたくないけど、こんな形で殺されるのは彼女的な勝利条件を満たしているようにも思えるのでホントに死んでいてもこのシリーズならおかしくない。
となると最後まで物語を牽引するのはエンリケの役割なのか。菫の咎人として、遂にその姿を現し始めたチャコリーがその後どうなったのか。ハミュッツとの関係はどうなっていたのか。そこいらが終盤展開の鍵となってくるだろう。名残惜しいけど、次かその次でこのシリーズも完結かな。初めての作品を綺麗に畳むことが出来るのかは新人作家にとって大きなハードルになると思うのだけど、山形石雄なら出来ると信じてるぜ。[2008/05]
| ついでに…… 『風よ龍に届いているか』@ベニー松山 <<迷宮戦闘モノならこれが白眉。 |
数奇な運命ののちにグインはふたたびパロへとたどりついた。ケイロニアからはハゾス、トール、ゼノンらの臣下が出迎えにかけつける。いっこうにもどらないグインの記憶に対して、ヨナは古代機械に再度グインを触れさせる決意を固める。果たして失われた記憶は取り戻すことが出来るのか。そして、またしても新たな異変がおきるのだが……。
2008年刊行。シリーズ119作目。ネットではかねてから話題になっていた話ではあるが、本巻のあとがきで作者自身により胆管癌であることがカミングアウトされている。本人サイトを見る限りでは手術は無事終了。しかしかなり大きな手術だったようで、その後も入退院を繰り返しているようだ。依然として予後の楽観は許せない状況の模様。それでもこの時点で、新刊二冊分はストックがあるらしい。
パロ編はこれで終了かしらと思ったら、相変わらず展開の遅さは変わらず。もうしばらく舞台はクリスタルになるみたい。しかしグインは本当に可哀想。おいおい、これはアリですかという斜め上展開に。この扱いは酷い。端末扱いかよ。これって『七人の魔導師』 [Amazon] と記憶の整合性取れているのかなあ。ますますタイス編がいらない子に思えてきたよ。[2008/05] ⇒次巻
築三十年を越える木造モルタル二階建て。主婦苑田笙子は密室状態の部屋で窒息死する。嫌疑は夫にかけられるが、思わぬところから事件は別の様相を呈し始める表題作他、田舎の洋館に籠もり理想の女性を求めて人形を作り続ける男の狂気とそのなれの果てを描く「人形師の家」等、家にまつわるミステリー計五編を収録した短編集。
2003年刊行。1998年から2003年にかけて「メフィスト」「ジャーロ」に発表された作品をまとめたもの。家をテーマにした短編集。総じて地味な作品群だが、それぞれに凝った仕掛けが凝らされていて面白い。以下、簡単にコメント。
「人形師の家」は人形の女性しか愛せない男が引きこもる屋敷が舞台。探検のため屋敷を訪れた少年たちが遭遇する怪異。人形師にまつわる謎と、少年サイドの謎。二つの視点にそれぞれミステリが仕掛けられていて少々凝っている。
「家守」は就寝中の事故で窒息死した女性についてのミステリ。物理トリック系。えーと、そんなことが本当に可能なの?余程吸引力が強いのがあれば別だけど。あと、部屋の密閉率も大事か。こちらも殺された妻側の裏ストーリーがあるのがポイント。
「埴生の宿」は惚けてしまった老人と。その家族がとある学生に依頼した不思議なアルバイトの話。設定に無理があるような気がするけど、死に方がバカっぽくて好み。彼はまるまる死に損だけどね。
「鄙」は何十年も前の片田舎で起きた密室殺人の謎。閉鎖社会ならではの解法。主人公たちが居なければ、そのまま闇に葬られていたかも。っていうか、主人公達殺しちゃえば良かったんじゃねえか?
「転居先不明」は格安の中古一戸建て物件に隠された罠。プロバビリティの殺人。過去にあった一家惨殺事件と、現在の住人に起きたトラブル。短いスペースの中で二つの軸をうまく動かしている。[2008/05]
筑波宇宙センターに勤務する瑞城弥生は早期探知衛星から、警戒レベル5のアラートを受ける。それはアンドロメダ方面から発せられた恒星間測位システムの信号であり、人類は異星人の探査機が太陽系に向けて飛来しつつあることを知らされる。思わぬ形で成立したファーストコンタクトの顛末を描く表題作他、計五編を収録したエスエフ短編集。
2007年刊行。「ベストSF2007」の国内第三位作品。1998年から2006年にかけて「SFマガジン」「SFオンライン」に発表された四編に書き下ろし一編を加えて文庫化したもの。「ロケットガール」シリーズや『ふわふわの泉』みたいにライトノベルの装いに身を包みながらもハードエスエフ指向の強かった野尻抱介だが『太陽の簒奪者』あたりから本格的にそっち方面への傾斜を深めている。こちらも各編ごとに短評を。
表題作「沈黙のフライバイ」は安価に実現出来そうな恒星間飛行の話。重さ1グラム、切手サイズの極小探査機でいかにして恒星間の距離を飛び越え、正確な画像を送信させることが出来るのか。試行錯誤している間に、考えていたのとまったく同じ手法で、異星人から探査機を送り込まれた人類の戸惑いを描く。宇宙の深淵をさりげなく垣間見せてくれるラストはいい切れ味。
「轍の先にあるもの」。無人探査機「NEAR」が2001年に小惑星エロスに着陸成功。送信されてきた画像にまつわるミステリ。実話に基づく作品。小惑星エロス上に刻まれた蛇行した窪み。それはいかにして作られたものなのか。エスエフ的なミステリで素敵。安価な軌道エレベータの作り方もそそる。これなら作れそうな気がする。2022年のレベルでここまで宇宙旅行が現実化出来ていることを真剣に祈りたい。
「片道切符」は人類初の有人火星飛行計画についてのお話。金食い虫である宇宙開発と、反対派によるテロ。『プラネテス』 [Amazon] を読んでいる(アニメの方 [Amazon] でもオッケー)とうんうんと納得出来るお話。無重力空間内でいかにして男女の営みを成立させるかについても興味深い考察があるぞ。
「ゆりかごから墓場まで」は人類初の閉鎖生態系を実現するC2Gスーツについての物語。でっかい宇宙服みたいなもので、特殊な触媒と太陽光によるエネルギー供給で、外部からの補給無しで生きていくことが出来る。浄化されているとはいえ、自分の排泄物を食べて生きていく人生というのは考えたくないな。
ラスト「大風呂敷と蜘蛛の糸」は安価に地球から宇宙へと上がる方法を模索した作品。気球で40キロの高さまで上がり、大気が薄くなる中間圏からは極薄素材の超巨大ハングライダー(面積14ヘクタール)で地上80キロまで上がろうとするもの。地上80キロの高さでは大気は限りなく薄くなるので、ここからなら地上ゼロメートルよりも低コストでロケットを打ち上げることが出来る。次から次へと奇抜なアイデアを繰り出してくるめげない理系女子に萌える話。
いずれの作品も現実世界から地続きの、すぐそこに手が届きそうな未来の話であることが共通している。非理系人間にも取っつきやすい内容なので、ハードエスエフ系が苦手な人にも是非手にとって欲しい一冊だ。[2008/05]
服役中の双季蓮生は突如として刑務所内から姿を消した。警察、東澱兄妹、サーカム保険会社。さまざまな組織が双季を追う。家出中の少女西秋有香は双季と出会い、成り行きから保険金詐欺を企てることになってしまう。「生命と同等の価値のあるものを盗む」謎の怪盗ペイパーカット。彼の名を騙った詐欺は果たして成功するのか。
2006年刊行。怪盗ペイパーカットシリーズの三作目。知らないうちに新刊が出ていた。っていうか、もう四冊目 [Amazon] も出ているらしい。相変わらずペイパーさんの存在は希薄。ブギーポップよりも存在感無いんじゃね?もはや狂言回しですら無い。
内容は上遠野作品にありがちな「大事なことは既に終わってしまっていた系」である。双季さんの謎は、比較的容易に想像が付く。ブギーみたいな派手なバトルがあるわけでもないので基本地味だ。東澱のお嬢様が少々デレてきたのが変化といえば変化だろうか。このシリーズをどの方向に収束させたいのかが、まだ見えてこない。このままダラダラ続くのかしらん。[2008/05]
クラス演劇で「マクベス」を演じた二年五組の面々。舞台は好評のうちに幕を下ろしたが、マクベス夫人役を演じた少女が数日後に謎の死を遂げる。自殺、他殺、それとも事故なのか。真相は解明されることなく四半世紀の時が過ぎる。担任の尾藤は妻の死をきっかけとして事件を再び追い始める。かつての教え子を訪ね歩くうちに、浮かび上がってくる哀しい事実。
1994年作品。15年近く前の話。作者の森真沙子は1944年生まれで、デビューが1980年代前半だからベテランの域だろう。ホラー、時代小説と色々書いているけれど、90年代は学園を舞台としたミステリを数作書いている。
タイトルから学園ミステリなのかと予想して読んだら、過去振り返り型のミステリだった。先日読んだ『ブラバン』の過去現在比が5:5だとすれば、こちらは1:9くらい。学生時代の描写は極めて少なく、視点のベースは事件から二十五年後の現在におかれている。学園小説、青春ミステリを期待して読むと外される。
本作では各章ごとに主人公が入れ替わる構造が取られている。老境に入った担任の尾藤が、事件を解明するためにかつての教え子を順々に訪ねていく。『舞踏会の手帖』 [Amazon] 形式だな。二十五年前に高校生だった教え子たちも今では40代前半。クラスメイトの死は彼らの人生にどんな影響を与えたのか。人間二十五年も生きていればいろいろあるわけで、なかなか思うに任せないのが世の中。この部分をいかに哀愁を漂わせながら描くかが、このタイプの物語には大事だと思うのだけど、個々のエピソードと過去の事件がうまく絡んでこない。そして死んだ女の子(有岡みほ)についても掘り下げが弱いのきつい。失われた未来の象徴としてこの子はとりわけ魅力的に描かなくてはならなかった。あともう少しで良作になる気配が感じられただけに残念。[2008/05]
古代機械により「修正」をほどこされたグインは、これまでの記憶をとりもどしたものの、アモンとの戦い以降のパロへといたる記憶を逆に失ってしまう。ケイロニア本国からの強い要請をうけ、グインはサイロンへの帰還をきめる。そしてフロリーはスーティをともない、ミロク教の聖地ヤガへと向かうべくクリスタルを旅立つ。
2008年刊行。シリーズ120作目。全編愚痴と回想シーン。4/5くらいは読む必要無しだろう。「なんて可哀想な●●(←リンダとかヴァレリウスとかマリウスの名前を適宜代入)ってノリで、うだうだ愚痴っている間に終了。愚痴と回想はもういいからって、これまで何回書いただろう。更に劣化の程度が進んでいるのが哀しすぎる。
それでも最終章は「ヨナの秘密」なんてタイトルだったからどんな秘密が!と思って期待していたら、実は彼女が居たんですって、その程度か。ヨナには将来的に裏切りフラグが立つと読んでいるのだけど、そんなところまで話は続かないだろうな。[2008/05]
二月。交際をはじめた心葉とななせは少しずつ精神の距離を縮めていく。美羽の病状も僅かずつではあるが快方に向かい、芥川の表情にも穏やかさが戻ってきていた。なにもかもが上手く動き始めたのか。そう思い始めた心葉の魂が、ふたたび暗黒に突き落とされる時がやってくる。明らかになる"文学少女"の裏切り。不気味な動きを見せる流人の真意はどこにあるのか。そして遠子の秘密とは。
2008年刊行。『"文学少女"と慟哭の巡礼者』で「哀しくてたまらないときに綺麗に笑える人」になりたいと語った遠子が、表紙イラストでは儚くも歪んだ笑顔を浮かべている。これまであらゆる意味で"読者"でしかなかった遠子先輩の物語が遂に紐解かれる日が来てしまった。怖れながらも待ち望んでいたシリーズ最終章が遂にスタートである。っていうか上巻なのかよ。二冊組なのかよ。それなら一緒に出せよ。なんだよこの引きは。遠子先輩ファンとしては身悶えしそうな終わり方である。次巻はいつまで待てばいいんだよ。夏までに出してくれよ頼むから。これで引っ張るのは酷すぎる。
目出度くツンデレ少女琴吹さんとの交際が始まった心葉。でもそれとは対照的に精彩を欠いていく遠子先輩。これまであまりにいい人でありすぎた遠子の表に出なかった影の部分が少しずつさらけ出されていく鬱展開が強烈。本気を出して一気にどす黒くなってきた流人君にも笑う。母親の方もスゲー。ラスボスはこの二人なのだろうか。琴吹さんには悪いけど、もう先輩エンドでいいじゃん。なんだかもう読んでいて辛くなってきた。
今回のお題はジッドの『狭き門』 [Amazon]個人的にはアンドレ・ジードと読んだ方がしっくり来るのは年のせい?しかし、これまでの作品に較べると本編とのリンクが弱い。この程度の絡み方だと、正直お題にするだけの必要性を感じられないのだ。半分しか終わっていないから仕方ないのだが、これは下巻に期待するしかないか。上巻だけ読んだ時点では評価保留。というか、既刊の中では一番出来がよろしくないので少々心配だ。
それなりに遠子先輩の過去は壮絶なのだけど、いまいち感情移入が出来ないのは語られる過去話が遠子先輩の母親の目線で綴られているから。読者的には遠子先輩の本人の気持ちが知りたいわけで、昔に死んだ人の話は正直どうでもいいのだ。過去六冊の既刊で、まったくその心中を明らかにしなかった遠子先輩だからこそ、最終巻ではあますところなくその思いのたけをぶちまけて欲しかった。
迷走する遠子先輩と、にわかに邪悪さを発揮しはじめた流人に翻弄され、結果的に心葉はボロボロになっていくわけだけど、ここまで散々世話になってきたのだから、遠子先輩のために、そして自身のためにもこの試練を乗り越えて欲しいもの。一度は筆を折った心葉が、再び物語を書くことが出来るのか。そして心葉が再び苦しむのが判っていながら、それでも彼を"作家"にしようとする遠子先輩の真意はどこにあるのか。下巻では遠子先輩の内なる葛藤を描きながら、心葉の更なる成長を描いて見せないといけない。 これまで探偵役を務めてきた遠子先輩が、今回は物語の渦中の人となってしまったいま、心葉のそして遠子先輩の憑き物を落とすのは誰なのか。望むべくは自らの力で立ち直って欲しいものだけど、麻貴先輩とかは出てきて欲しくないぞ。あ、実は最初から何もかもが打算でした!なんて遠子先輩ラスボス説だけは勘弁で。
話は変わるけど、今回のタイトルがちょっと気になっている。「神に臨む作家」とは誰の事なのか。素直に読めば心葉の事なのかもしれないが、作中に「自分が求めた筋書きを提示出来ない作家は読者に見捨てられていく」という文章がある。となれば神とは傲慢な読者(わたしたち)の事なのか。あれれ、ひょっとしてメタな視点を持ち込もうとしている?それとも、作家論にまで立ち入って論じるつもりなのか。大ラスに向けて、読者の期待のハードルは限りなく高いと思うのだが、これまでの実績を信じてただ待つのみ。[2008/05]
美樹と真樹は双子の兄弟。兄の美樹は行く先々で死体に遭遇する死に取り憑かれた男。そして弟の真樹は数々の難事件を解決してきた高校生名探偵として知られていた。彼らが行くところに事件と死体あり。ミステリ作家大倉阿鈴の招きにより訪れた小笠原の孤島では、またしてもトラブルが待ちかまえていた。双子が導き出した、思いも寄らぬ事件の解とは……。
2008年刊行。第37回メフィスト賞受賞作品。ちょっとちょっと『蠅の王』 [Amazon] のネタバレが思いっきりされてるじゃん。ずっと前から読もうと思っていたのに。ネタバレするならするで最初に書いておけって。ミステリじゃないからネタバレしてもいいわけじゃないだろうに。
社会派の天才高校生探偵の真樹と、その双子の兄死神ニート美樹。そして彼らのお守りを任された不運な刑事高槻を主軸として展開する本格ミステリ。孤島モノ。双子は共に(当たり前か)美少年設定。美樹は行く先々で死体に遭遇する奇癖を持っており、持ち前の美貌と相まってネットでは人気沸騰中。「タナトスきゅん」としてその筋では超有名人となっている。
島には招待者の大倉阿鈴の他に彼のミステリ作家仲間が数名滞在中している。嵐がやってきて島から出られなくなると事件が発生。当然のことながらお約束に忠実に電話は通じず、ネットはつながっているもののパソコンを犯人に破壊されてしまい外部への連絡は出来ない。事態を把握するや、ミステリ作家たちはオタク精神丸出して、名探偵を気取り推理に耽溺し始める。とまあ、ここまではオーソドックスな孤島モノの定石をきちんと踏まえてみせる。
この作品が評価されたのはこの先だ。密室とかアリバイとかそんなのどうでもいいから♪動機?そんなのどうでもいいじゃん♪とばかりに由緒正しき正統なる本格ミステリの作法を軽やかに投げ捨てているところだろう。ここまであっけらかんと開き直られると清々しい。が、逆に言うとそれしか無い、とも言えるので、この人がこの先どんな作品を書いていくつもりなのかが心配になってくる。この話を本来の本格の作法で解決したら、単なる平凡な話で終わってしまうからなあ。こんな一発芸は二度も通じないだろうし。かといってキャラ読み出来るかというと、それほどキャラが立っているとも思えないし。二作目『まごころを、君に THANATOS』 [Amazon] はもう出ているようなので、いずれそちらも読んでみるつもり。[2008/05]
FBI捜査官南空ナオミは自らのミスから現在は停職中の身の上。そんな彼女に届けられたメールは、世界最高の頭脳を誇る探偵"L"からの捜査協力依頼だった。ターゲットは街を騒がせている連続猟奇殺人犯。既に三人が殺害されているが、被害者の間をつなぐミッシングリンクはまったく見えてこない。この事件に法則性はあるのか。姿を見せないLと協力し、南空は次第に犯人を追い詰めていくのだが。
2006年刊行。言わずとしれたベストセラーコミック『DEATH NOTE』 [Amazon] のノベライズ作品。西尾維新作品はほとんど読んできたわたしだったのだが、この作品だけは原作を読むまではと手を出さずにいたのだった。原作のコミックは全12巻で累計2,400万部超。凄すぎる。2008年6月の時点で、Amazonのユーザーレビューが一番多い西尾作品が『DEATH NOTE』のノベライズである本作(レビュー数132件)というのが本読みとしては寂しい。『クビキリサイクル』ですら91件しかレビューがついていないのに。マンガの市場規模はライトノベルのそれとは桁が違うのだと改めて実感させられた。売れてる作品のノベライズってのは安牌だもんな。これなら西尾維新クラスの売れっ子でもノベライズを書く気になるだろう。
本書の装丁は黒無地の表紙に銀文字でタイトルと十字架のみのシンプルなデザイン。デスノートそのものをイメージして作られている。どうせならブランクの罫線ページくらいサービスでつけてくれてもいいのに。って、そんなことしてしまうとリアルで学校のイジメに使われてしまうから拙いのかな。
本作の主人公はFBI時代の南空ナオミ。時間軸的には本編が始まる二年前の設定だ。従って既にあるコミックの内容を小説にしたのではなく、完全にオリジナルのストーリーとなっている。当然のことながらキラこと夜神月は全く出番が無いのだけど、アンチライト派のわたしとしてはまったく無問題。逆にL好き(南空ナオミ派も!)としては喜ぶべき内容だろう。西尾維新がとことんキラを嫌いなのはよく判った。
とはいっても、あくまでも西尾維新フィルターを通しての『DEATH NOTE』なので、「俺のLはこんなこと言わねえ」「南空ナオミがアホ過ぎる」「メロがヘタレ過ぎる」などなど、原作への思い入れが強すぎる人には向かない可能性が大である。世界観的に『DEATH NOTE』の雰囲気とは馴染まない言葉が使われているのにも違和感を覚えた。超人気コミックのノベライズにあえて、出版社の枠を越えてまでしてライトノベル界の売れっ子を持ってきたのは面白い試みではあったけど、大多数の普通の『DEATH NOTE』ファンとしては、小説家の個性を殺したもう少し平凡なノベライズが読みたかった、というのが正直なところではなかろうか。[2008/05]
致死性ウイルスの蔓延により人口が激減し、放射能汚染により居住地も制限され、人類は中央アメリカを中心とした僅かな地域に辛うじて文明社会の残滓を留めていた。西暦2643年。都市国家エスペランサは、ラテンアメリカ地域全てをその傘下に収めるべく軍事侵攻を開始する。知性機械サンティアゴにアクセス出来る唯一の存在、生体端末アンヘル。エスペランサを統べる彼女の真の目的とは。
2004年にハヤカワSFシリーズ Jコレクションの一冊として刊行された作品 [Amazon] の文庫版。文庫化に際して上下巻に分冊されている。ベストSF2004の国内9位の作品。仁木稔は本作が処女作dだ。
舞台は27世紀のラテンアメリカ。死のウイルスと戦争の影響で人類がまともに生きていけるのはこの地域だけ。スペイン語ベースの世界観がなんだか目新しくて良い。英語でセント・ジェームスって書くよりも、サン・ティアゴとスペイン読みするだけで新鮮に見えてくるから不思議。ただ、地域やキャラクターによって、アンヘルの呼び名が人にエンジェルだったり、アンゼリーナだったりと違ってくるので、この点読みづらいのが難点と言えば難点。冒頭に人物紹介をつけているのなら、一通りの呼び名を全部書いておいてくれるとよりベターだったかな。
旧時代の超技術、知性機械へ唯一人アクセスすることが出来る人体端末アンヘル。彼女はラテンアメリカで唯一旧時代の科学が残された都市国家エスペランサの総統だ。単性生殖で増え、自分で自分と同等の遺伝子を持つ「娘」を生むことでその力を継承していく。各世代のアンヘルに記憶は受け継がれないが、知性機械本体と彼女の脳は直結されているので、時折知性機械から歴代のアンヘルの記憶の逆流が起こり彼女を苦しめる。未来永劫に続く生体端末としての運命に絶望したアンヘルが、そんなら知性機械ごとぶっ壊して自殺しちゃえばいいんじゃね?と、血迷い始めたのがこのお話の発端。
対立軸として登場するのは、特殊なウイルスを埋め込まれることで生体甲冑として無敵&不老不死に近い体を手に入れた男JDとその娘カルラ。百数十年間、彼らは老いることもなく旅を続けており、これが歴代のアンヘルの目にとまり今回の騒動に巻き込まれることになる。最強のアンヘルを殺せる唯一の可能性は生体甲冑を持つJD親子のみ。かくして、退行しつつある人類文明をよそに、超人VS超人の凄絶な戦いが繰り広げられていく。
硬質な文体、やたらに多い省略、仄かに漂う退廃的なエロティシィズムは、どことなく佐藤亜紀っぽい雰囲気だなと思ったら、佐藤亜紀の創作講座出身の人らしい。なんと解説も佐藤亜紀だった。とはいっても、彼女独特の洒脱さ、他の追随を許さない洗練されたスタイルには遠く及ばない。新人にそこまで望むのは酷だけどね。
一読してまず感じたのが、読みにくさ、わかりにくさで、これは描写力がどうこうというよりは、構成の問題のように思えた。いま現在、起きている出来事の、説明がその場ではなされずに、かなり前の章でさらり書かれていたりするので、相当集中して読まないと置いていかれる。行間をしっかり読めば判る佐藤亜紀のわかりにくさとは質が違うんだな。こちらは単なる技術の欠如。一作目から佐藤亜紀クオリティの作品を出されても凄すぎるので、これからに期待。既に何作か書いているようだし。引き続き追いかけてみる。[2008/05]
羽月琴葉はグラビアアイドルの下級生弓絵に連れられて、人気アイドルナオキの誕生パーティに参加する羽目に。パーティは和やかに進行していくが、会場となったスタジオを見下ろすマンションの屋上から男が落下して死亡する。遺体には奇妙な暗合が綴られた短冊が一枚。事件の背後には、かつて存在した「笹乙女委員会」なる組織が関与しているようなのだが……。
2003年刊行。霧舎学園シリーズ四作目。四月は密室、五月はアリバイ崩し、六月は誘拐と、毎月ミステリのテーマを変えてシリーズを構成している。一年が過ぎると、ミステリの主要なジャンルが網羅出来ている、という趣向なのだろう。本作のテーマはずばり交換殺人。サクっと読めるコンパクトな分量で、適度な意外性もアリ、それなりに楽しめて良いのではないかと思う。
ただキャラクターを前面に押し出した作品のわりには、それぞれの登場人物の個性(特に女子高生の皆さん)が弱いのが気になる。ヒロイン含めて、正直あまり惹かれるモノが無い。男キャラにしても、棚彦が高校生離れした泰然自若キャラなので、ちょっと動かすの苦労している印象だ。頭木クンがメインだったら楽だったのに。[2008/05] ⇒次巻